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あらゆるニーズに応えらるのが強み! 〜劇団 東京サギまがい

このコラムでは、第一線で活躍する劇団に直接取材し、劇団の現状やそれぞれが抱えている問題点、演劇業界の活性化などのテーマを共に考え、演劇の魅力をより多くの方々へ知っていただくための方法を考察してゆきます。

第54回目の今回は、「劇団 東京サギまがい」です。

●劇団 東京サギまがい

1997年2月、タレントのダンカン、グレート義太夫、須間一彌、ガラかつとし等を中心に結成。

鋭い視点から時事問題を織り交ぜた風刺の利いたダンカンの脚本、繊細で懐古的なグレート義太夫の音楽、「コント職人」須間一彌による喜劇色溢れる演出、個性溢れる役者たちの演技が好評を得て、2001年3月プロデュース公演のメンバーにオーディション合格者の劇団員を加えて、正式に旗揚げ。

多種多様な登場人物がおりなす“真の情”を描いた作風は、まさに、「ハートウォーミングコメディー」であり、テレビ・映画では表現しつくせないノスタルジックな喜劇だ。

現代社会に生きる人々の悲喜交々をユーモアたっぷりに描いた公演では、子供から大人まで幅広い年齢層の観客たちを「笑い」で包み込んでいる。


●立ち上げメンバーのダンカンさん、グレート義太夫さん、須間一彌さん、ガラかつとしさんにお話を伺いました。


Q・ 劇団を立ち上げたきっかけは?


はじめは、ダンカンが5作品書き下ろすという企画からスタートしたんですけど、これが、想像以上に好評だったんですね。で、「5作品で終わらすのはもったいない、このまま続けよう!」ということになりました。       
その理由として、ひとつは、社会に居場所がない人たちの居場所を作りたいという気持がありました。もうひとつの理由は、ドラマや映画など他の媒体にはない、「瞬間の芸術」である舞台特有の表現に魅力を感じたから、ですね。

立ち上げから、いろんな分野からメンバーが集まった、いわば「ごった煮」の劇団なので、どんなことでもできるんですよね。だから、「こうでなければならない」という論理なんてありません。どんな人間でも集まれる劇団です。企画時に集まったメンバーを見て、どこにも所属できない人の居場所になれたらいいな……と。


Q・ メンバーの皆さんは、テレビや映画などに大忙しですよね。そんな中で、「演劇」というスタイルにこだわる理由は?


やっぱり、演劇には、ドラマや映画にはない生の魅力があるんです。

ドラマや映画も難しいものですけど、演出次第で、いくらでも自由に表現できます。端的に言っちゃえば、ドラマや映画は「演出」もしくは「ディレクター(監督)」のものなんですよね。

一方で、舞台は「役者」のものだと思います。役者の生き方が透けて見える芸術なんですね。いいモノを創って輝くのも役者だし、観客の矢面に立つのも役者。こういうところにとても興味をひかれて、「劇団」というカタチにしたんです。

Q・ 普段はどんな活動をされているんですか?


劇団の活動としては、本番一ヶ月前からの公演稽古のほかに、基礎稽古も行なってますよ。

演劇業界の場合、劇団によっては「本番数日前に脚本が完成する」なんてこともあるようですけど、劇団の脚本家であるダンカンは、稽古が始まる前に必ずちゃんと脚本を書き上げて、しっかり作品の基盤を作っています。

その基盤に役者たちが演じるわけですが、ウチでは、まず役者本人に自分自身の演技を“演出”してもらいます。とはいっても、自己演出ができる役者は限られていますから、今は、より良い作品を創れるようにと、客観的視点を持った役者を育てることに取り組んでますね。


Q・ 地域の文化振興にも力を入れていると聞きましたが、具体的には?



具体的には、東京だけでなく、いろんな地方で公演を行なっています。われわれがその地域で公演を行なうことで、その場所の町おこしに役立てればと思ってるんです。    

普通、地方公演というと、東京で評判の良かった作品をもっていくのが常識になっていますが、サギまがいの場合は違うんですね。

まずは、公演をする前に、その地域に直接行って、現地で取材します。町とか村とか人の様子をヒアリングするんですね。その上で、ダンカンが脚本を新しく書き上げたり、直したりして、その土地ならではの作品を作っています。

観に来てくれるお客さんは、自分の町の見慣れた光景が舞台上で再現されてたり、身近な地名や知ってる固有名詞などがでてきたりするので、すっと世界に入り込めるし、とても喜んでくれていますね。   

一般的に、地方での公演は「機動力」が求められると思いますけど、サギまがいは、その土地にしっかりと腰をすえて、地元の人々にベストだと思われる作品を創るようにしています。

また、地元の自治体や企業から要請があった場合には、公演以外にもイベントの司会とか、ショーのような仕事もしています。そもそも、いろんな分野から人間が集まっている劇団ですから、どんなニーズにも応えられるのが、ウチの一番の“強み”ですね。   


Q・ 固定のファンだけでなく、全国の各地の「お客さん」を、とても大切にされているんですね。



そうですね。そもそも、娯楽は「見る人」が主体であるべきなんです。お客様あってこその公演なので、何事にもお客様第一で考えることは徹底していますね。    

作品の内容に関してはもちろんですけど、上演時間とか上演する場所など、「なにがベストか?」をよく考え、多くのお客様に心地よくすごしてもらえるようにしています。

あと、サギまがいでは公演が終わった後に、「宴遊会」という親睦会を毎回開いてるんですよ。

これは、わざわざご来場いただいたお客様と、われわれとがコミュニケーションをとる場として設けているものす。「宴遊会」では、出演者の知り合いかどうかは全く関係なく、全てのお客様と、役者、スタッフが一緒に語らえるようにしています。   

もちろん、お客様に「楽しく過ごしてもらいたい」という目的もあるんですけど、一方で、お客様の感想や意見を直接お聞きしながら、次の作品づくりにすぐに取り入れたいという気持ちも強いですね。

そのお客様は、公演を見てどう感じたのか、どういうところがよかったのか?悪かったのか?など、小さな声にも耳を傾けて、しっかり取材します。いただいたご意見を、劇団のスタイルや作品に、すぐにフィードバックできるように、「お客様と一緒に公演を作る」感覚を研ぎ澄ませていきたいと考えてます。    


Q・ 劇団サギまがいの今後の展望は?


「組織」として、強い基盤を作っていきたいですね。それと、所属俳優が劇団の活動だけで生活できるようにしたいというのが、当面の第一目標ですね。    

そのためには、ひとりひとりの俳優の力を伸ばすこと、さまざまな媒体を使って、劇団の存在を多くの皆さんに知っていただくこと、そして、そういうことが“実際に、できる”組織作りを目指してます。

公演としては、われわれの劇団の作品を、もっともっと幅広いお客様に見てもらいたいですよね。そして、舞台と客席の垣根を越えて、劇場にいる人すべてが“仲間”になれたらいいなと。劇場という空間を、「仲間になりたい人が集まる空間」にしたいという夢を持っています。

その上で、お客様の生活を、今よりももっと「心地よいもの」に変える力になりたいと思っていますね。   

たとえば、仕事でつらいことがあったとしても、「今は仕事でつらい状況になる“役”だから…」と思ってがんばれるエネルギーを与えたいな、と。“役”を演じるのは俳優だけじゃなくて、客席のお客様にも、自分の生活の中で“役”を演じていただくことで、「人生を楽しんでもらえるようにしたい!」と思ってるんですよ――――。




編集スタッフが稽古場にお邪魔したのは、6月公演の稽古初日でした。
稽古場は緊張感がありながらも、これからの作品創りへのエネルギーに溢れていて、そのムードにとてもワクワクしました。 ダンカンさんをはじめとするメンバーの皆さんは、様々な分野の最前線で活 躍する経験豊富な方々…。
それでも、お芝居に対してどこまでも誠実な姿勢 を貫く真摯な姿が、とても印象的でした。
「東京サギまがい」が、幅広い年齢のお客様に愛され続ける理由は、劇団名 からは想像できないくらいの“誠実さ”だったんです。

(取材・構成 A)
(構成/文・A)2007/05/28