|
|
|
「市民と作る!!コミュニティ演劇・前編」
一口に「演劇」といっても、価値観や目的は様々。演劇を芸術活動としてとらえてい る団体もあれば、社会批判のツールとして使う団体もある。若手劇団の多くは、自己 満足の発散として劇団を運営しているといっても過言ではない。とはいえ、演劇が生 の観客を相手にした娯楽である以上、全ての劇団は、身近な人々の集うコミュニティ (地域社会)と関わりを持っている。 今回のテーマである「コミュニティ演劇」とは、「地域社会が中心になって作る演 劇」を意味する。これは、地域の一般市民が演劇活動の文化的価値を認め、「クオリ ティオブライフ」を実現するための活動である。もちろん、市民が出演して演劇を上 演するだけではなく、市民の生活を豊かにしてくれるパフォーマンスカンパニーの招 聘や、地域の劇場運営など、その意義は幅広い。 日本の財団法人のほとんどは、行政が文化施設の運営等を目的として設立する第三セ クターや大企業のメセナ財団だ。この現状のままでは、演劇は企業の宣伝活動に利用 され、また、演劇文化の重要性を感じていない行政は、演劇の採算力の弱さに閉口し てゆき、地域市民を中心とした活動を無視するようになる。こうした悪循環の中、日 本ではコミュニティ演劇はほとんど発展していない。 世界に目を向けてみると、「コミュニティ演劇」の運営には、地域の企業や、個人か らの寄付金を集め、民間で財団法人を設立しているケースが多い。実際、ドイツで は、国の経営する劇場は一つもなく、全てが市民の寄付金で運営されている。アメリ カにおいても、公共ホールを貸館として借りるのではなく、公共劇場の運営そのもの を市民が担っている。市民の市民による市民のための劇場を開設すること。それがコ ミュニティ演劇を発展させるための第1歩。そこには、全ての市民の深い理解と協力 が必要不可欠となる。 「コミュニティ演劇」への取り組みは、時間がかかる。それは、市民や行政、文化財 団の意識から始まるからである。途方もない道のりではあるが、その道が1度出来あ がれば、優秀な後進演劇人を必要とする日本の演劇界にとって最大の宝となるはず。 ドイツやアメリカなどの演劇認知度と、全体レベルの高水準化は、コミュニティ演劇 の発展が大きな力となったのだ。 市民と共に作るコミュニティー演劇。次回は、民間で財団法人を作り上げた「北海道 演劇財団」の活動を紹介しながら、コミュニティー演劇のあり方について考えていき ます。 |
|||||
|
2001/8/6
|