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ドラマセラピーでココロノ健康ヲ!〜演劇と福祉・2」

養護施設などでの巡回公演や、身体障害者によるミュージカル公演など、児童福祉現 場で意外と芸術に触れることは多いようです。しかし、いじめなどのストレスを抱え て不登校になってしまったり、ゲームの残虐なシーンによって殺人や犯罪に鈍感に なってしまったりというような心の問題を抱えている子どもたちへの芸術教育は、思 いのほか進んでいないようです。

ココロをケアするセラピー(療法)の1つに、ドラマセラピーがあります。これは、 自分自身が抱える矛盾や心の問題を、ドラマ(演劇)を通じて自己表現させること で、引きこもりがちな精神のバランスを正常なものへと導く療法です。

日本演劇学会の尾上明代さんは、世田谷にある国立小学校で、約1年間に渡ってドラ マセラピー的な演劇授業を行いました。

ドラマセラピーには、脚本を元にしてキャスティングする一般的な演劇作りとは、全 く違う効果があります。

尾上さんの授業では、身体や声を使って、ことばや感情を表現する練習からはじまり ました。このとき、子どもたちの“照れ”をなくして、人前で自己表現することに慣 れさせるために、自分自身が手本として自己表現を行いました。それを見た子供たち の心身はウォームアップされ、「あ。自分を表現するって、恥ずかしいことではない んだ……」という気持ちが徐々に芽生えてきます。

数回目の授業からは、日常生活にそっくりのシチュエーションを与え、即興で演技す る練習に取り組みます。ある日の授業では、尾上さんが母親役を演じ、 子どもたちを怒りました。怒られた子どもたちには、思い思いに反抗心を表現 させるというものです。
こうすることで、普段はおとなしい子でも思う存分に反抗し、日頃のストレスを 爆発させます。

母親とのコミュニケーションがうまく行かず、家でいつも良い子を演じ、とうとう不 登校気味となってしまった女子児童は、尾上さん演じる「母親」に、激しい感情をぶ つけました。これをきっかけにして、不登校は治り、家の中でも自分自身の気持ちや 言葉を自然と表現できるようになったといいます。

小さな子どもたちは、大人からは想像できないほどのストレスを感じています。学校 や家庭という社会の中で、感情を爆発させることなく、心をとざしていく子どもたち は、自分自身を表現する場所を求めているのです。それは舞台の上に限らず、日常の 生活のなかにもたくさん存在しています。人と人とのコミュニケーションそのもの が、表現する場所であるということを、尾上さんのドラマセラピーは教えてくれたよ うです。

ドラマセラピーは、ココロの健康をたもつ上で有効な手段の1つです。そして、そこ には演劇の応用性や可能性が無限に広がっていることを再確認させてくれます。現 在、一線級で演劇に携わっている人の中に、こうした効果をアピールできる人がもっ と登場して欲しいと願います。



2001/10/1





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