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ブロードバンド part1〜演劇とインターネット放送の可能性〜

最近よく聞く「ブロードバンド」という言葉。直訳すると「広い帯域」。つまり、「広い地域に接続できるインターネット」ということ。

今、ショッピング、音楽、映画、スポーツなど、様々な業界がブロードバンドの利用価値に注目し、新たなビジネス戦略を次々と打ち出している。

そんな中、演劇もブロードバンドに本格的に参入してきた。演劇の「ブロードバンド放送」の開始である。


●「インターネット+演劇」?

実は、演劇のブロードバンド配信は、これまでも幾度も行われてきた。

2000〜2001年にかけて、演劇集団キャラメルボックスが公演の模様をインターネットで生中継し、2002年には、NTT−BBが配信するミュージカル「サンキュー!ブロードウェイ!vol.2」の稽古場風景が報道向けに公開された。

これらの試みにより、チケットが売り切れて観られない人や、地方から劇場に足を運ぶのが難しい人にも公演の様子を伝えることが出来た。しかし、テレビの舞台中継と同様、どうしても平面的で、舞台の臨場感を伝えることは、非常に困難だった。


●「ブロードバンドシアター」

演劇の“生”の臨場感を、ブロードバンドでどうやって伝えるか…。

その課題に対し、インターネットプロバイダSo-netを運営するソニーコミュニケーションネットワーク(SCN)は、ブロードバンドコンテンツ制作プロジェクト「So-net Produce ブロードバンドシアター」を発表。第1弾として、3月29日〜4月10日、演劇作品「ROOFTOP」(演出:関聡太郎、出演:山本耕史、壌晴彦、高木りな)を、銀座ソニービル8階のSOMIDOホールで上演した。

このブロードバンドシアターには、通常通り劇場で観劇する「リアルシアター」と、その模様をブロードバンド配信する「バーチャルシアター」という2つの観劇スタイルが用意されている。

「バーチャルシアター」を視聴するには、「Real Player」や「Quick Time」などの再生プレイヤーに、専用プラグイン「envivioTV」を使う。料金は1050円。So-netのオンライン販売のみでライブ映像視聴チケットを発売し、より高画質な映像を安定して配信するために、各公演100名限定での放送となった。


●ブロードバンドで臨場感!

ブロードバンドシアターでは、舞台の様子を固定カメラで中継するだけでなく、客席、舞台上、舞台袖にカメラを設置し、時には俳優が手持ちのカメラで撮影したりと、計10数台のカメラを用いて撮影された。

この中でもっとも注目されるのが、「全方位映像制作システム」と、「マルチアングル放送システム」である。

これは、360度同時撮影可能なカメラを使って、全ての角度から同時に撮影し、視聴者は、自分の観たい角度を自由に選んで観ることが出来るというシステムだ。

これにより、劇場の“生”の臨場感により近い、または、劇場では決して味わえないような“別”の臨場感を楽しんでもらうことが出来る。

プロデューサーの滝内泉氏は「ソニーの技術を利用して、TVでも映画でもない今までにない表現を作る。劇場の空間を伝えて、ユーザーに劇場にいるような雰囲気を味わってもらいたい。」と語る。

So-net PRODUCE ブロードバンドシアターでは、9月に第2弾としてミュージカルのライブ配信を行うことが決定している。配信先としては、国内に留まらず、韓国のプロバイダにも声をかけている状況だ。

将来的には、舞台の様子をパリやロンドンにも配信することを視野に入れているようだ。

大きく動きつつあるブロードバンドと演劇の関係。ただし、肖像権や著作権をどうやって保護するかなど、クリアせねばならない問題はまだたくさんある。また、演劇業界の中では、「生の躍動感や感動を伝える良さがなくなってしまう」と懸念する声も。

とはいえ、ブロードバンドを通じて、より多くの人が演劇に触れる機会が増えることは、演劇業界全体の底上げにつながる可能性もある。いずれにせよ、今後ますます進化する情報通信技術を、演劇界がどのように活用するかは注目されるところだ。


So-net PRODUCE ブロードバンドシアター
    >>>>http://www.so-net.ne.jp/bbtheater/rooftop/



(文・M)2003/5/12