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ボランティアと文化ホールの大切なカンケイ−3− 〜黒部市国際文化センター・コラーレ〜 「ボランティア」という言葉には、「自己犠牲」、「無償奉仕」、「アマチュアリズム」というステロタイプなイメージが常につきまとい、その先にある大きな可能性がなかなか見出しづらいようです。しかし、ボランティアから新たな文化活動への道を切り開いた公共ホールはたくさんあります。そんなエピソードをご紹介するこのシリーズ、今回は「黒部市国際文化センター・コラーレ」です。 黒部市国際文化センター・コラーレは1995年11月、人口約3万7千人の富山県黒部市にオープンした、2つのホールとリハーサル室からなるホールゾーンや、展示、図書、創作、工房等の学習ゾーン、屋外の能舞台のゾーンを兼ね備えた複合施設です。「コラーレ」とは方言で「いらっしゃい」という意味。そして、その名の通り、市民と密接にかかわりを持った、地域密着型の文化施設なのです。 きっかけは、設計者の新居千秋氏の「皆さんのやりたいことが分からなければ設計はできない」という一言だったそうです。また、当時担当者であった石井幹夫さんがいろいろなホールを調査したところ、活力のないホールは、職員だけで全てを決定しアーティストを呼んでいるだけのホールであったことから、「いつまでも活力を持ち続けるためにも、市民が積極的に参加できて、人がどんどんと入れ替われるシステムが必要だ」との考えもあったようです。 そして考え出されたのが、「市民の意思(企画)と手(ボランティア)による運営」とう方針です。 開館の2年前、1993年に「国際文化センター施設運営企画会議」を設置し、施設の実施設計、運営方針、事業内容等を、専門家と市民が一緒になって検討を始めました。開館までの2年間で、5000万円の調査費をかけて、シンポジウムや見学会、ワークショップなどのイベント化した形で、より市民が参加しやすい状況をつくりながら、ハード面(施設の設計)とソフト面(施設での事業システムやプログラム)の準備を平行して進めていったのです。 翌94年には企画会議を解消し、自主事業のプログラムづくりを行う「運営委員会」を財団内に発足させました。メンバーは地域で活動している市民で、任期は2年。月に1回の例会を開くようにしました。もちろん、全員ボランティアで、現在でもコラーレの中心的な組織として活動を続けています。 そして、もっとも注目したいのが「コラーレ倶楽部」です。 開館前から活動していたサポーター育成を目的とした「黒部文化倶楽部」を、開館1年後に改称し、正式に組織化したものです。会費は2年間で3000円とリーズナブルで、チケット優先予約以外にも、ホール使用料50%減免や、ホール内にあるレストランの割引、表方・裏方のボランティア講座を受けられるなど、他のホールのサポートメンバー特典よりもかなり充実している印象があります。 それだけではなく、何と、倶楽部メンバーが何かやりたい場合には企画として運営委員会に提案することが出来て、採用されればホールの自主事業として実現するのです。 コラーレの最高決定機関は理事会です。そして、その理事会に運営方針案等を提出しているのは運営委員会です。ここで全ての企画立案をしているのですが、その過半数は市民からなるアクティブグループに所属している人々です。これは、コラーレ倶楽部の中でも、特に意欲的・積極的に活動したいメンバーが集う、いわばサークルのようなもので、基本的にはコラーレ倶楽部メンバーなのです。 最近、市民ディレクター制を取り入れている文化施設も増えているようですが、コラーレ倶楽部の場合は、きっちりとした役割分担を作っているわけではなく、その都度、やりたい人同士がゆるやかな関係を作り、必要に応じて構成メンバーが入れ替わるような仕組みになっています。これで、常に新鮮な風が入り、マンネリ化することなく、長続きできるというわけです。 しかし、コラーレのように企画・制作を市民の手でやるというのは、市民参加型の事業であってボランティア事業ではない、という意見もあるようです。ボランティアをどう定義するかにもよるのでしょうが、本来、ホールがお金と能力を掛けてやるべきところを、市民の方々が請け負っているという点では、ボランティア事業と言えるでしょう。 ホールに人が集まらないと言われだしてから、ホールがもっと敷居を低くして市民の方に寄っていこうと、さまざまな文化施設でボランティアを巻き込んだ事業を展開しようとしています。しかし、実際はうまく機能していないところが多いようです。 一口にボランティアと言っても、参加する人の意識はそれぞれに違い、これだけしかやらせてくれないとクレームをつける人もいれば、こんなことまで任されるのは嫌だという人もいます。ボランティア講座を開いて、実際に企画・制作を始めると、こんなところまでやるつもりはなかったという声が出てきて、ホールと市民との関係がギクシャクしてしまったという例もあるようです。 人口3万7千人の黒部市で、コラーレの入館者は年間20万人をコンスタントに超え、昨年、ついに累計100万人を突破しました。 コラーレの場合、建設計画の段階から大きな受け皿をつくり、「自分たちの意見が反映されるんだ」「ここは自分たちの夢の城なんだ」と思える状況をつくったことが、今の成功に結び付いているのです。 「地域的な意義が・・・」「市の行政方針にあわなければ・・・」と頑なな態度を崩せずにいる文化施設も多いのでは?ホールには市民が来てナンボです。皆が集いやすい環境を作り、一緒に何かが出来るような関係を生んでいくことも、これからのホールに必要な仕事なのではないでしょうか。 |
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(文・K)2002/7/15
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