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スタニスラフスキー・システム vol.2〜動きが行動になる〜
前回、スタニスラフスキーが行った身体行動訓練カリキュラムの“3”までをご紹介しました。彼が行った訓練のカリキュラムは、下記の通りです。 1、こころを開くことと筋肉の弛め 2、筋肉を使う 3、複数で協力しあう行動 4、目的と正当化 5、行動 カリキュラム3までで、身体の筋肉の使い方を学びました。しかし、ただ筋肉を使っただけでは、ただの“動き”でしかありません。この動きに目的が伴って、初めて人間としての“行動”となるのです。今回は、その為の訓練としてのカリキュラム4、5を見てみましょう。 ●目的を与える まず、合図に合わせて何かのポーズをとります。それは、別に意味のあるポーズでなくても結構です。次に、そのポーズを保つためのバランスが取れたら、無駄な緊張を取り除きます。そして、質問に答えながら、自分のポーズに意味を付けてゆきます。 例えば、両膝に手をつき、中腰の状態で、首は後ろを向いているポーズをとったとします。すると、質問者は「そのポーズをどう正当化しますか?背中を丸めていますが、老人なのですか?後ろを向いていますが、後ろに何があるのですか?口を開けていますが、何故ですか?」と質問をしてゆきます。 ポーズをとった人は、その質問に答えながら、そのポーズを正当化してゆきます。「鬼ごっこをしていて、疲れて立ち止まったんです。膝に手を当てているのは、休んでいるんです。後ろから鬼が追いかけてきています。口は、息が上がっているので、いっぱい空気を吸っているんです」といった具合です。 このように、もともと意味のなかったポーズでも、意味を付けて目的を持たせてゆくことで、“動き”ではなく“行動”となって命が吹き込まれてゆくのです。こうして意味を持った行動を、さらに劇的にしてゆくのが次の段階です。 私たちの日常の行動のほとんどが、無意識に行われています。例えば「コートを脱ぐ」という行動も、普段はあまり意識していません。こういう行動を細かく分析し、無対象(パントマイム)で行うことで、“行動”に神経を注ぐ訓練をしてゆきます。そうすると、意外と「コートを脱ぐ」という一連の行動が難しい事に気付きます。 そして、色々な“行動”をとれるようになったら、さらに分解し、「心理的に単純な行動」と「心理的に複雑な行動」とに分けてゆきます。例えば、“普段の食事の準備をする”のは、単純行動、“恋人の家族を初めて家に招くための食事の準備をする”のは、複雑行動となります。 これらを演じる時に、まずは基本行動を割り出します。「部屋を片付ける」「テーブルを綺麗にする」「料理を揃える」「身だしなみを整える」などです。次に、基本行動を身体的行動にさらに細かく分解します。身だしなみを整えるのであれば、「風呂場に行く」「鏡を見る」「お化粧を確かめる」「歯を磨く」「クローゼットを開ける」「好印象の服を選ぶ」などです。 お芝居の中での行動も、基本的には日常の経験に基づいたものです。ですから、こういった日常的な行動を日ごろから意識し、訓練することで、劇的な空間の中でも自然でいられるというわけですね。 是非、皆さんも一度試してみてください。 手元にあるコーヒーを飲む。それだけでも、意外と色々なことを感じられるかもしれませんよ。 参考文献:演技ー創造の実際ー ジーン・ベネディー著 晩成書房出版 |
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(文・O)2006/3/13
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