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「なぜ、演劇は東京に集中するのか?」

今、東京には、「ないものはない」。
演劇もまたしかりで、東京ならば、どんな演劇でも観ることができる。
公演数、劇団数、どれをとっても、全国を圧倒しており、逆に、地方には良質な演劇 ソフトが少なくなってしまっている。 それにしても、演劇がどうしてここまで東京に集中するのだろう?

まず、東京集中のメリットとして考えられるのは、次の2つ。 「文化の発信地」であることと、「ビジネス」だ。

東京には主要マスメディアのほとんどが集まっており、テレビや雑誌で発信される情 報は東京のものがほとんど。「東京で一花咲かす」という言葉があるように、有名に なるためには東京に行くという発想がいまだに残っている。

ビジネス面において、流通やマーケティングは、人々が一箇所に集中している方がコ ストを安く済ますことができる。演劇活動で言えば、営業・宣伝活動がしやすいと いうわけだ。

しかし、東京の人口は1300万人弱。大阪の人口をあわせても、2200万人足ら ず。 残りは1億人もいる。最近では、企業が地方の取り込みに試行錯誤を繰り返して いるが、一方の演劇業界は、一部の大手や学校巡回劇団などを除いて、今だに東京 に執着し、地方には目もくれていない。

「地方文化の喪失」は、東京集中の弊害であり、デメリットである。「地方は客が集 まらない」という声もよく聞くし、それもまた事実。こうして、地方には芸術文化を 発展させるだけの演劇ソフトが流通しづらくなってゆくという悪循環が続いている。

世界的にも、中心都市以外の地方文化・芸術は、国全体の文化に大きな影響力を 持っている。ドイツなどは、国立劇場を持たず、市や区で劇場を持ち、市民と一緒に なって演劇作品を供給しており、こうした活動の積み重ねが、ドイツ全体の文化レベ ルを底上げしている。

日本の場合は、東京在住の限られた演劇ファンにだけ向けられた演劇ソフトが急増 する中、国全体の文化レベルはますます低下。一方、地方公共団体もまた、東京の ソフトの受け入れを、採算面の不安から拒否する傾向にある。 この悪循環を断ち切るには、最低でも20年かかるといわれている。かつての劇団 四季がそうあったように、力のある劇団が長いスパンで取り組まなくてはいけない 課題だ。一時的な採算減よりも、新しい演劇顧客層を広げることは、演劇界全体に とってどれだけ有効であろうことか……。

2001/7/16





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