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予想は裏切り、期待は裏切らない! 〜ユニークポイント〜

このコラムでは、第一線で活躍する劇団に直接取材し、劇団の現状やそれぞれが抱えている問題点、演劇業界の活性化などのテーマを共に考え、演劇の魅力をより多くの方々へ知っていただくための方法を考察してゆきます。

第53回目の今回は、「ユニークポイント」です。

●ユニークポイント

山田裕幸氏が立ち上げた東京を中心に活動する演劇カンパニー。

1993年演劇ユニット「成金天使」を立ち上げ、1999年に「ユニークポイント」と改名。固定メンバーを持たずに公演ごとに俳優を集めるというスタイルを続けていたが、2002年7月からは、固定メンバーによる『劇団』として活動を開始。観客の想像を掻き立て、心を動かすような作品作りに注力している。

また、地方公演や海外公演も意欲的に行い、今後の演劇の可能性を模索し続けているカンパニーである。


●代表の劇作家・演出家 山田裕幸(やまだ・ひろゆき)さんに伺いました。

公演やワークショップなど、ユニークポイントの活動の中心に立って、新しいこと
を次々と生み出す山田さん。お忙しい中、インタビューにご協力いただきました。


Q・ 公演ごとに違う俳優を起用するユニットから、固定メンバーというスタイルに変えたのはなぜですか?


固定メンバーを持たなかったのは、自分の作品作りに注力したかったという理由からです。  

ユニット制ですと、劇団の運営、動員の確保などの仕事よりも純粋に演劇づくりに専念でき、またさまざまな俳優と出会うことができます。それがまた自分の刺激になります。そういう理由からでした。

「固定メンバーの劇団にする」と考えを変えたのは、2000年に利賀村で行われた勉強会に参加したことが大きいですね。

劇団運営や助成金についてなどを学んだわけですが、そこで「『集団』としての劇団」の意味がはっきりしました。

自分が作る作品には、存在し継続し続ける劇団という集団が必要なのだと認識したのです。そこで2002年に固定メンバーによる劇団を作りました。

劇団化というのは大きなリスクも伴いました。

ユニット制は、極端な言い方をすれば、4番バッターの俳優を集めてくれば、作品の質にも動員にも問題はなかったわけです。キャスティングについても自由度が高いですし。

だから、劇団化にあたっては、はじめは劇団運営と組織作りについて苦労しました。

私がいて、その下にほかの劇団員がいる。最終的な責任は僕が必ずとる。この形で責任の場所を明確にしました。

また、組織を強固なものにするために、「表(おもて)」のコミュニケーションを大切にしています。

劇団員が私になにか意見がある場合にも、個人的なコミュニケーションではなく、すべて公のコミュニケーションにするようにしていますし、逆もしかりですね。開かれたコミュニケーションを徹底しています。これは組織の運営だけでなく、作品づくりにも不可欠なものですから。

そして、劇団員は全て1年間の契約という形で在籍しています。

俳優に与えられた唯一の権利は「集団を離れる」ことしかありませんが、作品作りの最中に、そういった進退の問題が出てきては支障が起きます。ですから1年契約にし、年に一度話合いを行って、継続するかしないか、意思確認をすることにしています。

これから10年、20年と先を見通すと、やはり組織という基盤作りが重要です。そういった意味では、今は作品をつくりながらも、強い組織作りをしている最中とも言えますね。



Q・ ワークショップ活動も積極的に行われていますが、その意義とは?


やっぱり、演劇には、ドラマや映画にはない生の魅力があるんです。

ドラマや映画も難しいものですけど、演出次第で、いくらでも自由に表現できます。端的に言っちゃえば、ドラマや映画は「演出」もしくは「ディレクター(監督)」のものなんですよね。

一方で、舞台は「役者」のものだと思います。役者の生き方が透けて見える芸術なんですね。いいモノを創って輝くのも役者だし、観客の矢面に立つのも役者。こういうところにとても興味をひかれて、「劇団」というカタチにしたんです。

Q・ 普段はどんな活動をされているんですか?


2000年に週1回のワークショップを半年間行ったのがワークショップ活動のはじめです。

それまで、ワークショップリーダーの経験はありませんでしたので、平田オリザさんの本などを読んで勉強しました。

私にとってのワークショップというのは、参加者に楽しんでもらうというのもありますが、「自分のやり方の検証」という意味合いが強いのですね。なので、無料で行っていました。

半年間のワークショップで1本の作品を作りましたが、これが私にとってはとても勉強になりました。その後もワークショップは頻繁に行っていましたが、中学生参加者が主体のワークショップを行ったとき
はかなり苦戦しましたね。

思春期の子供たちだらけですから、作品作りに到達する手前でストップしてしまうわけです。

たとえば参加者同士手をつなぐゲームがあるのですが、照れてしまって彼らにはできないわけです。そうするとゲームの前提が壊れ、意義が伝わらず、そのゲームの先にある作品作りまではたどり着かない。

私にとってのワークショップは「検証の場」ですから、これには非常に悩みました。子供たち、特に思春期の子供たちを相手にするワークショップは、演劇作品作りとはまた違った、大きくいえば「教育」の意味も入ってくるかもしれませんね。


Q・ 地方公演、さらには韓国公演にも挑戦されていますが、そこにある想いとは?



まず、旅公演というのが、劇団設立時からの夢だったんですね。だから、とにかくやりたかった。

現在の活動の原点は、2000年の利賀での勉強会にあるのですが、そこで知り合った仲間がいた松本と甲府で、2004年に公演しました。


ここでの公演は劇団にとって大きなものでした。寝食をともにし、集客のために全員が一致団結して働きました。

それまでは、街頭でのチラシ配りなんてやったこともなかったし、集客についてだって、きっとそこまで深刻には考えていなかったでしょうから。

この旅公演で、それまで溜まっていた劇団の膿(うみ)のようなものが出て、その後の活動によい影響を及ぼしました。

2005年には韓国ツアーを行いましたが、これのきっかけはある韓国人俳優が文化庁の研修で2003年の「カンガルーと稲妻」を観劇し、一緒にやりたいと言ってくれたこと、また同じ研修生の韓国人のプロデューサーが、ソウルのある演劇祭にユニークポイントを推薦してくれたことがはじまりです。

韓国での上演は地方公演とはまた別の大きな転機になりました。

それまではきっと「言葉」に頼りすぎていたのですね。でも当然ながら言葉は通じないわけです。

そこで、言葉以外の方法で観客に伝えようと努力します。この試行錯誤がとても大きかったです。「海外に行くなら早いほうがいい」とある方に言われた意味を、この韓国ツアーの時に深く理解しました。

結果的に、この韓国ツアーは大成功を収め、去年は逆に韓国の劇団を日本に呼ぶことができました。今年以降は両国の共同公演を行う予定でいます。

まずは、10月のユニークポイント新作に韓国人の俳優を起用して、新しいものを作ろうと動いています。また来年1月には「あこがれ」という作品を、ユニークポイント版と韓国版で連続上演しようとも計画しています。

韓国の演劇は熱気があり、観客も純粋に楽しもうとしています。私自身、とても興味があります。これからも親交を深め、より新しい演劇をともに作っていきたいと思っています。  


Q・ ユニークポイントの今後の展望は?



実は、劇団にした時のもうひとつの夢、「アトリエをもつこと」を、昨年実現しました。(北池袋のアトリエ「aterier-SENTIO」)

拠点をもつことというのに非常にこだわっていたのです。今後は、この拠点で公演を打つことを計画しています。

6月、7月でユニークポイントのロングラン公演を上演いたします。お金をかけず、チケットも安価にし、アトリエ公演ならではの実験的なものを行います。これはアトリエを持ったことで、はじめて実現したことですね。

また、アトリエで演劇フェスティバルも開催したいと思っています。それこそ、泊まる場所はあるのですから、韓国から俳優を招きたいですね。

また、作品でいえば、奇抜なことよりも、演劇らしい演劇をこれからも作っていきたいです。

サブカル的なものがどうしても話題になりますが、僕自身は、しっかりとした脚本で、大人にも子供にも楽しんでもらえる、王道の演劇をやっていきたいと、そう思っています。   



お話をうかがう中で、常に10、20年先を見据えながら、ゆるぎない信念で「劇団」と「作品」を作っている誠実さが伝わってきました。

ユニークポイントの成功の陰には、山田さんの先見力と行動力があるのですね。
着実な作品作りを行いながらも、東京の演劇界に新しい風を吹き込んでくれる
ユニークポイントの未来に、とってもわくわくします! 
                     (取材・構成 A)


■■■ 告知!■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■

★ユニークポイント次回公演「もう花はいらない」
 2007年6月9日(土)〜7月8日(日) atelier SENTIO
 日時指定・全席自由席
 一般1,800円 中学生以上学生1,000円(リピーター割引あり)
 予約受付開始5月12日(土)

★お問い合わせ、ご購入はユニークポイントHPをご覧ください
 http://www.uniquepoint.org/

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(構成/文・A)2007/04/23