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<最終回>どうなる?!未来のドラマティックな世界?!

前回、「閑話休題」なんて言っていましたら、文部科学省の中央教育審議会教育課程部会が、現行の学習指導要領改定を示唆し、その中で読み書きの「言葉の力」と理数の学力をつけることに今度は主眼を置くという発表がなされました(2月9日「朝日新聞」ほか)。

これは、昨今の「学力低下」論を意識し、学校生活に「ゆとり」をというねらいよりも、いわゆる学力増進へと舵を切るということなのでしょうか。そうだとすると「『総合的な学習』の時間」はどうされるのか、気になるところです。

さて、小・中学校で2002年度(高校は2003年度)から実施されている『総合的な学習』の時間ですが、当時の文部省が、その内容に関して「たとえば」としながらも4つの領域(国際理解/環境/情報/福祉・健康)を示したことから、多くの学校ではそれらをテーマにした授業を行っているようです。

しかし、現行の指導要領のねらいは「生きる力」を養うということであり、子どもの実態に即してそのねらいに迫ろうということです。ですから、それに沿ってみれば、いま子どもたちには表現力とかコミュニケーション能力とかが重要ではないかという認識から、そういうものを養うためにと、演劇・表現の活動が積極的に行われるようになったのです。

近年、演劇人が学校に入って子どもたちを直接指導する場面が増えてきたのは、そういう流れの中で要請されていることです。それなのに、その指導要領が変わるとなれば、ではこの時間はどうなるの?となります。

そういういうわけで、急遽このコーナーでは、いま演劇・表現活動に活かしている『総合的な学習』の時間の実際を、いろいろ紹介しようと思います。全国あちこちの学校で展開されている実例を見ていただければ、まさに総合的な学習にふさわしい演劇・表現活動の今日的な意義の大きさを認識していただけるのではないかと思います。

ところで、去る2月に東京・杉並区で子どもたちの劇の上演と演劇教育に関するシンポジウムが開かれました。16日は区立富士見丘中学校1年生の、24日は区立富士見丘小学校6年生の、年間を通した演劇授業の成果の発表とそれの検討をしてみようという催しでした。

2004年度、日本劇作家協会が杉並区教育委員会から委託されて年間を通して演劇の授業を行うということで、大きな話題になり、NHKテレビなどマス・メディアが挙って紹介したものです。3年計画の初年度の経過は月刊誌『演劇と教育』(日本演劇教育連盟編集/晩成書房発行)で連載され、興味・関心をよぶなかで、共感・疑問の声が交錯するものでした。評価はここでは差し控えますが、『総合的な学習』の時間を使った授業として行われたものです。先月開かれた催しは、小学校は2年目、中学校は1年目のものです。

『総合的な学習』の時間をおおいに活用して演劇・表現活動に取り組むということは、かねてより演劇教育を自主的に実践していた教員にとって、自分たちのやっていることの意義が認められたような気持ちにもなり、『演劇と教育』誌ほか演劇教育関係団体の機関誌紙などでは、その具体的な実践がこれまでたびたび紹介されています。(同誌ではこの3月号でも「演劇人とつくる授業」を特集しています。また、日本児童演劇協会の機関誌『児童演劇』も「学校での劇的表現活動」として、いまシリーズで紹介しています。)

次回からの具体例の紹介の前に、まずは概況を見てください。現在学校で行われている演劇・表現活動のありかたをひとまず整理してみると、つぎのようなパターンに分けられるようです。

1)ほぼ通年の授業としてその学校の教員自身が指導しているもの。
2)ほぼ通年の授業に外部から演劇人など専門の講師を招いて行っているもの。
3)年間の一時期に限ってその学校の教員自身が指導しているもの。
4)年間の一時期に限って外部から演劇人など専門の講師を招いて行っているもの。

次期学習指導要領については、基本理念として「『言葉』と『体験』を重視する必要がある」と言っているようです。したがって、演劇・表現活動の重要性が『総合的な学習』の時間もろとも消えてしまうということではないでしょう。

ともあれ、以上のような事態を迎え、次回からは少し具体的な例を紹介します。なお、読者のみなさんからの情報もお寄せいただければありがたく思います。


(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2006/3/6