予想は裏切り、期待は裏切らない! 〜コンドルズ〜
日本で活動している劇団は数限りなくあります。しかし、そのほとんどが一般に知られていないのが現状です。日本の演劇業界が、他のエンターテイメント業界、アート業界に比べ、マイナーであり続けているのには、必ず、明確な問題があるはず――――。
このコラムでは、現在活躍している劇団に取材し、劇団の現状やそれぞれが抱えている問題点、演劇全体が広く社会に認識されるにはどうしたらいいのかなどのテーマを共に考え、演劇の魅力をより多くの方々へ知っていただくための方法を考察してゆきます。
第52回目の今回は、「コンドルズ」です。
●コンドルズ
近藤良平氏を中心に、得意な身体とユニークなキャラクターを持つ、男性のみで結成されたダンスカンパニー。
1996年セッションハウスにて活動開始。1999年東京グローブ座公演で大ブレイク。以降、日本各地のホールツアー、またアメリカ、韓国、香港、シンガポールなど世界各地で招聘公演を行い、各地で動員記録を塗り替えている。
公演はダンスだけではなく、映像、生演奏、人形劇、コント、演劇も盛り込まれた総合エンタテイメントで、出演者それぞれの個性がぶつかり合う、ハイスピードな作品に日本だけでなく世界中で大絶賛を浴びている。
また、舞台の他、TV、ラジオ、バンド等幅広い活動も精力的に行っている。特に2006年夏『真夏帝国』でメジャーデビューを果たしたバンド「THE CONDORS」は、同シングルでUSENリクエストチャート全国三位、USENお問い合わせチャート全国一位を獲得し、「めざましテレビ」などで大きく特集されている。
現在、日産自動車ファミリーカー「NOTE」のTVCMタイアップ中でもあり、精力的な活動を展開中である。
●制作の勝山康晴(かつやま・やすはる)さんにお話を伺いました。
「面白い」の感性は、人それぞれです。そんな中でも、「面白い作品」にこだわり、全世界に発信し続けるコンドルズは、ダンス公演だけでなく、映像、音楽など様々な分野でその独自の世界を開拓しています。今回は、その成功を担うプロデューサーの勝山さんにお話を伺いました。
| Q・ |
「面白い作品」を提供し続けるための苦労はありますか? |
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面白い作品を作るため、売れるためには「生き様が面白い人間」が不可欠だと思います。作品に全てを捧げて、真面目に必死に四畳半のアパートでコツコツと…、っていう人、意外と多いと思うんですけど、それじゃ面白さに限界があるんじゃないですかね。
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コンドルズは、アメリカに会社を持ってる人がいたり、某有名塾の講師やってる人がいたりと、本当にいろいろな経験をしていたり日常を送っている人ばかりなんですよ。そして、コンドルズはあくまでもセカンドライフとして楽しんでるんです。だから、心にも発想にも余裕が出てくるんでしょうね。皆、普通の話をしているだけで面白いし、人生楽しんでますよ。
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で、そんな人たちが集まって、トップダウン方式は取らずに自由にやりたいことを言い合って、どんどんと作品に詰め込んでゆくわけですから、面白くなるんだと思いますね。それぞれが作品作りに参加してるので、各人のモチベーションもアップしますし、各メンバーの特性が作品に生きているのだと思います。
もちろん、支持されている理由はその他にも沢山あって、他にはない「何か」があるんだと思いますが、その「何か」が何であるかは未だに不明です。ただ、上手いから売れるという簡単な構図でもないので、やはりそこにはメンバーや集団の魅力があるんだと思っています。
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| Q・ |
制作主任としてコンドルズをどのようにプロデュースしておられますか? |
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99年の東京グローブ座で大成功を収めてから本格的に営業活動を行いました。他のメンバーは公演を楽しんでいましたが、僕自身は“やるからには勝ちに行こう”と決めたので、徹底的かつ精力的に行いましたね。
コンドルズは今まで存在した集団とはまるで違って独特の個性を放っていたので、興味をもってくれる人がとても多くて、色々な立場の人とつながることができました。
ラジオやバンド活動なども行っていますが、それも「人とのつながり」から始まった活動です。「自分たちのやりたいこと」とそれを実現まで手助けしてくれる「人」が上手くリンクした結果だと思っています。
今は、これまでの経験を生かして5年計画で動いてます。一番に考えるのはお客様を飽きさせない工夫ですね。飽きさせないためには「変化」が必要ですが、作品だけで変化をつけるというのは分かりにくいので、よりはっきりした変化をつけることを考えています。
額縁の通常の舞台から円形舞台にしてみたり、800人規模の劇場でやっていたのを、あえて100人規模の劇場にしてみたり。すごくはっきりした変化だし、話題性も大きくなります。
また、舞台以外の活動を行うことも変化です。コンドルズはやりたいことが沢山あって、そのための準備をちゃくちゃくと進めています。お客様の期待が高いうちに実現できることはドンドン実現させたいと考えています。いつも皆様の期待をよい意味で裏切る集団でありたいですからね。 こういう状態をひっくるめて、今、「人」という課題に直面していると感じるわけなんです。
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| Q・ |
日本ではプロデューサーの仕事はまだまだ認知度が低いですが、この件に関してはどのようにお考えですか? |
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プロデューサーというのは、何かに“ハマッタ”ことのある人がつく職種だと考えています。“ハマッタ”ことのない人には無理じゃないかな。なんでもいいんですよ。音楽でもアイドルでもスポーツでも。
「何が好きだったのか?」「何故好きだったのか?」を探ってゆくと、その裏にいるプロデューサーの意図が見えてくるんですね。ジャンルは違っても、「お客様を呼ぶ仕組み」は同じだと思うんです。
例えば、野球場には毎日何万人もの観客が来るでしょ。それもよくよく探っていけば、野球を流行に載せたプロデューサーの仕掛けがあるからなんですよ。もちろん、プロデュース力というのはセンスもありますが、そういうのを探って、検討して、取り入れるには、自分が何かに“ハマッタ”経験が不可欠だと思うんですよね。
往々にして、主宰者は目先しか見えていません。勿論、目先の公演を成功させるためにそうなっているわけですが、プロデューサーはこれをマネジメントしなければなりません。作品を作ることと、公演の場を作ることを切り離し、俯瞰的な目線で、5年先、10年先を自分の勘と経験で見て、組み立ててゆく必要がありますね。
日本ではプロデューサーの成功の形がまだまだ見えにくいですね。だからプロデューサーを目指す人間も少なければ、プロデューサーの重要性も認識されていないように感じます。
外国の俳優手引書の中には「売れるためには良いマネージャー、プロデューサーを探そう」と第一項目に書いてあるくらい重要なポストです。日本でもプロデューサーの認知度が上がって、よい人材が増えるように活動していきたいですね。
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| Q・ |
コンドルズの今後の展望についてお聞かせください。 |
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「中堅保守」「そこそこ」というのは嫌なので、「常に話題性!」「常にチャレンジ!」を心がけています。現在、舞台で行っていることを舞台以外でもやりたいと思っていますし、今までやってなかったことについても精力的にトライしていきたいです。
プロデビューしたバンド「THE CONDORS」もそのチャレンジの一環です。メンバーはもともと各自で音楽活動していたので、下地はあったんですね。で、ある時「コンドルズメンバーでバンドを結成したい!」というわけで「THE CONDORS」が誕生したんです。
今まで、コンドルズ自体はキャストもスタッフも固定していて、新しい人が入る隙間がなかったんですよ。なので、せっかく仲良くなれたクリエーターがいても、なかなか一緒に仕事ができなかったんですね。でも、「THE CONDORS」は別ユニット。そうなると、新しいクリエーターを迎えることができたりして、更に世界が広がりました。すっごく楽しいですよ!
また、プロデューサーの成功方式が見えないのと同様、コンテンポラリーダンス集団の成功方式が見えないのが現状です。コンテンポラリーダンスの世界って、皆さんが思っている以上に先細りのジャンルになってしまってるんですよ。
その中で、コンドルズは異彩を放つ成功スタイルとなってきています。ワークショップなどを地道に行うことも重要ですが、やはり華々しい活動でアピールすることが今のダンス界には必要なのではないでしょうか?
コンドルズが成功スタイルを確立させ、このジャンルにもっと興味を持ってくれる人が増えれば、いい人材が入ってきます。そうすれば互いに刺激し合えるので、ダンス界も活発になっていくのではないでしょうか?
コンドルズがその役割を果たし、また他集団からもっとたくさんの刺激をもらえて、みんなで切磋琢磨してゆければと考えています。
勝山さんのお話を聞き、その柔軟さ、自由さに圧倒されました。コンドルズの成功の陰には、勝山さんのセンスと経験、そして細かな気配りがあったんですね。
舞台だけでなく様々な分野で活躍するコンドルズ。まさに「予想は裏切り、期待は裏切らない」という言葉がぴったりな集団です。次はどんなことをやってくれるのか。これからのコンドルズからも目が離せません。
☆★☆★ コンドルズ 公演情報 ★☆★☆
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(構成・文/A)
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2007/3/26
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