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演劇で世界中と友達に 〜寳田七瀬さん〜
大学生のとあるミュージカル劇団が国際貢献・国際交流をめざして、去る11月23日〜12月4日にタイを訪問、バンコクとチェンマイの小学校や福祉施設、大学で公演を行った。 その劇団は、国際基督教大学(ICU)の学生を主として創られた劇団「虹」という。2001年5月に創設された。これまでに、学内はもちろん、ICUのある東京・三鷹市のほか町田市や墨田区などで公演してきている。「宅配ミュージカル」と名付け、幼稚園・保育園や各種の社会福祉施設を訪れて、舞台を創っている。 劇団の中心になっているのが「寳田七瀬(たからだ・ななせ)さん」。教養学部国際関係学科の4年生。子どもの頃から演劇に親しみ、見るのもやるのも身体に染み付いている。今回のタイ公演50分の作品『七色夏夢(なないろなつゆめ)』も、自分で創作し、7つの歌の詞も曲も作り、演出した。 「将来は国連か国際関係機関で子どもに関わる仕事につきたいと思いながら勉強していくうちに、世界の悲劇のほとんどが人間同士の不信感や孤独感にあるという考えに行き着いた」と言う。 反戦デモにも参加し、渋谷の街でマイクを持ってスピーチもした。しかし、言葉は雑踏のなかに消えてゆく。この意志は、この思いは、なんとしても形にしたい。彼女にとってそれはミュージカルという方法だった。そして、「世界に架ける虹の橋プロジェクト」と謳い、タイを訪れたというわけである。 全国に学生劇団は数知れず多くある。やがては演劇界で注目されるような若手もここから生まれていくのだろう。が、「虹」のような理念を掲げて活動している劇団はあまり聞かない。寳田さんたち若者の独創的な発想と、それを実現してしまう行動力はすごい。 企画の社会的な信頼度を高めようと、企画書を作成。在タイ日本大使館、国際交流基金バンコク支部などから次々に、後援や協力を取り付けてしまう。さらに外務省主管の「日本ASEAN交流年記念事業」の認定もうける。こうして、日本人学生10人と現地スタッフとして協力してくれた7名のタイ人によるミュージカル公演の7回が実現し、2000人の子どもやおとなに見てもらったというわけである。 寳田さんは言う。 「私はこの世界を平和にするのは結局のところ友情だと思う。「タイ」という言葉を聞いたらすぐに脳裏に友人の顔が浮かぶ、そのときした会話を思い出す、その瞬間の街の匂いや、空の色、そんな些細な記憶をもつことが、世界をより良く変えていく力になるのだと思う。 なぜなら、私たちは友だちのいる街に爆弾を落としてほしいと願わないから、自分たちの思い出の場所をミサイルで焼き尽くしてほしいと願わないから」 現地では、大学生など同年代の青年たちと交流する一方、スラムの現状も案内された。しかし、そこでは遊んでいる子どもたちの無邪気な姿にふれ、「悲惨さを感じるというよりも人間のたくましさを知った」とも言う。 悲しいかな、世界に戦争は止まない。が、いま希望はもてなくても絶望はするまい。寳田さんたちのような行動、それを後押しするかのような子どもの姿がある限りは、と思う。 虹 ホームページアドレス http://niji-online.hp.infoseek.co.jp/ |
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(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2004/1/5
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