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芸術団体と「フランチャイズ」?!
「フランチャイズ」と聞いて、まず思い浮かべるのがコンビニやファミリーレストラン、量販店などの、いわゆる“お店”ではないでしょうか。しかし、この「フランチャイズ」という言葉、芸術団体と地域の文化ホールを結びつける、とっても大切なキーワードでもあるのです。 日本で文化芸術の世界に「フランチャイズ」という言葉が登場したのが、1989年。東京渋谷に東急文化村が開場した折に、クラシックでは東京フィルハーモニー交響楽団と、演劇では1996年に解散したオンシアター自由劇場とフランチャイズ契約を結んだのが始まりです。 一口に「フランチャイズ」といっても、色々な形態があるようですが、契約芸術団体にホールの優先使用の特権を与え、より良い作品を生み出し、それによって地域住民を中心とした観客の要望に応えようというのが、共通した意図です。 歌舞伎には“歌舞伎座”があり、能には“能楽堂”があり、文楽には“文楽劇場”があるように、各芸術団体に拠点となるホールを提供し、そこで繰り返し作品を上演することで、芸術団体も、ホールも、地域住民も共に文化を育て発展させていくことが出来るのです。 海外ではフランチャイズという言葉よりも、「レジデント」という言葉が使われるようです。“RESIDENT”とは「居住する」「長期滞在する」という意味。特にオーケストラに多く、レジデント・オーケストラというと、1つのホールに常駐するオーケストラのことを意味します。それ以外にも、オーケストラが独自で専用のホールを持ち、運営するケースも多く、専用のホールで演奏を重ねながら作品のクオリティーを高めると同時に、地域の文化レベルの向上に努めているのです。 例えば、1999年に初来日を果たし、“シベリウス全集”等の特徴のあるCDで高い評価を受けているフィンランドの「ラハティ交響楽団」は、人口10万人の商業都市のレジデント・オーケストラです。彼らのコンサートホールは、なんと、市議会の総会場と共用できるように設計されていて、録音や放送設備、展示やレセプション用のスペースも完備されています。 市の規模からすると、これだけのホールとオーケストラを運営するには、かなりの費用が必要になりますが、「素晴らしい演奏で世界から評価されているので、市民も納得してくれている」と市長が語っているほど、地域に定着したオーケストラとして、成熟しているのです。 日本では、東京交響楽団が新潟市民芸術文化会館と準フランチャイズ契約を交わし、“地方公演の定期化”を図っています。これは、年間5回、東京で行われる定期公演と同じプログラムを新潟で行うことと、それに附随して、新潟での音楽教室やジュニアオーケストラの指導にも、東京交響楽団のメンバーが積極的に参加するというものです。 その他にも、東京フィルハーモニー交響楽団が千葉市と事業提携を結び、千葉市での定期公演を行っています。また、その一環としてワークショップも実施し、共にコンサートのステージで演奏することで、クラシック音楽の厳しさと楽しさをより効果的に理解してもらう機会にしようと頑張っています。 日本は、バブルの恩恵を受けて、全国に立派なホールが建ち、誰もが舞台芸術に触れられる環境が整っています。しかし、そのホールに見合った文化レベルが地域に根付いているかというと疑問です。ホールはあるけど、それを活かせる芸術団体がない、素晴らしい公演をしたが地域住民が興味を示さない、集客が悪い、などの問題が、どのホールにも共通した悩みのようです。 稽古場で黙々と練習にいそしんでいても、芸術は発展しません。繰り返し上演し、観衆の目に、耳に触れてこそ成熟し、発展するのです。また、観客にとっても、こうした芸術団体を身近に持ち、常に触れ続けることで芸術を見る目が育つのです。 今、ほとんどの芸術団体が、何らかの助成を受けなければ存続出来ません。そして、 芸術団体が存続できなければ、地域の文化の活性化はあり得ません。日本各地の ホールが、そこに見合った芸術団体を「フランチャイズ」として持ち、それぞれの特 徴を打ち出す活動を広めることは、地域文化の振興のためにホールが果たす、とても 大きな役割なるのです。 |
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(文・K)2002/10/21
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