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演劇が生きる親子のふれあい〜中谷安子さん〜
大学で演劇を専攻した中谷安子(なかたに・やすこ)さんは、今、子どもたち、とりわけ、乳幼児やハンデのある子どもたちと、そしてその親たちと、豊かなふれあい・表現活動の場をつくっています。 演劇科で、日本舞踊からシェイクスピアまで、クラシックバレエからマイムまで、演劇全般にわたり学んだ中谷さんは、卒業後、舞台にも立ちましたが、やがて子育てに専念することにし、活動から遠ざかっていきました。 その子育てのなかで、自分の子ども時代の体験が蘇ってきたことが、こんどはわが子だけではなく、親子のふれあい・表現活動を地域で展開するきっかけになりました。 テレビで「宝塚」を楽しんでいた少女期。中学生の時に上級生の嫌がらせにあい、辛い思いをした中谷さんが、自分を見失わなかったのは、大阪放送児童劇団での活動があったからでした。ありのままの自分を受け入れてくれた先生や友だちに支えられ、学校生活の不安を乗り越えることができたのです。 この「学校外の活動に支えられた」体験が、現在の地域活動の原点になっていると言います。 そして―――。 10年余り前のある日、住まいのある東京・世田谷で、学童クラブに指導に招かれ、そこで障碍のある子どもたちと出会います。中谷さんは、身につけた演劇感覚や技法を生かし、その子どもたちとのふれあいが生まれます。そこで、もっと多くの子どもたちと、日常的なふれあいの場「表現遊びの会ラ・ペ」を開くことにしたのです。 毎週、地域の公民館で、会は開かれました。その会は、転居とともに閉じてしまったのですが、それとは別に現在も、1歳半から入園前までの幼い子に、親も一緒に入ってもらって表現教室(子育てサークル)を行っています。親子でふれあうやわらかな遊び、リズム遊び、絵本を一緒に見たり読んでやったり……。 それらの活動には、「根っこは同じ。表現するからだになってほしい」という中谷さんの基本的な考えがあります。乳幼児期に親子がたっぷりとふれあい、信頼感を身に染み込ませることが、今日なにかと取り沙汰されている「子どもの心を育てる」ことになると中谷さんは考えているのです。 今、演劇の心得のある人たちが、それぞれ、既存の場を活かしたり自ら設けたりして、子どもと言わず高齢者と言わず、さまざまな人々に体験の機会を提供していることは、基本的には意義あることと思います。そういう演劇教室なり演劇ワークショップなりが全国的に広がっていますが、演劇がすべての人の日常にあたりまえに見られる社会にするためには、幼い時から演劇に親しむ環境をつくることが求められます。そのためにも、片手間にではなく指導に当たれる人がもっと必要になってくるでしょう。 中谷さんは、最近、「保育士」の資格も取得しました。「好奇心と無鉄砲で…」と笑いますが、演劇と保育・教育を結ぶ専門的な人が増えることは、とてもうれしいことです。 |
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(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2005/2/7
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