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ステラ・アドラー 〜想像力が創造の源〜
ステラ・アドラーは、リー・ストラスバーグと同様アメリカのグループ・シアターの創立メンバーでした。1934年にスタニスラフスキーに出会い、彼のシステムを徹底的に勉強します。その中で、リー・ストラスバーグとメソッドの根本的な教えの部分で違いを感じたのか、二人は絶縁してしまいました。 彼女は、自分自身も舞台に立ちながら「ステラ・アドラー芸術学校」を設立。多くの優秀な俳優を育て続けました。 彼女のメソッドの基本は、「想像力」です。 ●想像する力が創造する力になる リー・ストラスバーグが、演技の源が個人の過去の経験や情緒的な記憶などにあるとしたのに対し、アドラーは戯曲に与えられた情況と関連付ける俳優自身の想像力にあるとしました。舞台上の出来事の99%は想像力から生まれると考えたのです。そのため、アドラーは俳優の過去の記憶を呼び起こすのではなく、想像力を働かすように指示しました。 しかし、ただ「想像しなさい」と言われても難しいですよね。そこで、彼女はいろいろな方法を生み出します。それは、置き換える、言い換えるエクササイズです。 まず、戯曲に書かれている世界の社会的背景や時代的背景を学びます。古典であれば、その時代の音楽を聴いたり、絵画を鑑賞したり、読書をしたりして戯曲の時代の理解を深めます。そして、その上で想像を膨らませてゆくわけですが、なかなか俳優自身の心を揺り動かすイメージが浮かんでこないこともあるでしょう。そこで必要なのが、置き換えるという技術です。 戯曲の中の出来事と合致し、心も揺り動かされる状況設定を俳優の想像力を使って作り出してゆきます。もしかしたらリアルから離れてしまうことがあるかもしれません。しかし「リアルなものは演技を制限し、不自由にする」こともあります。不自由で死んだ芝居をするくらいなら、一度その場から離れて本当の感情を見つけ出す作業をする必要があるというわけです。 彼女は、台詞を言い換えるエクササイズも考案しました。台詞は台本どおりに!というのが決まりごとのように感じてしまいますが、彼女はあえてこのエクササイズを推奨しました。「作家の理念を取り出し、俳優の言葉に置きかえ、俳優のものにすること」で、演じる動機をはっきりとさせ、自分が舞台に立つことの正当性を理解することができるというのです。 たしかに、本当に作品の意図を理解していないと、物語の筋から逸脱せずに台詞を言い換えるなんてできないものです。自分なりの台詞を想像しようにも、根っこがしっかりしていないとイメージなんて生まれっこありません。こうして想像する力をつけてゆくことで、心がより動き、台本への理解も深まってゆくのですね。 このように、アドラーは想像力を駆使することで戯曲の中にある真実を引き出し、リアリティのある演技を引き出すことができると確信し指導を続けました。ストラスバーグとは絶縁したままだったようですが、真実に満ちた演技、芸術としての演技を追及する心は共通でした。 きっと、2人のメソッドを組み合わせることで、より活き活きとした演技ができるのではないでしょうか。 (文・O) 参考文献:二十世紀俳優トレーニングアリソン・ホッジ編著 佐藤正紀ほか訳 而立書房) |
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(文・O)2007/02/12
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