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特別取材編 vol.1
   現在のチケットシステムはどうなってるの??


皆さんと一緒に、一つのテーマについて、それぞれの立場から自由なご意見をいただくこのコーナー。前回のテーマ「求む!演劇界を盛り上げるこんなチケット販売システム!」に向けていただいた「いったい劇場などはどう考えているの?」という逆質問にお答えすべく、東京を代表するホールである世田谷パブリックシアターに現在のチケットシステムと今後の展望について取材させて頂きました。

さてさて、一体どのようなシステムを運用していらっしゃるのでしょうか?
世田谷パブリックシアターのマーケティング担当の清水言一(しみず・げんいち)さんにお話を伺いました。

Q. 主催者手売りの時代から、プレイガイドの登場、オンラインチケットシステムの開始と、時代と共にチケッティングのシステムもどんどん進化してきていますが、システムの変化にともなうチケットの売れ方の変化をどうお考えになりますか?


たしかに、プレイガイドがオンライン化されたことによって、情報提供とチケット流通の環境は激変し、顧客の利便性は格段に上がりました。しかし、このところのチケットの売れ方にはちょっと気になる状況が出てきています。

従来は、前売り開始の段階である程度の販売数があり、その後、発売期間中、そして開演後と販売が伸びるというのが一般的なパターンでした。しかし最近は、前売り期間中の伸びが無く、開演しても数字がなかなか動かないというケースや、売れるものと売れないものの差が極端になってきているような状況が、かなり見受けられるようになってきてますね。

情報流通環境が進化した結果、かえってマスコミやプレイガイドが取り上げる話題作に観客が集中し、購買パターンが一律化しているのではないかと危惧しています。

演劇マーケット自体は、来日ミュージカル公演や大型のプロデュース公演が盛況で、ボリュームは伸びているようですが、それは客単価が上がっているのであって、実は客数は減ってきてるんです。特に現代演劇分野は深刻ですね。現代演劇の客数の低下という状況は、今後業界全体にとって大きな問題となる可能性があります。

このような状況を打開するために、まず必要になってくるのは、マスコミやプレイガイドに頼るのではなく、自分達の情報を確実にお客様に提供し、その上でチケットを直接手渡す仕組みだと思います。そして、当然その仕組みの基盤はインターネットということになります。

Q. 世田谷パブリックシアターではメールマガジン購読者にインターネット経由による先行プレオーダーサービスを実施していますよね。


世田谷パブリックシアターには、ホームページから登録してもらうメールマガジン購読顧客が約8000人います。この皆さんを対象に抽選予約の形で人気が集中する公演の受付を行っていますが、この運用はPARCO劇場さんが自社のメール会員に提供している仕組みを利用させてもらっています。

また、お互いの先行予約情報をそれぞれの会員に提供するという、いわば特典情報の相互交流の試みを以前から実施して、かなりの効果を上げています。世田谷の情報をPARCO劇場からPARCOのメール会員に紹介してもらうとともに、PARCOの情報を世田谷のメール顧客に紹介する、というものです。

これを実現することができたのは、web上の顧客はむしろ相互活用し、それぞれから特典情報を提供することで、顧客を活性化させることがお互いのメリットになる、という考え方で一致したからです。

現在この考えをさらに進めて、演劇業界が共同で活用できるWeb上の情報交流基盤を作れないかと考えているところです。そしてこれが、先ほどの情報の集中化や客数の低下に対して効果を上げられるのではないかと期待しています。

Q. 世田谷パブリックシアターでは、2003年からチケットレスシステムを導入していらっしゃいましたよね?


はい。「楽チケ」チケットレスサービスですね。
このシステムはもともと吉本興業さんが、松下電器とJCBと一緒に開発したもので、われわれにとってもホームページからクレジットカードを使って直接チケットを購入して頂ける初めてのサービスとなりました。

ところが「楽チケ」の事業撤退にともない、今年の3月をもってサービスを終了しています。ユーザーからは高く評価されていたので、大変残念でした。

しかし、このサービスを運用することで、インターネットチケット販売の手ごたえは十分ありました。予想外だったのは、当初ユーザーは若年層が占めると思っていたのに、実際は購入者の約70%が40代以上の女性だったことです。

つまりクレジットカードでネット上の買い物に慣れている客層にアピールしたわけです。朝10時から電話予約の必要がないし、予約したチケットの引き取りも無いし、こういうサービスを待っていた、という声が殆んどでした。

ただ、クレジットカードを持っていない若年層や、ネット上にカード番号を入力することに抵抗のある方にどう対応するのか、また、集中的なアクセスに対するキャパシティーの問題など、課題はありました。

そこで、これらの課題解決も含めて、あらたにインターネットチケットシステムの構築を考えざるをえない、ということになったんです。
そして、実はもうすでにプロジェクトが動き出しているんですよ。

いよいよ核心に迫るところですが、開発の都合上、すぐには全てを明かせないようです。ただポイントは、興行側が皆で使える標準形のソフトウェアを目指しているということ。

「チケット流通にとって決定的な転換点になるかもしれませんよ」

そんな言葉もまんざら夢物語ではなさそうな…。世田谷パブリックシアター発の新しいチケットシステムとは、一体どんなものなのでしょうか?次回さらに詳しく伺ってみたいと思います。どうぞ、ご期待ください!!


(構成/文・O)2005/6/13