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メソッドってどんなの?!
 
 
サンフォード・マイズナー 〜俳優間の関係性が命〜

サンフォード・マイズナーはリー・ストラスバーグやステラ・アドラーと同様にグループ・シアターのメンバーであり、主役を演じる重要な存在でした。

しかし、彼はその後、グループの方向性に疑問を感じて離れ、1936年ネイバーフッド・プレイハウス演劇学校の校長となりました。彼もまた、スタニスラフスキーに強く影響を受けた一人です。

ストラスバーグが心理学的な面を、アドラーが社会学的な面をもっとも大切にしたのに対して、マイズナーは、人間の“行動”をそのメソッドの中心におきました。

彼の教室には、「考える前に行え」「1オンスの行為は1ポンドの言葉に値する」と書かれた標語が貼ってあったそうです。そして、「舞台上で読むなら本当に読みなさい、食べるなら本当に食べなさい。見る演技をするのではなく、本当に見なさい」ということを言い続けたのです。

●俳優間の関係性をつくりあげる

ストラスバーグの教室では徹底的な話し合いが多く見られたようですが、マイズナーの教室では、その場にいるメンバーが理解を共有することはしても、決して長い議論をすることはなかったようです。

そのかわり、エクササイズの中で様々なドラマを発見し、理解を深め、共演者間の結びつきを強めてゆきました。それが、「マイズナー・メソッド」と呼ばれる“反復のエクササイズ”です。

例えば、2人の俳優が向き合い、自分が発見したことを言葉にします。Aが「君は私を見ている」と言うと、Bはそれを繰り返し言い、さらにAが同じことを繰り返してゆきます。そうやって続ける中で、新しく発見したことがあれば、言葉を変えて声に発し、繰り返してゆきます。

初めは、「見ている」という表面的なことだったとしても、それが高度になってゆくと、その行動の奥に潜む心理を感じ取るようになり、また、それを表現してゆくようになります。

つまり、「見ている」が、やがて「怒っている」「嘲笑している」「愛している」というように、もっと深い行動になってゆくのです。

このエクササイズは一見簡単なゲームに見えますが、実際はなかなか難しいものです。

「右を向いた」、「手を上げた」などの具体的な行動はすぐに見て取れますが、その奥の心情を汲み取ったり、相手の行動や感情に敏感に反応するということは、「頭」を使っていては出来ません。心も身体もリラックスさせて、考えたり悩んだりすることなく、衝動のまま動かなければついていけないのです。

もしも、自分が考えたり悩んだりして止まってしまっては、相手の動きや心までも止めてしまいます。舞台は、幕が上がれば最後まで止まることは許されません。共演者や観客も含め、その場にいる全ての人と共存し、「相手役に完全に役立つよう、どの瞬間も確実に反応する」必要があります。

反復のエクササイズは、その感性を洗練させるのに非常に有効なエクササイズであり、マイズナー・メソッドの基礎となっているのです。

こうして、自分自身の感受性を磨くことで、脚本に描かれた世界の中でもいきいきと行動し、共演者との関係性を持続させることが出来るようになります。

マイズナーは、「俳優間の結びつきが場面の生命に不可欠であり、その結びつきが壊されるとき、演技はその特質と力を失う」と感じていました。だからこそ、このメソッドが生まれ、「互いに誠実に反応し、瞬間瞬間を自発的に生きる」力を育てたのでしょうね。

このコラムでは、「演技の基礎」を築いた3名の指導者を見てきました。そして、その誰もが演劇を心から愛し、より芸術的で人々の心を強く揺さぶる演技を追及していました。それぞれの主張に違いがあったとしても、演劇と演技への愛情の深さは一致しています。

スタニスラフスキーはいいました――――。

「演技に完成形はない。常に磨かれ進歩してゆくものだ」

彼らの努力を生かし、また、さらに素晴らしい演劇・演技を見つけるのは、今を生きる私たち自身。少しずつでも確実に、前に進んで行きたいですね!   

参考文献:二十世紀俳優トレーニング(アリソン・ホッジ編著 佐藤正紀ほか訳 而立書房)

(文・O)2007/03/12