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助成金を獲得するために 〜逃してはいけない3つのポイント〜
前回のコラムでは、企業メセナの動向が変わってきていることをお話しました。 企業メセナという言葉は、一般的には、企業による文化芸術への支援活動(助成)のことをさしています。アーツマネジメントという概念が日本に入ってきた頃とほぼ同時期に広まってきたものです。 アーツマネジメントについて勉強してゆけばゆくほど、その活動のための資金獲得が重要でありながらも困難であることに気が付くと思います。芸術が芸術である限り、他の産業と同じような経済市場からその生産コストを回収することは非常に難しいのです。昔からヨーロッパ諸国の芸術家達は、自らの活動を支援してくれる貴族等のパトロンが存在することで成立してきたという背景があるのですから。 国によってこのような「市場以外からの資源獲得」の仕組みは様々でありますが、20年ほど前にアーツマネジメントという概念が入ってきたわが国では、同時に企業メセナという、企業が利益を「社会貢献として還元する」という名目で芸術活動を支援する仕組みが発展してきました。 今回は、企業メセナを行なっている企業から、いかにして支援を獲得するかという点についてお話していきたいと思います。なお、ここでは一回の事業(公演)に対する助成金(協賛金)を得る場合を設定しておきます。 ■必要なのは企画書(コンセプト)、大事なのは予算書(金額)! まず、その公演の概要がわかる「企画書」が必要です。いかに魅力的なものか、いかに芸術的にすばらしいものか…ということを伝えるために、デザインをかっこよく仕上げたり、写真を多く使ってみたりしたくなるかもしれません。しかし、それは「力の無駄」となりかねます。 実はなによりも、「この公演をすることでいかに社会にアピールするものがあるか」という作文が必要なのです! 企業はいかに社会貢献をしていくか、という視点でその支援先を選択していきます。全国規模の企業には数百件という支援願いが来るといいます。それを勝ち抜くために必要なのは、実は作文力といえるのです。 まず、その企業の支援コンセプトにマッチした言葉を考えてください。例えば、芸術鑑賞者に対する支援を行なっている企業に対して、 「この企画には、演劇の公演をするというだけでなく、その価格設定にも工夫しており、ハンディキャップのある方々に特別割引料金を設定してあります。また公演の前後などに地域の福祉施設等でワークショップを行ないながら、演劇の創造活動を通じてカラダを動かし楽しんでもらったり、また舞台への理解を深めやすくする企画も行なう予定です」 というように、作品の内容以外の部分でも工夫をすればいくらでも企画を立てることは可能なのです。近年のキーワードとしては、「地域(地方)」「育成」「福祉」に関する言葉やコンセプトがあると良いようです。 ■必ず担当者に直接会うこと! また、支援の応募には、必ず直接担当者に会うことです。これは絶対です。FAXや郵送では数ある書類に埋もれてしまうだけです。必ず、担当の方に会ってもらいましょう。会ってもらえない場合は、まず支援はもらえないと考えていいと思います。 アポができたら、企画書だけでなく必ず予算書も持っていきましょう。これは、カンパニーがしっかりした金銭感覚を持っているというしるしになるだけでなく、具体的な金額を示す指標になるからです。 実際に、どのくらい貰えるかわからないので、どのくらい具体的な支援が必要なのかという話になると困ってしまいます。しかし、前もって費用の金額が一覧になっていれば、「例えばこの印刷費を協賛金で賄いたいと思っています」とはっきりいうことができます。 もちろん、広告費という形でパンフレットなどに何センチ角のスペースを一口何円で買ってもらうことも考えられます。この予算書は、必ずしも「正直」でいることはないので、「協賛企業向け」というもので大丈夫です。(でもウソはだめですよ) また、アピールのポイントは、社会貢献に関わるコンセプトについて担当者に印象づけることも必要といえます。担当者は、基本的に支援する方向で受け取ってくれます。しかし、他の数ある選択の中から社内選考を乗り越えなくてはならないのです。担当者が社内の選考時に、カンパニーの代わりとなってプレゼンテーションしてくれることになるのですから、そのことも考慮しながら熱意を伝えることが大事です。 ■複数当たってみること! 同業でなければ、何社か同時に応募をしておくべきでしょう。 もちろん、一社あたりの金額はおそらく多額ではないでしょうから、5〜10社あたってまとまった金額を目標にすることも考えられます。 数を重ねるごとに、資金獲得のためのノウハウは自然と身につきますし、何より業界に詳しくなります。担当者と会ってお話していくうちに、いろいろなことを知ることができます。企業側が何を求めているのか、どんな目的で支援をしているのか、など得るものは非常に大きいものです。そのような関係を通して、自らの芸術活動と社会を繋げる接点を考えることにもなるでしょう。 このような経済市場以外のところで、活動のための資金を獲得するということは、欧米の芸術NPO(非営利機関)において当たり前のシステムです。寄付に関する税の優遇があることもその一端ですが、わが国では様々な規制緩和が進んではいるものの、まだ一部の国(行政)や一般企業の支援が目立っているように感じます。 そもそも、欧米と違って、芸術と社会との関係について考えさせるような仕組みがなかったからなのですね。このような市場以外の資金獲得の関係というのは、金銭的な価値だけでは計れない芸術と社会とのつながりを考えさせる重要な存在になっているのです。 |
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(文・磯崎 美奈)2003/1/19
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