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メソッドってどんなの?!
 
 
スタニスラフスキー・システム vol.1〜筋肉を知ろう〜

スタニスラフスキー・システム、と聞くと、どうしても昔ながらのお堅い演技方法のようなイメージを持つ方もいるかもしれません。しかし、彼はシステムについて「システムは『完成』されていない。システムは『絶対』ではない。『完璧』でもない」と語っています。そして、「演技創造のプロセスにおいて、手助けとなる方法」だとしています。

彼自身、俳優として活躍し、劇世界の中でいかにリアルに生きるかを追求していました。そして、彼の追求した方法論は時代とともに変化し、進化し続けて行きました。それは、彼が亡くなる直前まで続きましたし、その後も追及され実験され続けるべきものだと考えていたのです。

ですから、スタニスラフスキー・システムは、より良い演技を導き出す一つの方法として、現代演劇でももっと柔軟に取り入れ、活用されることが望ましいのではないでしょうか。

そこで、今回から数回に分けて、スタニスラフスキー・システムの概要を学んでみましょう。

●身体行動

まず、演技の基礎として身体行動についてさまざまな実験をしていました。つまり、動作や身振り、態度といった具体的に目に見える行動のことです。身体は、意図したことを実行に移してくれるもので、それを実行する心境や気分を自ずと表現しているものです。なので、これらの行動を自覚したり、抑制したりすることが、演技術の重要なカギとなると考えたのです。

身体行動の訓練のために行われたカリキュラムを分けると、下記のようになります。

1、こころを開くことと筋肉の弛め
2、筋肉を使う
3、複数で協力しあう行動
4、目的と正当化
5、行動

ここで、一番難しいのが「1」のこころを開いて筋肉を弛めるということ。リラクゼーションというのは、一つの専門技術のようなもので、本当に弛緩して解放しきることは、ちょっとやそっとじゃ出来ません。

試しに、一度床に寝そべってください。そして自分の身体の緊張具合や弛緩具合を感じてみてください。そうすると、意外と足の指が固まっていたり、首や肩の筋肉がどうしても弛緩できないことに気付くと思います。それよりも、自分が緊張しているのかどうかすら分からない場合の方が多いのではないでしょうか。

そのため、このリラクゼーションすることに相当な時間を費やします。何といっても、俳優は何百人という人の目の前に立つわけですから、そこで完全にリラックスすることがどれだけ困難なことか、容易に想像がつきますよね。

このリラクゼーションすることを徹底的に身体にしみこませた後に、少しずつ筋肉を使った身体行動に移ってゆきます。例えば、椅子を運ぶ、水の入ったコップを運ぶ。これらの動きをする時に必要な筋肉だけを使うことを意識します。拳骨を握る時に、膝に力が入るようではいけません。最小限の動きから、最大限の表現を導き出すための訓練をしてゆくわけです。

そして、各人で筋肉の動きをマスターしたら、今度は複数で協力し合って行動をとります。一緒にソファーを運ぶ、一緒に大きなバケツを運ぶ、などの動きをパントマイムでやってゆくわけです。

これによって、例えば激しい乱闘シーンを演じる場合、本当にぶつかり合ってしまっては大きな怪我をして演技どころではなくなってしまいます。かと言って、相手を傷つけないように気遣っていては、どうも腰が引けてしまい、リアルな乱闘シーンは表現できませんよね。激しいぶつかり合いを表現するための筋肉の動きを理解し、必要な筋肉だけを使ってシーンを構成する訓練として、何度も何度も稽古を重ねるわけです。

しかし、ここでちょっと立ち止まってみて下さい。お芝居をする際に、筋肉の動きだけを考えていては人物のこころや目的がさっぱり分からなくなると思いませんか?人間にはこころがあって、目的があって、初めて行動というものが出てくるわけですから、このままでは筋肉を持った機械でしかありえません。

そこで、重要になってくるのが次の段階の「目的と正当化」になってくるわけです。それについては、また次回にご紹介いたしましょう。


参考文献:演技ー創造の実際ー ジーン・ベネディー著 晩成書房出版
参考サイト:TRAINER LABO http://trainer-labo.com/index.html



(文・O)2006/2/13