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実践・2〜アカウンティング 前編

継続的な芸術活動を行うためには欠かせないアートマネジメント。そこには次のように3つのテーマがあります。

1) ヒューマン・リソース・マネジメント(人材管理・人材活用)
2) アカウンティング(会計)
3) マーケティング

今回から2回に分けて「アカウンティング(会計)」、すなわち、お金の管理の仕方について解説してゆきましょう。


■アカウンティングとは「説明する」という意味

「会計」は、なにかしらの行動を行うかどうかを決めるための“金額的情報”を提供してくれます。

例えば、スーパーの店頭にならぶ商品には値段がついています。居酒屋に入れば、メニューがあります。公演のチケットにも金額が明記されています。日常生活で目にするこれらの金額は、「商品を買うかどうか?」「料理や飲み物を注文するかどうか?」、「公演を見るかどうか?」を決断するのに役立つ重要な情報になっているのです。

例えば、店先のメニューに料金が載っていない寿司屋や料理屋には入りづらいですよね。「何にいくら掛かるか?」を報告して、お金を出すこと、つまり、「支払いに関して相手を納得させる」のも会計の役目です。

このように、料金表やチラシなどに商品やサービスの金額を明示することで、客は支払いの際に納得してお金を出すことができるようになります。ですから、「accounting(会計)」というのは、「納得が行くように説明する」という意味の「account」の動名詞とされているのです。

この、「会計」という考え方を、具体的に書き記してゆくことで、誰もが理解し、管理する方法が「簿記」です。


■きちんと記録、きちんと管理

どんな小さな会社でも、個人経営のお店でも、経営する上で帳簿は欠かせません。この帳簿を書くことを「簿記」といいます。

もちろん、読者の皆様に「今から簿記の勉強をすべし!」というわけではありません。ただ、簿記の重要性だけはわかっていて欲しいと思います。

簿記が何のために行なわれるのかというと、経営者が、次の2つのことについて“知りたい”からです。

1) お店の経営成績を知りたい。
    これは、「今年どれだけ儲かったのか」知りたいということです。
2) お店の財政状態を知りたい。
    これは、現在お店にどれだけの財産があるのか知りたいということです。
          (「現代 簿記テキスト」より 坂本眞一郎 共著 同文館)

商売を行なっているお店や会社組織では、以上のような経営成績・財政状態を常に把握しておかなければなりません。ですから、自分の仕事の現状を知るために、毎日毎日、お店の取引を帳面に記録してゆきます。読者の皆さんの中にも、家計簿をつけたり、日記を書いたりしている人がいると思います。そのような日常のお金の取引きの記録を取るのと同じです。

さしあたって大切なことは、「いくらお金が入って、いくらお金が出て行ったのか」を理解することなのです。

演劇の公演を行なう際には、様々な費用がかかります。大まかに分けると、劇場費(ホール・照明などを借りたりする費用)、宣伝費(チラシ作成にかかるデザイン料などを含めた費用)、舞台費(大道具や小道具制作にかかる費用)など。もちろん、プロのスタッフを雇えば、外注費(外部スタッフへ支払う費用)も発生するでしょう。

また、チケットが売れれば、その分の収入が発生します。有料でパンフレットなどを販売すれば、その売上も収入となります。

これらについて、「何にいくら使ったか」、「どのくらい収入があったか」という収支をしっかりと記録し、管理してゆく事から始めましょう。

そうしなければ、1度公演を行なっただけで大きな赤字を出して、次の活動が出来なくなったり、社会的な信用を失ってしまったりと、継続的な活動が不可能になってしまいかねません。

帳簿をつけることで、集団の状況を把握し、足場をしっかりと固めてゆくことは、集団を維持する上で絶対に欠かせない仕事なのです。そして、帳簿をつける事がアートマネジメントの会計を実践する上で、「はじめの一歩」となるのです。

次回は、テーマを『決算報告・予算計画のススメ』として、「決算報告書」と「予算計画書」の作成について、具体的にお話していきたいと思います。どうぞ、お楽しみに!


参考文献・資料等
「アートマネジメントの会計−理論と実務」 佐々木晃彦 中央経済社 平成12年
「現代簿記テキスト」 坂本眞一郎、守矢芳幸、岩田智 編 同文館 1996年



(文・磯崎 美奈)2003/6/16