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先生がプロデューサー?〜高校演劇科〜
「高校演劇」と言えば今たいへん活気のある舞台で、高校生だけでなくプロの演劇人にも注目されるほどですが、その演劇部の活動とは別に、教育の分野で注目を浴びているものがあります。「演劇科」です。 兵庫県立宝塚北高校や東京の私立関東国際高校に設置されている演劇科のことは、既によく知られているところですが、さらに近年、各都道府県に公立の高校演劇科設置の動きが見られるのです。埼玉県立芸術総合高校、石川県立中島高校(能登演劇堂で知られる中島町にある)などのほか、県立神奈川総合高校のような「総合高校」に必修あるいは選択の科目として設けられていることです。 これらの学校の演劇は授業として行われるのですから、演劇部の活動とはまったく別のものです。卒業後の進路に演劇を選ぶ者もいればそうでない者もいることに違いはありませんが、3年間演劇に親しみ、表現や人間関係について学ぶことに意義があると考えられています。 では、埼玉県立総合芸術高校の場合を見てみましょう。今春第1期の卒業生を送り出した、まだ開設4年目の学校です。美術・音楽・映像芸術・舞台芸術の4科に各学年40人の生徒が学んでいます。全県から通学が認められるせいで、片道2時間以上もかけて通う生徒もいるようです。 前期・後期の2期制で授業は90分。舞台芸術科の実習は総合練習場と二つのレッスン室で行われます。総合練習場は元の剣道場を改装したもの。つまりこの高校は、実は前身は1974年開設の普通科の学校でした。施設・設備は、まるで芸術高校として新設されたかと見えるほど「ぜいたくな」造りです。 専科の教員は3名。指導に直接当たることは言うまでもありませんが、それとともに大きな役割が求められているのは、言わばマネージャーやプロデューサーの役割です。15名の専門家に年間を通して講師として授業を行ってもらっています。
各学年の専門科目のこれらの授業には、俳優、演出家、劇作家、狂言師、舞踊家、照明家、デザイナーなどが招かれているのですが、このような外部講師のみなさんを手配するのも担当教員の仕事というわけです。 さて、高校演劇科はこれから全国的に広がっていくことが予想されますが、設置のための課題も少なくないと思われます。上に記したような施設・設備や講師の面などです。 演劇人養成の高校ではありませんが、施設・設備はそれなりに必要です。どれだけ用意されればいいかは一概には言えないと思いますが、学習意欲を触発し、実際に役立てられる場や器材は必要でしょう。 また、なにしろ、演劇専科の教員は現在の教員免許制度ではいないのですから、たまたま担当することになった教員はとにかく研修に励まなければなりません。教員の身分のままどこかの大学で専門的に学ぶことができればまだ良いほうかもしれません。 多くは日本演劇教育連盟の研究会や、日本芸能実演家団体協議会などの団体が主催するセミナーやワークショップなど、機会を見つけては自主的に学んでいるというのが実情のようです。 また、担当教員の仕事にマネージメントやプロデュースの一面があるとすれば、その面の具体的力量も求められます。やはり、いずれは教員養成がテーマになっていくでしょう。 このような課題に対して、東京に隣接する埼玉の場合はやはり恵まれていると言ってよいと思います。しかし、埼玉もそうですが、石川県立中島高校の場合のように、地元の文化・芸術ホールの果たす有形無形の役割が大きく影響すると思います。連携の可能性を探るといろいろなことができるのではないでしょうか。 表現とコミュニケーションの感性を育てる教育が求められる今日、高校演劇科のこれからに期待したいと思います。 |
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(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2003/11/3
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