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子どもの土曜日
長野県上田市のNPO法人上田演劇塾に、2002年4月、「子ども演劇クラブ」が新しく生まれました。その子どもたち12人が、風になり、龍になり、はたまたねずみになったりして生き生きと舞台を駈け回ったのは、去る12月7日に上演された『風の吹く村』(岩下郁子+上田演劇塾作、鈴木龍男演出、上田市文化センター)の舞台でした。 上田演劇塾は、街に演劇文化を育てようと、市民の有志が伊藤巴子さん(俳優)ら専門家の協力を得て1998年に設立されたものです。『歌うシンデレラ』(別役実作、藤原新平演出)で旗揚げして、今回は5周年記念の創作劇公演でした。 子ども演劇クラブは、小学3年生から中学3年生までを対象に募集。毎週土曜日の午後、市内の廃校になった体育館で活動しています。指導しているのは、演劇や表現活動のインストラクター・小川新次さん(東京在住)。 小川さんは、「ここへ来れば何か表現できる。何かやれば受け止めてくれる人たちがいる。演劇とか演技を教えこんではいない。小器用に芝居をやられるよりも、こちらがびっくりするような、彼らのもっている“輝き”をちょっとでも出してほしい。そのための空間を創るのが“子ども演劇クラブ”の役目」だと言います。 普段はどんなことをどんなふうにやっているのか、ある日のぞかせてもらいました。なるほどよく遊んでいます。 布を使って風になります。一人ひとり思いおもいの出方や動きで、布は両手で使ったり片手で振ったりしながら。12人が1列を組んで龍の大きさや動きを想像して楽しんでいるように見えます。いたずらをするねずみは2人で手をつないで思いっきり歌っています……。 さて、学校週5日制にともなって、演劇・人形劇や舞踊など身体表現の活動をとりいれた「土曜日」があちこちで生まれています。 たとえば、文部科学省が2002年5月29日に発表した「完全学校週5日制に対応した取組の概況−地方公共団体における取組事例−」を見てみると、つぎの自治体で行われていることが伺えます。 ◆熊本市の場合 「げきッズ」という愛称で、市立子ども文化会館を会場に毎月第2・4土曜日に活動。小学生20名は女子が多い。指導者は地元の演劇人。3月に『ゴドーを待ちながら』を上演する予定。 ◆滋賀県蒲生町の場合 「演劇クラブ」が町内の公民館(あかね文化センター)で毎月第1・3土曜日に活動。3つの小学校の子どもたちが集まっている。指導者は地元の人でボランティア、それに町職員が1人。3月に発表会を開く。 ◆滋賀県新旭町の場合 「わくわくどきどきアカデミー」の19クラブの中の一つに「劇団」がある。小・中学生だけではなく、高校生やおとなもまじっての演劇活動。毎週土曜日の午後、公民館で活動。指導者は地元の演劇愛好家。3月29日の上演をめざして『モモと時間どろぼう』を稽古中。 ◆青森市の場合 「長期子どもクラブ」の16クラブの中の一つに「人形劇団」がある。中央市民センターで毎月第2・4土曜日に活動。1月の発表会をめざして小学生13名が集まっている。 このほか、東京都世田谷区の「狂言ワークショップ」、練馬区の「音楽劇づくり」「朗読ことばあそび倶楽部」、日野市の「ダンスミュージカル講座」が、文部科学省の調査に見られます。 これらは行政の取り組みですが、この調査とは別に公民館や文化施設、児童館などが週5日制になる前から行っている例も多々あると思われます。 そして、冒頭の上田市のように民間が取り組んでいる事例はどれくらいあるのか、全国では相当な数になるでしょう。主催者もおそらく多様でしょう。 「子ども劇場おやこ劇場」のような従来からの組織が展開している例、教員が学校の外で始めたという例、アマチュアで演劇活動をしている者が始めたという例、プロの演劇人や劇団が新しく始めたという例、などです。 思えば1992年9月、学校の土曜日が月1回休みになるという画期的な変化が起こされた時、その日の子どもたちの「受け皿」をどうするのかと、賛否の双方からいろいろな意見が飛び交いました。「受け皿」という言葉の使い方はともかく、学校のクラブや部活動に縛られないものがもっといろいろあっていいと思います。 子どもたちの生活・文化のなかに演劇なり表現なりがもっと入ってくるようになってほしいと思います。だれもが子どもの時から親しんで、やがては社会が「文化化」されるのかなと期待したいと思います。 そこで指導者をどうするか、指導者はどう考えて事に関わるかが問われるところです。冒頭の小川さんの言葉はひとつの参考になると思います。 |
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(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2003/1/6
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