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NHK教育テレビの企画力 Vol.2「えいごリアン」
〜子どもと先生の“初めて”を応援する英語学習番組〜


ほとんどの人が会社や学校に行っていて、なかなか見る機会の少ない教育番組。学校で見せられた“つまらない”イメージをお持ちの方も多いのではないでしょうか?でも、最近の教育テレビでは、“マニア”が誕生するくらいに人気の番組が次々と登場しています。

中でも興味深いのが、「総合的な学習の時間」にも活用できる番組群。「子どもたちの好奇心や学習意欲をかきたてるには、どんなテーマを設定しようか?」「番組を通じて、どんなことを学んで欲しいか?」など、番組の送り手側の自由な発想や、鋭い企画力が活きています。そしてそこには、演劇や教育に携わる人々にとって、刺激的で学ぶべきことが沢山含まれています。

今回は、「演劇よ学べ!NHK教育テレビの企画力」の第2回目。人気の英語学習番組「えいごリアン」です。


●「えいごリアン」
〜子どもと先生の“初めて”を応援する英語学習番組〜

2002年より、いよいよ全国の小学校に対し、必修科目に「英語」が導入されました。また、総合学習の時間もスタートし、これまでとは違った新しい学習のあり方が模索されています。

学校教育の理想が高まる一方、不安なのはやはり現場の先生方……。一部新聞でも報道されていましたが、「校外関係者との連携不足」、「担当教員が青写真を作るイメージが持てない」など、その問題点も浮き彫りになってきたという声が少なくありません。 

小学生に初めて「英語」を教える先生方の大きな力になってくれるのが、「えいごリアン」。授業に不安を抱く先生ににも、簡単にかつ楽しく子どもたちに教える自信を持たせてくれる番組です。

この番組は、小学校3,4年生対象の外国語学習番組として、2000年から放送され、一時はちょっとしたブームを巻き起こしました。現在は既に放送を終了しているのですが、あまりの反響に、今も頻繁に再放送されています。今年度の「英語」授業開始に伴い、「是非参考にしたい!」という意見が多く寄せられた結果です。

また、それ以外にも、小学校5,6年生向の「スーパーえいごリアン」も、新たに切り口を変えて再放送されています。

メインキャストは、バラエティー番組でもおなじみのパントマイミスト、中村ゆうじ。他の2名の外国人の方も、身体表現が豊かでユーモアのセンスも抜群!登場人物のボディランゲージだけで、十分に言葉の意味が伝わってきます。

番組のイメージキャラクターにもなっている不思議な星人「えいごリアン」は、きのこそっくりの形をしたへんてこで面白い存在。“オモシロ”、“変”好きの現代の感覚にもにマッチしています。

構成はシンプルで、歌やお芝居、ダンス、アニメーションをふんだんに取り入れ、分かりやすく楽しく、とにかく「英語を使ってみたい!」と思える内容になっています。当たり前ですが「難しくないこと」と「面白いこと」、これが一番大切なんですよね。さらに、古臭くなく、洗練されたセンスが加わっていることが、最近の教育テレビの最も評価すべき点です。

特にこの番組の素晴らしい点は2つ。1つは、チャレンジのコーナーです。

これは、きのこそっくりの“えいごリアン”を食べてしまったユージ(中村ゆうじ)が、小さな子ども“ミニユージ”に変身し、町の外国人の所へ出向いて、英語でコミュニケーションをするというものです。

この番組の趣旨でもある、「日常的な英語表現に慣れ親しむことで、国際社会の中で生きていくためのコミニ ュケーション能力をはぐくむこと。そして英語を通じて外国の文化に触れることで、国際理解を深めること」、それをそのまま“ミニユージ” が実践してみせてくれるのです。

“ミニユージ”も、第1回では、恐る恐るで、まだ英語を使って表現することに不安を感じているところが見えますが、回を重ねるうち、表現することに自信も出てきて、ぐんぐんと上達してゆきます。訪ねた外国人の方は、アフリカからモンゴル、ブラジル、中国などなど……。中には、英語が苦手な外国人もいたりします。

ぺらぺらと堪能に英語をしゃべる外国人よりも、視聴者と同年齢層の子どもがチャレンジしながら上達する姿を見るほうが、子どもたちにとっても共感しやすく、「自分もチャレンジしてみたい!」という意欲をかきたててくれるのです。

本来、言語とは、人と人とがコミュニケーションするための道具であること、また、コミュニケーションてこんなに面白いんだよ、ということを実感させてくれるコーナーです。

そしてもう1点は、初めて英語を教える先生方を意識しているという点です。

たとえば、「えいごリアン」の番組ホームページでは、“子ども用”と“先生用”に別れていて、先生が番組を使ってどのように授業を進めたらよいかという指導ノウハウや工夫例がたくさん紹介されているのです。また質問コーナーや教材の紹介、授業の実践風景などを映像で見ることもできます。

いくら番組が面白くても、先生の授業が面白くなければ、意味はありません。

現在は、夏休み特別番組として、「先生のためのえいごリアン徹底活用術」も放送され、二学期以降の授業に活用できるように、編成も工夫されています。

このように、ただ面白ければいい、分かりやすければいいというのではなく、この番組を見てどうしてほしいのか、視聴者とどう関わっていくのか、どういう役割を果たせるのか、クリエイターがきちんと考えて制作することは、演劇でも教育の現場でもとても大切なことです。

演劇教育は、英会話よりもニーズが低い上にもっと地味な存在。だからこそ、学校や生活で工夫して活かしてもらえるようなシステム作りや、たくさんの方々に理解してもらえるようなメディアの利用が、これからの重要課題になってくる気がしますね。

参考:NHK「えいごりアン」ホームページ http://www.nhk.or.jp/eigorian/ 



(文・R)2002/08/12