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「ビバ!稽古場!」〜Vol.1 金沢市民芸術村〜
多くの劇団は、自前の稽古場を持っていません。そのため、集会所や文化センターな ど、市区町村の公共施設を転々としながら、稽古を行っています。利用料無料の施設 も多くありますが、約3時間で1000円前後の利用料を徴収するところもありま す。 ところが、自治体の文化事業費削減によって、これまで無料であった場所が急に 有料になったり、利用料が大幅に値上げされたり、関西では「演劇のメッカ」であっ た施設の廃止が決定したりと、演劇だけでなく、音楽やダンスなど、十分な稽古を必 要とする舞台芸術家にとって、状況は厳しくなるばかり……。ところが、中には、理 想的な施設もあるんです。 金沢市民芸術村は、公共施設には珍しい「365日24時間開館」「利用者完全自主管 理」などを掲げて、1996年10月4日にオープンした総合芸術創作施設です。 大正末期に作られた紡績工場の倉庫を約18億円かけて改修し、外壁をレンガで統一し たおしゃれな外観。中には「アート」「ミュージック」「ドラマ」の3つの工房に加 え、展示・制作・研修・練習など、何でも出来る「マルチ工房」。野外の水上ステー ジで、利用者の個性がたっぷり表現できる「オープンスペース」。金沢市内の古い農 家を移築し、囲炉裏を囲んで話が出来る「里山の家」。芸術家の憩いの場所である欧 風カフェレストラン「レンガ亭」など、内容充実。しかも、利用者の負担をできる限 り軽くするため、利用料金もかなり低く設定されています。 また、古い伝統芸能を伝承する目的で作られた「金沢職人大学校」も併設されてい て、「この地から芸術を発信するぞ!」という意気込みが感じられる施設なんです。 最も魅力的なのは、地元演劇人たちが主張して採用された「市民ディレクターシステ ム」。通常は、財団や自治体関係者が行う企画、管理、運営などを、利用者である市 民にゆだねるというものです。文化事業を“お役所仕事”にしないため、また、利用 する市民の責任感を喚起させるためにも、このシステムはかなり画期的な発想です。 市民も、責任を持って、この施設を利用するわけですから。 もっとも、24時間オープンということに加え、ディレクターも毎日施設にいるわけで はないので、火災や盗難など心配もあったようです。しかし、最終的に頼るのは利用 者のモラル。「ここは自分達の城なんだ!」という誇りと、「ここから若々しい文化 を全国に発信したい!」という強い意気込みのおかげで、開館から5年、大きなトラ ブルは全くおこっていないようです。 そして来年2月。芸術村で創られたドラマが、金沢を飛び出し、東京・世田谷のシア タートラムでも上演されます。金沢市民芸術村ドラマ工房発信企画『蜃気楼』は、98 年から2年間に渡って開かれた戯曲講座の中から優秀作を選び、西川信廣さん(文学 座演出家)が3年かけて演出。数々のワークショップの中から選考された13人のキャ スト、それを支える市民公募によるスタッフ陣。全国公演も視野に入れた“芸術発信 事業”が、ついに始動するんです。 東京から有名人を呼んで、短期間で済ませてしまう一時的なイベントではなく、市民 が力を合わせ、素敵な施設の中で地道に作り上げられた「金沢文化」。素晴らしい工 房から、素晴らしい舞台が生まれる瞬間に、皆さんも立ち会ってみてはいかがでしょ うか? ※詳細は金沢市民芸術村のホームページをご覧ください |
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(文・K)2001/11/19
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