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子どもと親と市民の結び目〜進藤敬子さん

進藤敬子(しんどう・けいこ)さんは、子どもと教育に関して埼玉県内で展開されているさまざまな市民運動の代表的な世話役、ネットワークの重要な結び目の役を果たしていますが、その活動の根っこに豊かな演劇体験が生きているようです。

東京・足立区で中学校の国語科教員になり、演劇部を担当し、夜には舞台芸術学院に通って自分も演劇を学びながら、生徒たちを区の代表として東京都大会にもたびたび出場させてやるほどでした。やがて、地元・埼玉に転勤し、今度は(旧)大宮市で近隣の中学校と一緒に大会を開いたり、市民演劇祭に出場したりするなど、中学生の演劇活動に力を注いでいました。

かたわら、教員・市職員・学生らと共に大宮にアマチュア劇団を創り、拠点を作って活動していたのですが、演劇熱が昂じて、結局教員を退職してしまいます。そして劇団レクラム舎の研究生を経て入団した劇団秘宝零番館(竹内銃一郎主宰)で、俳優・演出助手として舞台を創りました。

その後、1990年からは、おやこ劇場を活動の拠点にします。居住する久喜市に「おやこげきじょう」を設立したのを手始めに、活動は埼玉全県的な立場に広がってきます。「彩・幸・祭(舞台芸術祭)」(2回)、「三世代フェスティバル」「子どもフォーラム」、久喜市の「表現フェスティバル」、表現遊びの会「キャラ」など、次々に繰り広げられる活動の場の中心にいつも進藤さんの姿が見られます。

キーワードは子どもと表現です。これらの催しでは、子どもたちの舞台が必ず創られています。「彩・幸・祭」での『子どもの十字軍』(ブレヒト原作)の上演、中学・高校生の創作表現のコーディネートなどです。

さらに、現在、毎月1回、久喜で「NPOハローハンディキャップ・タイム」の子どもたちと音楽活動を楽しんだり、夏には、大宮で「平和に生きるためのことば&音」を開催し、音楽・演劇・詩の表現を創ったりしています。

このように、さまざまな場で子どもたちを応援し、親たちを世話し、表現活動の楽しさや表現する喜びに誘う− 。また、市民運動の世話役として多様な立場の人たちをつなぎ、結びつける役割を務める− 。これらは、誰にでもできることではありません。演劇も市民運動も「自立と協働」という困難な道の先に明るい光景が見えてくるものです。進藤さんは、このむずかしい道程を多くの人たちと手を取り合い、ときには先頭に立ち、ときには後ろからみんなを励ましながら歩んでいます。

人柄に加え、演劇で培ったものでしょう。おおらかさが周りの人たちに安心感を与え、豊かな体験で裏打ちされた技法が信頼されているのです。

きょうもあちこちを飛び回って、カラカラと笑い声をあげながら、空気をやわらかくほぐしています。


(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2006/1/9