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マス・マーケティングから「one to oneマーケティング」へvol.3 「one to oneマーケティング」の要素 〜顧客セグメント〜 前回のコラムでは、「マス・マーケティング」の限界から、「one to one マーケティング」への転換が必要なのではないかというお話をしました。そして、その「one to oneマーケティング」では、顧客とのリレーションシップ作りが大切であり、それは、1人1人の観客をできるかぎり区別する(差別する)ことで、劇団と観客の間によりよい信頼関係を築いてゆこうというものでした。 さて、その「one to one マーケティング」の実務と実際には、他にどのようなことが必要となるでしょうか。 ●顧客セグメント〜顧客を区別する、という考え方〜 観客をセグメント(区別)するという考え方は、マーケティングの中でよく言われることです。例えば、週刊誌などの雑誌を作っている出版社には、発行している雑誌の「媒体資料」というものがあります。これは、雑誌の発行部数や読者像を様々なデータなどによってわかりやすくまとめ、その雑誌の購読者はどのような人物かということを分析しているものです。 顧客をセグメントする上で必要な情報には、性別、年齢、趣味、仕事、収入などの情報があります。これらは自然と手に入るデータではありませんし、どこかで調べてもらうわけにもいきません。したがって、「直接聞く」ことが必要になってきます。 欧米の劇場運営(アーツマネジメント)で見られるアンケートでは、知りたい情報項目を並べて、実に10ページ近くにも及ぶアンケートを実施します。これは、観客全員に対して行われるのではなく、限られた関係、つまり、特別な理解を持ってくれている観客(サポーターや常連客)に対してのみ行われます。 誰だって、初めて来た劇場で10ページを超えるようなアンケートを突きつけられたらうんざりします。しかし、その劇場(あるいは劇団)が、自分の好みに合っていて、これからの活動を応援したいと思えば、協力する気持ちになるものではないでしょうか。 また、アンケートを求めている劇場(劇団)は、よりよいサービスを提供するために行うのですから、「そのならば協力しよう」という気持ちも大きくなります。 ところで、一般的な個人情報だけでなく、アーツマネジメントだからこそ必要な項目とは一体どのようなものがあるでしょうか。 顧客の趣味の項目を例に挙げると、「どのような趣味を持っているか?」という大きなくくりにせず、実際にどのような音楽を聞くのか、もしくはどんな車に乗っているのか、という切り口で見てみると面白いことがわかるかもしれません。 また、劇団にもっとも重要なのは、リピート数です。自分の劇団を、どれくらい観に来てくださっているのか。回数と時間(歳月)はとても重要な情報です。 そして、そのお客様はどのくらい劇団に関わりを持ちたいと思っているのかという点にも注目して欲しいのです。それによって顧客のレベル階層を分け、どれほど深い付き合いを求めているかという視点をもって、お客様をセグメント(区別)することで、劇団と観客とのより密接な関係が作られてゆくはずです。 深い関わりを持ちたいという「望み(ニーズ)」を実現するために、特別なファンの集いを行ってみたりすることもひとつの方法でしょう。それによって更に深い関係が築かれるでしょうし、お客様のニーズを満たすことができ、顧客満足に繋がることでしょう。 ちなみに、これらは決して「お客様に迎合する」ということではありません。データや情報によって、作品創造の場以外ででもお客様に「アート」が貢献できるサービスはないか、と柔軟な頭を持って、常に考えることも、アーツマネジメントのひとつなのですから。 |
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(文・磯崎 美奈)2003/4/19
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