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演劇でバリアフリー! 〜加藤木鮎子さん〜
赤ずきんちゃんがやってくる。おばあちゃんにクッキーを届けようと…。道端のきれいな花も摘んであげたい。すると、そこへ人間になりすましたおおかみが現われて…。おなじみのお話の人形劇。 でも、ちょっと違う。赤ずきんちゃんがなんと!車椅子に乗っている。おおかみの耳には補聴器!!おばあちゃんも耳がとおい。そしておばあちゃん家の入り口は、スロープがついている。このちょっと違った光景を、客席の子どもたちはふしぎそうに見つめている。 『赤ずきんちゃん』の劇が終ると、人形たちが勢揃いしてごあいさつ。知的ハンディのある人形のケンちゃんとおかあさんの、ほのぼのとしたユーモラスなやりとりには温かい笑いも起きる。 こんな人形劇を学校に出向いて上演しているのは、埼玉県所沢市の松井公民館を本拠に活動を展開している「NPO法人バリアフリー・アートの会わーくぽけっと」の人たち。平日のこの日は、熟年女性たちが出演。なかで、おおかみを演じたのは、この会の事務局長を務め、中心になっている活動している加藤木鮎子(かとうぎ・あゆこ)さん。 加藤木さんはもともと地域の子ども劇場で活動していた。しかしいつしか、社会のバリアフリー化を実現しよう、そのための基本的な活動を芸術の共同創造におきたいと、考えるようになってきた。障碍をもつ人であれ、(今は)ないという人であれ、また、年齢・性別にとらわれないで、さまざまな芸術や表現の楽しさや喜びをいっしょに体験しようと、1999年にこの会を発足させた。そして、地元・所沢の演劇人、歌やダンスの専門家らをまきこみ、ミュージカルづくりを始めたのである。 この会では、心身のハンディを「障害」と書き表すことはしない。障碍と表記する。ここにひとつの見識がある。 もうひとつ、急がず焦らず、じっくりと時間をかけワークショップを重ねて、ひとつの舞台を創ろうとしている。 ひょうたん楽器の製作と演奏、コミュニティダンス、アフリカの太鼓と踊り、つぎつぎにおもしろい企画を実行にうつしながら、みんなの体も心も耕していくのだ。 そうして3年に1回、創作ミュージカルを上演する。旗揚げは2001年10月の『宇宙人伝説』。2回目を今年秋に予定している。 加えて始めたのが人形劇。この劇人形7体は、「NHKわかば基金」の助成を受けて、現代人形劇センターに依頼して作ったもの。本物の人形の魅力もあって、子どもたちも興味津々といったようす。会の人たちは、人形に託して障碍を語り、バリアフリーをともに考えてもらいたいと願っている。 加藤木さんは、「やれることがいっぱいあって楽しい。でも、地域社会のバリアフリーが進んで、お役ごめんになればもっとうれしい」と笑う。しなやかな精神があふれている。 なお、この人形たちが活躍する『赤ずきんちゃん』『山なしもぎ』の上演とワークショップ、それにミュージカル『玉子。わっしょい!』などのプログラムで展開する「低学年の子どものためのバリアフリーフォーラム」を、3月6・7日に松井公民館で開催する。是非、足を運んでみてほしい。 ※問い合わせ先 「NPO法人バリアフリー・アートの会わーくぽけっと」 会事務局 電話&FAX:042−926−6369 |
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(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2004/2/2
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