世の中には、子どもの為、児童の為の文化を研究したり実践したりする組織がたくさんあります。
子どもへの語りかけや、お芝居、人形劇、朗読などのアートの分野での実践があったり、それを学術的に研究したり…。内容は、組織によって様々です。
今回は、そういった子どものための文化を考える組織、「日本子ども文化学会」を取材しました。
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東京都江戸川区立小松川小学校校長
日本こども文化学会会長
飯口進先生
・中京女子大学客員教授
・全国公立小学校児童文化研究会長
・東京都小学校児童文化研究会長
・日本子ども文化学会会長
と沢山の顔を持つ飯口先生。
固そうな肩書きを持ちながらも、とても温和で柔軟で、ヘンテコリン。
別名「ひぐらしスーサン」。
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江戸川区立小松川小学校で開かれた、日本子ども文化学会の公開講座へお邪魔しました。
この日は、風が少し強いけど、気持ちよく晴れた良い天気。お休みだというのに、朝から学校に子ども達が溢れ、ゲストティーチャーの授業を今か今かと待ち望んでいました。
各学年、学級ごとにパネルシアターや朗読、シアターゲーム、表現遊び、パントマイム、見立て遊びなど、色々な特別講座が開かれていました。
普段の学校の授業と違うとあって、子ども達は目をキラキラさせながら、ゲストティーチャーの言葉に耳を傾け、大いに遊んでいます。
保護者の方々も、いつもは見ない子どもの様子を目の当たりにして、遊びの中から学ぶことの大きさを、改めて発見したようでした。
では、その様子をちょっと覗いてみましょう―――――
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●シアターゲーム。
音に合わせて手をたたいたり、声に乗せて
身体を動かしたり!
いっぱい、いっぱい動きました! |
●パネルシアター
布を使った人形劇風紙芝居とでもいいましょうか。
歌やお話をたくさん楽しめるとあって、みんな釘付けです。 |
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●表現遊び
演劇的な表現を使って、動物になってみたり、
虫になってみたり。
その中から、普段とは違うものの見方が楽しめ
るようです。
ちょっと照れちゃうけど、やってみたら楽しい! |
●パントマイム
壁のパントマイムの練習中。
むむむ、簡単そうに見えて、結構むつかしいぞ…。
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●見立て遊び
スーパーの買い物袋を使って、波になったり、
町並みになったり…。
こんな身近なものが、あっというまに遊び道具
に早代わり!
イメージするだけで、どんなものでも楽しくなっ
ちゃうんです。 |
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「人間関係の中で自己を高められる子どもに育って欲しい!」
〜日本子ども文化学会の活動〜
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こちらの団体は、どのような活動をされているのですか? |
今の激動する世の中を逞しく、心豊かに生き抜き、未来を担ってゆく子どもを育てる為には、子ども文化の形成がとても重要なんです。
文化っていうのは、地域によって違うでしょ。挨拶の仕方一つをとってみてもお辞儀、握手、頬を近づける、といった具合に、その地域地方の人々が価値を共有して、同じ行動形態をとる中で生まれてくるんですよ。
子ども文化も同じで、生活や学習、遊びなどの色々なところで価値を共有して、同一行動様式を持つ中で生まれてくるんです。でも、悲しいかな一番価値を共有し合える学校という空間で、全国13万人といわれる不登校児童生徒がいたり、いじめや非行が多発したりしてる。
これも今の子ども文化の1つとなってしまっているのですが、こういった“負”の文化を内包した中での、明るい“正”の文化形成に迫ってゆくにはどうすればいいか、を課題にしているんです。
ただ、僕たちのいう“子ども文化”ってのは、“児童文化”と違って、子どもの範囲を児童に限らず、幼児から学生、成人一般にまで広げて研究実践の対象としています。

というのは、幼児から生徒、学生、成人という一連の発達段階を踏まえた内容にしたいからなんですよ。大人と子どもの関わりが、子ども文化に与える影響って強いですからね。
で、この学会を通じて、子どもの生きる力を培ってゆきたいんです。瑞々しい感性と感動力、想像力や表現力が豊かで、人との関わりの中で自己を高めて人間関係を豊かにできる子どもを目指す。そして、そういった子ども文化の形成に力を注ぐことのできる大人として、研究・実践をすすめることが、この学会の趣旨なんです。
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名刺にもあるように、いろいろなところの会長をやっているんですけどもね、これらは学校の先生だけの組織なんです。
先生は、とてもかっちりしているでしょ。だから、とても中身の充実はするんですよ。勉強も熱心だし、とにかく真面目ですからね。
でも、先生だけでなく、「次の世代の子どもの為に何かやろう!」という人は、沢山いるわけですよ。しかも、色々な分野で活躍していらっしゃる。そういう人たちとの交流がないのは、とても不自然だし、何と言っても広がりがでないでしょ。
私たちも、子ども達のためにもっと広く活動をして、もっと色々なことを吸収して、さらに活動の中身を充実させて行きたい、と。
だから、今ある枠を取っ払って、先生とかプロとかアマチュアとか関係なく力をあわせられる組織が欲しかったんですよ。それがきっかけですかね。
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「もっと同士を集めたい!」
〜子ども達の“キラキラ”のために〜
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どういう人が、文化学会の会員になっていらっしゃるんですか? |

3分の1が、私の人脈ですかね。その後、こういった活動に興味を持ってくださる方が、少しずつ増えてきました。
まさに想いが通じたように、3分の1がプロのアーティスト。3分の1が理論肌の人。3分の1が、興味があって入ってきた一般の人、と言った具合に、各方面入り乱れて、とても広い範囲の人が集まってくれました。
これは、本当に嬉しいことですね。
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先生自身も腹話術をやっていらっしゃいますが、どういったきっかけで始められたのですか? |
8〜9年前位ですかね。幼稚園の園長をやってたんですよ。でも、幼稚園の子ども達は、すぐざわつくでしょう。普通にしゃべったって聞きやしない。(笑)
でも、紙芝居とか人形劇とかがくると、身じろぎ1つせずにみてるでしょ。あ、これだ!と思ってね。それから始めたんです。今では、入学式とかには、いつも腹話術なんですよ。
子ども達にも受けが良くて。よく話を聞いてくれますよ。それに、そうやっていつでも芸術に触れていられる空間も作られるし。始めてよかったと思いますね。
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この活動をされていて、一番心に残っているエピソードはありますか?
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エピソードという訳ではないのだけど、嬉しいのはね、ゲストティーチャーがきて、保護者が見守る中で、子どもがキラキラして遊んで学んでいるのを見るのが、一番嬉しいね。担任の先生に教えられるより、2倍も3倍も輝いてるもんね。(笑)
こういう公開講座を学校でやっている所は少ないんですよ。僕が赴任してくるまでは、ここでも勿論やってなかった。そこへ僕が赴任してきて、突然始めたんですよ。
他の先生にしてはカルチャーショックだったでしょうね。訳も分からず始められてしまって、大変だっただろうと思いますよ。
それ でもこの活動が続けていられるのは、そこに必要なものを感じたからなんでしょう。
創造的なものもそうですが、特にその中でも表現というものを取り上げてやっているんですよ。いろんな手法があるでしょ。劇団の表現もあれば、パネルシアターのようなものがあったり。そういった生の表現に触れてゆくことで、子ども達自身の表現力を高めてゆこうというのは、どの先生達も考えていたんですよね。
しかし、先生がたにはノウハウがない。だから、この活動の中で、先生達も学んでいるんですよ。今日も朝から頑張ってやってくれていたしね。
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まず、大阪・埼玉を先駆けにして、全国に支部を作るつもりです。
こういった公開講座とかの内容は、全国的に広まりつつあるんですよ。表現とか芸術という分野は、今とても注目されている。それに、とても必要なことでしょ。子ども達の感性や表現力を育てるには、とても必要なものですからね。これを、もっと広く、全国に展開してゆきたいんです。
ただ、欠けているのはね、「学会」という名称に相応しいはずの学術的な部分。ここをね、もっと充実させてゆきたいんですよ。
それで、「日本子ども文化学会学術研究所」を作ったんです。研究員を増やして、実践したことを振り返って、子ども達に何が、どういう影響を与えているのか。どんな文化が創られているのか。そして、それを発表する場を、どんどんと増やしてゆきたいです。
それから、もっと色んな団体さんとの横の繋がりも深めてゆきたいですね。情報交換を活発にして、より子どもの為になるような、そんな組織にしてゆきたいです。
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インタビュー後記
「ひぐらしスーサン」とは、腹話術をやっている時の先生の愛称。
午後の講演会でも、会場全体で「スーサ〜ン」と呼びかけると、相棒のケンちゃんを抱えて登場し、普通なら堅苦しくなりそうな主催者挨拶も、とても愉快は雰囲気で行われました。こんな雰囲気で、入学式や終業式、卒業式が行われるなんて、とっても素敵ですよね。
公開講座の中の子ども達も、人に触れ、芸術に触れ、その中で自分を表現する楽しさを、存分に味わっていました。こんな校長先生のいる学校が、羨ましい!
今、学校の授業時間の関係や、財政的な問題で、芸術鑑賞教室が年々減少の傾向にあります。それでも、心豊かな人間に成長してもらいたい、というのは、教育関係者だけでなく、社会全体の願いです。この願いを実現し、子ども達に沢山の潤いを与えられるよう、これからも日本子ども文化学会の活動を応援してゆきたいと思います。
ちなみに、日本子ども文化学会に入会すると、ひぐらしスーサンの腹話術教室に参加できますよ。興味のある方は、どしどし、お問い合わせ下さい!
日本子ども文化学会ホームページ
http://kodomobunkaland.hp.infoseek.co.jp/top.html
腹話術教室 詳細お問い合わせ
〒132−0035
東京都江戸川区平井4−1−23
小松川小学校内 飯口 進 先生まで
Phone&Fax 03−3685−4659
Email kenchan@to.email.ne.jp
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