under


 
 
今月のテーマ
    現代のニッポン演劇の「王道」とは?


「演劇タイムズ」はそれぞれのメルマガスタンドから、演劇ファン、劇団関係者、フリーの俳優、プロデューサー、公共ホールの事業担当者、演劇鑑賞団体の方々など、800名以上の方々にご愛読いただいております。

皆さんと一緒に、一つのテーマについて、それぞれの立場から自由なご意見をいただくこのコーナー。今回のテーマは「現代のニッポン演劇の「王道」とは?」です。さてさて、どんなご意見が届いているのでしょうか?

+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−

まず、今回のテーマに関して、「歌舞伎」「能」「狂言」「落語」といった、古典芸能を挙げられる方がとてもたくさんいらっしゃいました。ただし、皆さん「敢えて王道というならば…」という注釈付き。「ニッポン演劇の王道」が、なかなか見つからないと言うのが、皆さんの共通見解のようです。

ニッポン演劇の王道はないのか?という疑問にズバリと答えて下さったのが、匿名希望さんのこちらのご意見―――。

アメリカの演劇の王道がミュージカルなら、日本の王道は歌舞伎といいたいところですが、敢えて、王道は「無し」と答えようと思います。

そもそも日本の演劇は能、狂言、歌舞伎、新劇、新派、アングラ、小劇場と、新しい演劇が古い演劇を刷新するわけでもなく、古いテキストを新しい演出で表現するわけでもなく、それぞれが互いに緊張関係を構築しながら共存してるのが特色だと思うのです。

だから、ある一時期、メインストリームと呼ばれる演劇が存在しても、それは長続きしません。だから、無しです。

確かに、日本の演劇史を振り返ってみると、次々に新しいものが登場しながらも、それによって大きな変革はもたらされず、古いもの、新しいものなどがそれぞれ“別々に”生き残ってきている感がありますね。

王道を築き上げるというよりも、常に他とは違うことをやろうとして新たなジャンルが出来上がり、従来のものはそれを受け入れずに独自路線をひた走る……。
匿名さんのおっしゃることは、日本演劇界をズバリ斬っているご意見かも。

最近は歌舞伎を野田英樹さんが演出されるなど、ねじれの位置同士にあるジャンルが融合されはじめてきました。この流れは、今までの流れを変えてゆくことができるのでしょうか?

+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−

「こういうものに王道になって欲しい」というご意見もたくさん頂きました。
例えば、ハンドルネーム「cheekee」さん(俳優・33歳)からのご意見――――。

海外の演劇関係者と話すと必ず伝統芸能の様式演技のことを聞かれます。むしろ海外の方のほうが日本の伝統的な演技様式に興味をもたれているような気がします。

逆に日本の演劇関係者の中には未だ伝統芸能を観たことがないとか、現代演劇をやっている人の中には「伝統芸能と現代演劇はまったく違うもの」と考えている方もいます。

伝統芸能は日本演劇の財産だと思うので、その考え方や精神、良い部分はどんどん取り入れて似非ジャポニズムにとどまらない現代演劇が生まれてくるといいなぁ、と思います。

個人的には様式的演技を追及しているク・ナウカや山の手事情社に次代の王道になっていってほしいです。

そして、ハンドルネーム「キミキミ」さん(公共文化施設職員)からのご意見―――。

私は日本の古典演劇である能・狂言をもう一度見直してみてはどうかと思っています。原点に返るなんてだいそれたことではないのですが、古典はなにか日本人の心に訴えるものがあると考えています。
そのなかでも狂言はもともと庶民のための娯楽だったので、能に比べ現代の日本人に受け入れやすく、新たな可能性が見出せると思うのです。

伝統芸能を見直そうというご意見は、本当にたくさん頂きました。cheekeeさんのおっしゃるとおり、伝統芸能だけでなく、日本の歴史自体を知らない日本人があまりにも多すぎるように感じます。

日本の伝統文化や、日本の戦争の歴史、どういった経緯で今の社会があるのか。
また、 それについて日本人がどう考えているのか。一体、どれだけの日本人が答えることが出来るでしょうか。

色々な意味で、古典を見直すことが必要なのかもしれませんね。

+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−

そして、こちらは最近の演劇事情から見た、ハンドルネーム「真田克幸」さん(大学生・24歳)からの納得のご意見―――。

最近ではゲームや漫画的要素を持った劇が広く受け入れられているような気がするのです。演出方法や小ネタ、扱う題材にまでそういった要素を含む傾向があるのではないかと。

キャラメルボックスや劇団☆新感線、それに自分が見てきた演劇の多くは、ゲーム的マンガ的要素を強く持っていると思います。

そういう意味で『マンガ的な演劇』は大きな流れの一つではないでしょうか。

今は、色々な演劇の形があり、また生まれている時代のような気がします。古典芸能も従来の範疇に収まらず、現代的な試みがなされていたりします。ですからこれから先、王道というのがあるとしたら、それは生み出されていくものなのかもしれないなぁ、と考えております。

確かに、日本のゲームやアニメというのは、いまや世界に誇る文化の一つとなっていますよね。非現実的な世界の中から、現代にフィードバックさせられるようなテーマ性を強く感じられることがあります。

直接的にドーンとぶつけられると拒否してしまうような現代人に対して、大切なテーマを伝えるための1つの手段としても、「マンガ的演劇」は大きな役割を果たしているのかもしれませんね。

+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−

次に、ハンドルネーム「KAZ」さん(俳優・36歳)からのご意見―――。

うーん、王道っていうか、登竜門がほしい・・・。
そういう厳しい教育機関がほしい。それがあっての王道だと思うんだが。

そうなんですよね。教育機関が必要ですよね。

このことに関しては、長く議論されているにも関わらず、なかなか実現に向けての具体的な動きが見えないのが実情です。でも、日本劇団協議会では、そういった教育機関を作ろうという動きが、徐々に出始めているようですよ。

この動きに、是非期待したいものですね。

+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−

そして、最後にユニークなご意見をご紹介しましょう。
ハンドルネーム「うなぎイヌ」さん(32歳・公共文化施設職員)からのご意見―――。

事務室内でネタを振ったところ、
「よしもと新喜劇」との声が一番でした。理由は関西出身者が多かったせいでしょうか…。

次に、匿名希望さんからの、ちょっと耳の痛いご意見も―――。

ぼくの偏見かもしれませんが、”演劇”というとどうもサブカルチャー的なにおいを感じるもんで、いわゆる”王道”とは相反するイメージがあるんですよね。前衛的なものって、やっぱ王道じゃないもんね。

+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−+−

今回も、本当にたくさんのご意見を頂きました。ありがとうございました。
皆さん、「難しい!」「王道なんてないんじゃないの?」とかなり苦悩しながらも、日本の演劇界にも、世界に誇れる王道があるべきだ、作って行かなければ!という、熱い思いを持っていらっしゃるのを、ひしひしと感じました。
このテーマに関しては、今後も考えてゆきたいですね。

さて、第6回目の募集テーマはこちら……

 −−−−−−−−−−−−−−−−−−
  演劇人は、こんな“仕事”をするべきだ!
 −−−−−−−−−−−−−−−−−−

“仕事”といってもアルバイトではなく、演劇のノウハウや技術を活かして、人や社会や経済に役立つ“仕事”です。

演劇という可能性は劇場の中だけでなく、もっともっといろんな場所にあるはず。これからの演劇人に、「もっともっとこういうことをやって欲しい!」という願いや注文など、自由なご意見をお寄せください。お待ちしております!

ご意見はこちらまで――――――――
   goiken@drama-edu.net
    ・ 締切は1月11日(火)です。
    ・ 特定の個人・団体を誹謗・中傷するご意見は掲載不可です。
 ――――――――――――――――

メールフォームに「ご意見」とお書きの上、本文中にハンドルネームと年齢、ご職業をお忘れなく。本名やメールアドレスなどは一切公表いたしませんが、もし、公表を希望される方がいらっしゃいましたら、そのむねお書き添えください。

どしどし、ご意見をお送りくださいね。お待ちしてます!

※こちらのテーマは締め切りました。
 たくさんのご意見、ありがとうございました。
 ご意見、ご感想などがあれば、メールフォームよりどしどしお寄せ下さい!
 お待ちしております!


(文・O)2004/12/13