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児童・青少年演劇を見よう!

「児童演劇」「児童・青少年演劇」という言葉を聞くと、一般にどんな演劇を思い浮かべられるのでしょうか?

主に子ども(幼児〜高校生)を観客として演じられる劇、ひらたく言えば「子ども向けの劇・子ども向きの劇」「子どものための劇」と思われるでしょうか。いや、「子どもが演じる劇」と思われる人も、ひょっとしたらいるかもしれません。

なるほど、文化、文学、詩、映画、(絵)画、ミュージカル、合唱(団)等々のそれぞれの頭に「児童」あるいは「子ども(の)」「少年少女」と付けてみると、対象が子どもであるもの、子ども自身が表現者であるもの、と意味が二通りあります。

演劇の場合も、「児童劇」と言うと、子どもを観客とする劇の意味で言う場合と、子ども自身が演じる劇のことを言っている場合とがあります。そこで、冒頭のように「児童・青少年演劇」「子どもが演じる劇」と使い分けると、言うほうも聞くほうも誤解が生じなくていいと思います。

さて、この連載の1回目(2002.11.4配信)に、「『子どもが演じる劇』を見てみませんか、おもしろいですよ」と述べましたが、今回は「『児童・青少年演劇』の舞台をぜひどうぞ」と言おうと思います。どちらも、演劇をもっと広く市民の日常生活の中の光景にしたい、演劇環境を文化的な社会のあたりまえの姿として整えたい、そのために必要なことと思うからです。


●どれだけの人が観てくれているの?!

では、児童・青少年演劇を見る機会はどれだけあるのでしょうか?そうして実際にどれだけ見ているでしょう?

大人であれば、演劇ファン、観劇が趣味という人、演劇に関心のある人、あるいは演劇教育に関係している人、こういう人たちでさえも残念ながらそれほど多くはないのではないかと思います。 

児童・青少年演劇を一般の大人が見る機会は少ないというのは、これらの舞台の多くは、学校で「演劇(芸術)鑑賞教室」のような行事として、ほとんど子どもだけで見るか、1960年代の後半から全国に創られ広がってきた各地の「子ども劇場おやこ劇場」の組織に参加している親子が見る、というのがこれまでの実態だからです。

つまり、だれでも見られる劇場やホールでの一般公演が極端に少なく、見ようにも見られない、見たくても機会がないのです。

日本演劇教育連盟などは、鑑賞教室の作品を選ぶにあたっては、「自分自身の目で見てから」とか、「自分が実際に見たものの中から」とかと主張していますが、「それを条件にしたら選ぶものは何もない」といった声であふれてしまいます。東京や大阪ならまだしも、日本中の大半の地域ではほとんど絵空事になってしまいそうです。


●児童・青少年演劇界の変化の兆し

ところが、従来の様相とはちがった光景が、最近見られるようになってきました。児童・青少年演劇とはことさら言わずに、しかし子どもといっしょに見たい、子どもに見せたらいいのに、と思われる舞台がいろいろあるのです。

従来の児童・青少年演劇の世界には、ねらいを同一にする組織があります。例えば、日本児童・青少年演劇劇団協同組合には、現在76劇団が加盟しています。

また、これには入っていないけれども、やはり児童・青少年演劇を主としている劇団もあります。ただ、それらの劇団の一般公演は数がとても少なく、優れたものおもしろいものもいろいろあるだけにたいへん残念です。

それでも、たとえば東京では、近々開催される「都民芸術フェスティバル」の中に、児童・青少年演劇のプログラムが組まれています(※1)。ほかにも、近年増えてきたフェスティバル(イベント)の中など、見る機会がいくらかはあるようです。

しかし最近目につくのは、そういう従来の劇団とはちがった劇団が公演しているものです。もともと子ども観客だけを想定していたわけではないのだけれども、子どもにも見てもらえる価値のある舞台になっている、そこで意識的に子どもを集客しようとしているように見えるというものです。そういう劇団の作品の多くはだれでも見られます。月刊誌『演劇と教育』には一般公演をはじめ、だれでも見られる公演の情報が掲載されています。

いずれにしても、一般の演劇ファンの目にも触れることによって、舞台は劇としての批評の対象になる前提が成り立ちます。つまり、児童・青少年演劇が「子ども向けの文化財」としての視点からだけでなく、演劇として論じられることが可能になるのではないでしょうか。

演劇批評の対象になることも、この世界を創造的にし、活性化することになると思います。大勢の大人たちに積極的に見てもらいたいと思うゆえんです。


※1 「2003都民芸術フェスティバル」児童・青少年演劇部門
    児演協合同公演 「ふれあいの5つの玉手箱」

2月22日〜3月30日まで、5団体5作品が、東京都内のいろいろなホー ルを回ります。
この機会に、是非児童・青少年演劇に触れてみてはいかがですか?

    詳細は「2003都民芸術フェスティバル」のホームページから


(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2003/2/3