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「市民と作る!!コミュニティ演劇・後編」
近代日本は、明治維新、太平洋戦争と、2度にわたる大きな価値基準と社会体制の変 化によって現在の経済的豊かさを手に入れ、発展してきた。そして21世紀を迎え、 社会は新しい価値基準を必要としている。 20世紀が情報技術や科学技術によって発展してきた。21世紀の発展は、最新技術 以上に、「クオリティ・オブ・ライフ(生活文化の質の向上)」がキーワードとな る。芸術文化や、コミュニティ環境も、それぞれが構成要素である。地域社会が創造 する「コミュニティ演劇」が、世界中で注目を集めているのも必然だろう。 しかし、現代日本のコミュニティ演劇として最も奮闘しているであろう「北海道演劇 財団」をしても、なかなか解決が難しい問題がある。それは、「コミュニティと芸術 との融合」だ。 コミュニティ演劇の芸術的役割とは、音楽や絵のそれとは違う。「世界と人間に何が 起こっているのか?その動きと地域社会がどのように関係しているのか?」を、演劇 を通して提案し、人々の心を揺さぶってゆくことが主である。こうした芸術性を、ど のようにしてコミュニティ演劇に取り込んでいくかが、現在の課題だ。 正直なところ、市民参加型で作られるコミュニティ演劇が芸術性を持つことは、最も 困難である。参加者の練習時間も限られ、技術も限られてしまうのだ。さらには、イ ニシアチブを取れる人材も少なく、指導する側も演劇愛好家レベルであることが多 い。そのような場合、市民同士のコミュニケーションにはなれども、社会へテーマを 投げかけるほどの完成度は望めない。 ただし、「コミュニティ演劇」の理想は、地域社会が芸術を生み出すことであり、そ れが社会へと発信してゆくことなのである。指導できる人材を育成しつつ、市民の芸 術への意識を啓発するには時間がかかるが、コミュニティ財団や行政がそのことを十 分に理解し、活動のためのシチュエーションを継続的に提供することで、課題をクリ アしてゆくことは決して不可能ではないはずだ。 ドイツをはじめとする文化大国は、一朝一夕で誕生したわけではない。人々がコミュ ニティ演劇を十分に理解し、期待し、発信し続けることで、必ず文化の芽が生まれて くる。日本のコミュニティ演劇は、まだまだ始まったばかりなのだ。 |
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2001/9/3
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