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「子どもの文化権」を保障する条例づくり〜柳田茂樹さん〜

福岡県朝倉郡杷木町で、10月1日、画期的な条例が施行されました。子どもの文化権を保障した「杷木町文化芸術振興条例」です。国の文化芸術振興基本法が制定されたのは2001年12月ですが、それをどのように具体的に生かす施策がとられていくかが現在のテーマになっています。

それに関連した動きの一つとして、自治体のなかには条例を制定するところがあります。今、3000余りある全国の地方自治体のうち、文化芸術の振興に触れるような条例を定めているところは20程度ですから、まだこれからのことではありますが……。

そんな中で、このたび制定された杷木町の条例は「子どもの文化権の保障」まで明記した画期的なものとなっています。一般的には、文化振興条例ですから、当該自治体の住民として「子ども(あるいは児童青少年)」とことさら言わなくても、その対象に含まれるのは当然と思われますから、あえて明記したこの条例は画期的と言ってよいと思います。

前文と4章14条からなる条例ですが、まず前文には次のように書かれています。「すべての子どもの文化権が保障されるよう、その成長段階に応じて適切にあそびや文化芸術活動に主体的に参加できるよう配慮し、町、家庭、地域、学校、民間団体、企業等が連携し、子どもの文化芸術活動の振興を通じ、人格の形成、心身の豊かな成長を支援することを決意する。」

続いて、第1条(目的)では、「文化芸術振興施策を総合的かつ計画的に推進し、もって子どもの健康で文化的で豊かな心身の成長及び文化の薫り高く潤いのある町づくり」をすすめると謳っています。

さらに第2条(基本理念)8でも、子どもに対する文化的な環境の整備や文化権の保障について示しています。

ところで、この条例の制定を積極的に推進してきた人たちの中心に、柳田茂樹(やなぎた・しげき)さんがいます。柳田さんは現在、特定非営利活動法人「九州沖縄子ども文化芸術協会」の理事長です。

人生の情熱を子ども劇場おやこ劇場運動に傾け、リーダーの一人として、東京での活動を含め30年に及んでいます。子どもたちにすぐれた舞台芸術の鑑賞をと、長年「劇場運動」に携わってきましたが、1990年に東京から九州に帰ってからは、活動の視野を広げ、地域のすべての子どもたちにとって住みよい環境をつくること、文化芸術・創造のまちづくりをすすめることに、力を入れてきました。

柳田さんたちは、熊本県の清和村では山間の廃校を村から借り受けて「子どもの文化学校」を開設し、演劇や音楽など舞台芸術のフェスティバルを開いたり、さまざまな生活文化体験の場、世代交流の場をつくったりしてきました。

やがて、その学校が閉鎖された後は、現在の杷木町に移り(2001年)、旧公民館を「子ども未来館・はき」として再生し、表現と創造の場として日常的に利用できる場をつくっています。そしてこの間、「子ども・未来・はき宣言」(杷木町子どもが育つ文化のまちづくり事業4ヶ年計画 2001年)、「杷木国際子ども芸術フェスティバル」(2001年〜)などを町に提案し、実現してきました。

今回の条例は柳田さんたち住民と行政が、相互に信頼を築いてきた成果と言えるでしょう。この条例と、制定に至る過程は、子どもの舞台芸術環境を創っていこうとしている全国の人たちに明るい指標となりそうです。

特定非営利活動法人九州沖縄子ども文化芸術協会ホームページ
 http://www.kodomo-art.org/


(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2004/11/01