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演劇と映像で新たなエンタテイメントを創る〜Theatre劇団子〜

日本で活動している劇団は数限りなくあります。しかし、そのほとんどが一般には知られていないのが現状です。日本の演劇業界が、他のエンタテイメント業界、アート業界に比べ、マイナーであり続けているには、必ず、明確な問題があるはず―――。

このコラムでは、現在活躍している劇団に取材をし、劇団の現状やそれぞれが抱えている問題点、演劇が広く社会に認識されるにはどうしたらいいのかなどのテーマを共に考え、演劇の魅力をより多くの方々へ知っていただくための方法を考察してゆきます。

第10回目の今回は、演劇と映像を融合させて、新たなエンタテイメントを追求しつづける「Theatre劇団子(シアトル ゲキダンゴ)」です。


●Theatre劇団子(シアトル ゲキダンゴ)

1992年4月、エンターテイメント集団「GAI PROJECT(ガイプロジェクト)」の演劇部門として旗揚げ。これまで10作品以上のオリジナル作品を発表。

「サルにでもわかるエンターテイメント」をモットーに、「考えないでも見ることのできるストーリー、展開」の中で、ただ笑い、ただ怒り、ただ泣き、日常のささいな出来事、笑い、テーマを盛り込んだ一大エンターテイメント演劇を繰り広げている。

また、CMやプロモーションビデオなどを多数手がけている映像作家・照山明氏とのコラボレーションにより、よりエンターテイメント性の高い舞台を目指している。


●ガイプロジェクトにお邪魔しました

DENスタッフは、渋谷にあるガイプロジェクトの事務所へお邪魔して、Theatre劇団子の制作スタッフである野村史(のむら・ふみ)さんと、ガイプロジェクト映像部門を支える映像作家・照山明さんにお話をうかがってきました。


Q・ 「サルでもわかるエンターテイメント」とは、過激でユニークなモットーですね。

野村: 東京の「吉本」のような存在を目指して、おじいちゃん、おばあちゃんから子どもまで笑えるものが根底にあって、物語もすごく身近な、日常にあるものをモチーフにしています。
笑いあり、涙あり、分かりやすく、芝居を観たことのない人にもすんなり受け入れてもらえるようなものを目指してますね。


照山: それに、もともとコントをやっていた集団なんですよ。だから、「笑い」にこだわりを持ってるんです。それも、シュールなものではなくて、「ドリフ」のような、いつの時代でも誰もが笑える普遍的なもの。そういうところをこだわっていきたいんです。


Q・ 演劇に映像を入れてゆこうと思ったきっかけは何ですか?

照山: 僕も、座長の石山も、日芸の映画学科の出身なんです。だから、旗揚げした時点で、「映画や映像を」っていうのは基本にあったんですよ。

映像と演劇って、“得意な表現”が違うので、舞台では表現できないようなものや、実感的な部分を、舞台の上で映像として表現してしまおうっていうのが基本にあります。例えば、主人公が監視カメラをつけて町に繰り出していったときの風景を、映像的な視点でストーリーにインサートして表現する、というような具合で。「劇団子の芝居には、こんな映像が来るんだ!」とうように認識させるというか、恒例のようにやってゆきたいです。

それと、演劇としての全体的なパッケージ感を打ち出すために、オープニング映像を使っています。最近では、そういう劇団も増えてきてますけど、こちらはそういうの(映像)が専門なので、いつでも差別化を意識していますよ。


Q・ ガイプロジェクトには、Theatre劇団子の演劇部門の他に映像部門がありますけど、今後、演劇と映像をもっと本格的にコラボレーションしてゆくという発想もあるとか?

照山: とてもステキなエンターテイメントを書かれる監督さんを見つけまして。僕たちのエンターテイメントのテイストにとてもぴったりなんですよね。

野村: まだ発展途上の話ではあるんですが、その監督さんが映画を撮るときには劇団子の役者を使い、劇団子が芝居をやるときには彼の映像を使い……という具合に、演劇と映像の分野でそれぞれ刺激しあいながら活動してゆけば、また新しい形が出来てくると思うんです。何とか実現できるように、これからドンドンと力を入れていきたいと思っています。時期がきたら、またお知らせしますので、楽しみにしていて下さい。


映像という得意分野をフルに活用して、演劇の新しい表現のカタチを模索する「Theatre 劇団子」。結成から10年を経て、どんな苦労があるのでしょうか。


Q・ 10年という長い間、演劇に携わる中で、どんな楽しさや辛さを感じますか?

野村: まず、演劇だけでは経済的に成り立たない。そこに限界を感じることがありますね。そこからプラスαに持ってゆくために、役者なり演出家なりが、他のメディアへ進出して、広くプロモーションしながら、収入を得られるようにしてゆくという必要性を痛感しています。


Q・ どんな劇団もプロモーションには頭を悩ませていると思うんですけど、Theatre劇団子では、どんなプロモ活動をしてるんですか?

野村: 公演前に、企画書を雑誌社に持ち込んで営業をしたり、マスコミ関係者に招待状を送ったりしています。

最近のインターネットの普及はとても大きいですね。Web上でチケットプレゼントを行ったり、メールマガジンで最新情報を告知したり、他の劇団のホームページにリンクを貼らせてもらったりと、昔に比べてとても助かります。

でも、それ以外は、折込みや劇場への置きチラシといった、従来の地道な作業が中心ですね。


Q・ Theatre劇団子ホームページには、制作の仕事の様子をテレビ番組風の映像でアピールするというユニークなコンテンツがありますね。

野村: 「だんごTV」ですね。これについても、演劇業界のプロモーションの大変さを、何かしらの形で発信して行かなければと思って、制作のお仕事の大変さを映像におさめて、ネット公開したんです。

照山: 映像と演劇の意外なコラボレーションです。(笑)

野村: 「エログロ」とか、「ナンセンス」とか、何か1つでも“きわどい”ものがあれば、メディアはすぐに飛びつきますけど、Theatre劇団子がやりたいものはそういうものではなく、誰もが楽しめる「ウェルメイド」な作品なんです。それだけに、一瞬のブームではなくて、5年、10年と、長い時間をかけて成熟したものを見せ続けて評価を得てゆくしかない……。自分自身でも感じることだし、雑誌社の方々からもそんなアドバイスを受けたこともあるんです。

「いつまで続ければ報われるの?」という辛さはあるんですけどね(笑)。

でも、お芝居を知らない人は“先入観”があるんですよ。アングラのような、難しいものや、ワケのわからないものをやっているんじゃないか、というイメージが。それだけに、芝居そのものの楽しさを、地道に伝えてゆくという活動もとても大切だと思います。

最近では、スターの方々がお芝居をするようになって、今まで演劇なんて観たことのなかった人が劇場に足を運ぶ機会が増えていると思うので、そういう人が小劇場に流れて来てくれるといいなー、と思います。また、そういう人たちに伝えてゆく努力を続けたいと思いますね。


分かる人にだけ分かればいい、アーティスティックな演劇ではなく、広く長く楽しめるエンターテイメントとしての演劇へのこだわりと、少ない観劇人口をどう増やしてゆくかという演劇界全体が抱える課題の中で、地道ながらも着実に成長を続けているTheatre 劇団子。

「有名人が出ているお芝居がだけエンターテイメントではない。センスだけで突っ走ることがエンターテイメントではない。どうか中身を観て欲しい!」

制作の野村さんの言葉から、演劇への愛情と情熱が伺えます。

平均年齢28.1歳という、演劇界ではまだまだ若手と呼ばれる劇団ですが、自分たちの長所を活かしながら、真正面に課題と向かい合おうとする姿勢は、清々しさと集団としてのエネルギーに満ち溢れています。

いろいろなメディアとコラボレーションを重ねながら、一歩一歩成長し、そして、次の時代を担う―――。Theatre劇団子の理想図がカタチになる日は、決して遠くはないようです。


☆★☆★Theatre劇団子ホームページ★☆★☆

Theatre劇団子の活動や、過去の作品の映像、その他、GAI PROJECTの活動内容など、得意の映像をふんだんに使ったホームページです。
是非、覗いてみてください!

  >>>>  http://www.gaiproject.com/

(構成/文・O)2003/8/25