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助成金を獲得するために 〜企業メセナが変わってきた〜
日本にアートマネジメントという考え方が導入されてまだ10年あまりといわれています。その背景には、「文化行政」と呼ばれる「文化のための政策」がはじまり、80年代に先急いで日本全国に劇場やホールなどの文化施設が建設されたことに起因しています。 「先急いで」と書いたのは、どの施設も、「どのような芸術文化を創造していくのか」ということはあまり考えられていませんでしたし、「どのように運営すればいいのか」ということもよくわかっていなかったからです。 そこで、そのような文化施設の運営のために、「どうしたらいいのか」という問題があがりました。そこで、欧米で実際に美術館や劇場で行なわれているアートマネジメント(アーツマネジメント)が、急速に日本へ輸入され始めたというわけです。 さて、アートマネジメントと同様に、その必要性とともに発展してきた機関があります。それが、「企業メセナ」という存在です。 「企業メセナ」というのは、企業が行う芸術文化への支援活動をいいます。もともと、「メセナ」というのは芸術文化の擁護・支援を意味するフランス語です。現代の日本では、テレビなどの協賛という意味で使われている英語の「スポンサー」という言葉と区別するために、英語ではなくフランス語の「メセナ」という言葉を使い始めました。 企業メセナの大意としては、「支援に対する見返りは求めない」ということがあるかと思われますが、実際は、「企業のイメージアップ・企業文化の改善・社内での連帯感・顧客との新たなコミュニケーションなど、長期的かつ間接的なメリットを求めるこが企業メセナの当然の方向性である」とあります。 つまり、企業によって、その芸術文化支援に対する「企業としての価値」を重要視していることがわかります。株式会社として運営していく上では、株主に対する説明責任がありますから、なぜこのような支援をするのか説明できなければいけませんので、当たり前のことですね。 日経新聞(2003年11月28日)によると、企業メセナ協議会の実態調査で、1998年以来微減を続けていた文化支援活動が回復したことがわかりました。また、そのメセナ活動の目的に「社会貢献」をあげる企業が増えているのも特徴として書かれています。 その企業の割合は88.5%だそうです。特にそのなかでも「芸術文化の啓発・発展」(58.2%)「地域文化の振興」(56.6%)とあり、前者はいわゆる「ワークショップ」や「セミナー」などを指し、後者は支援対象が東京一極集中から地方へ進んでいることがわかります。 また、記事ではそのような企業の社会貢献活動に企業独自の「評価基準」を設け、きちんと実施した活動に対し、評価をしようとしていることに注目しています。つまり、昔のようになんでもかんでも文化振興だと言ってお金を出すという状態から、きちんと社会的責任を考えた上で評価基準を持ち、社会貢献活動として行う方向へ変わってきているということです。 その背景には、近年の海外投資家の増加により、企業がどのように社会的責任を果たしているかという点が株式会社経営の重要なポイントになってきているということがあるようです。 また、近年では文化芸術に対する支援の仕方も変わってきています。社会貢献活動という名目の下、助成金を出すだけでなく、その企業の持つ資産である場所、人、物品などを提供するという形です。 もっと面白いことに、より主体的に関わっていこうという方向も見られます。アサヒビールが行っているロビーコンサートもそのひとつだといえます。場所だけでなく、社内から社員のボランティア参加を促し、企画に関わることで社員の意識の変革さえも狙いとしています。 これはもちろん、芸術文化活動へ参加し、芸術文化の持つ力に触れることで、社員が何かを見出すきっかけになるでしょう。また、芸術文化創造の担い手である芸術家にとってもすばらしい試みであり、よい理解者が増えることにも繋がります。 このように、企業による芸術文化への助成の仕方が変わってきている中、舞台芸術である演劇活動を行う上で必要となる資金を企業へ求めるためには、一体どのようにしていくべきか、次回からより詳しく考えていこうと思います。 ※参考ホームページ 企業メセナ協議会 http://www.mecenat.or.jp/ |
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(文・磯崎 美奈)2003/12/15
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