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どうなるの?教育から見た文化芸術の行方

文化審議会(高階秀爾会長)は、文部科学大臣からの諮問に答える「文化芸術の振興に関する基本的な方針について(答申)」(案)を11月7日に発表し、21日までそれに関する「パブリックコメント」を募集しました。

昨年12月には「文化芸術振興基本法」が公布・施行されました。この法律が、社会 や毎日の生活に具体的に“どう活かされるのか”を注目していく必要があります。今回の答申は、この法律に基づいて、「今後おおむね5年間で、施策を総合的にすすめて行くために定める」とあります。

答申案は文化審議会からの答申を経て12月中に閣議決定されるということです。

さて、答申案は、下記の3つから成り立っています。

・まえがき
・第1、文化芸術の振興の基本的方向
・第2、文化芸術の振興に関する基本的施策

「方向」は、文化芸術の振興の必要性や、その為の国・地方公共団体・民間の役割、 芸術家の地位向上の条件整備などについて。「施策」は、施設の充実や、基盤の整備などについて記されています。

その中で、「子どもと舞台芸術」に関することも示されてはいます。これを、演劇教 育推進の視点から見た場合、どのようなことが読み取れるでしょうか。「文化芸術に 関する教育」、「青少年の文化芸術活動の充実」、「学校教育における文化芸術活動の充実」と題された項目をピックアップして考えてみましょう。


●文化芸術に関する教育

学校教育の中で、子どもたちが優れた文化芸術に直接触れて、親しみ、創造する機会をもつことができるように、創造的な体験の機会を充実させる。
教員一人一人が“豊かな感性”と“幅広い教養”を持ち、自己啓発に努めながら、学校教育全体を文化的なものにしてゆく。


●青少年の文化芸術活動の充実

青少年を対象とした文化芸術の公演、展示等への支援を行う。
社会教育関係団体などによる、青少年の自主的な文化芸術活動の場や機会の充実を図る。
青少年に対する指導や助言を行う“指導者の養成及び確保”を促進する。


●学校教育における文化芸術活動の充実

「総合的な学習の時間」などを活用して、体験学習などの文化芸術に関する教育の充実を図る。
優れた文化芸術の鑑賞の機会を充実させる。
授業や部活動において、優れた地域の芸術家や、文化芸術活動の指導者などが教員と協力して、子どもたちに文化芸術の指導をする取り組みを促進する。


現在、日本芸能実演家団体協議会(芸団協)は、実演家が学校に入って子ども たちに体験させ、指導することを、実演家の役割・仕事にしようと積極的です。

演劇であれ何であれ、子どもが専門家に出会うのはたいへん魅力的で有意義なことです。しかし、子どもを指導するというのは、そう容易ではないということも事実です。教員も、学校に専門家を招くだけの役割ではないはずです。自らが表現者であるべきなのです。

日本演劇教育連盟などは、専門家の協力を得て、その為の研究活動をすでに半世紀を超えて自主的に続けています。実はこの活動を通して、「教え方、指導の仕方」もあわせて、知らず知らずのうちに学んでいるのです。専門家と教員が「協力」するというのは、こういうことではないでしょうか。

また、教員が「自己啓発に努め」とありますが、機会を保障されるべきです。

一般には知られていないことですが、そういう機会を選択する自由が必ずしもあるわけではないのです。他でもない、文化芸術に関する「自己啓発」のための機会ですから、自由が保障されるべきですが…。この点においては、答申を受ける文部科学大臣と教育行政に、自由な精神や姿勢を強く求めなければなりません。

この他、答申案では「国語の重視」を掲げ、教員の意識と国語力の向上を求めて、養成や研修の重要性にふれています。これは、演劇はもとより、「聞く・話す」といった言葉や声のコミュニケーション・表現について、大学など養成課程でもほとんど学ぶことなく、子どもたちの前に立ってしまう教員の現状を想うとき、注目したいことがらです。

いずれにせよ、政治や行政に要求すべきは要求しながら、現在ある制度や法令は積極的に活用し、少しでも具体的に活かす方法を探していきたいものです。

皆さんも、是非、今後の基本法の行方に注目してください。権利の上に眠っていたのでは、画に描いた餅になってしまいますからね。

なお、答申案の全文は文部科学省のホームページで読むことができます。
         ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓  ↓       
    http://www.mext.go.jp/b_menu/public/2002/021101a.htm


(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2002/12/2