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衣装費っておいくら?

世界のトップスターが出演して、たくさんのCGが使われている豪華な映画だって、1,800円で観られちゃう。けれども演劇は、無名の劇団の公演でも2,000円以上、有名人が出てるだけで1万円を超える料金だってあるんです。んー、こりゃ、高い!

……でも。一度きりのお芝居は、その瞬間のためだけに、いろんな人が動いて、いろんなところにお金がかかっていたりするんです。そんな演劇のお値段の構造をさまざまな切り口から“解剖”するのがこのコーナー。

今日のテーマは、「衣装費」です。


●高い?安い?「衣装費」のお値段

舞台設定も決まり、大道具・小道具の作成プランが決まると同時に必要になるのが「衣装」です。

「衣装」は、設定や登場人物によって、いろんなジャンルやスタイルがあります。例えば、設定が宇宙の話であれば、宇宙服を着ることになりますし、時代劇であれば、着物や袴、草履などが必要になります。また、いつもだらしない格好をしている青年がスーツを着るだけでりりしく見えるようになるなど、衣装一つで、その役柄と舞台の雰囲気を変えることが出来ます。

物語によっては、ファンタジックなものやちょっと不思議な世界を描いたものもあるでしょう。そういう時には、衣装のカラーを統一したり、大道具との雰囲気を合わせるなど、その世界にマッチした衣装を作ることで、独特のイメージを打ち出すことができるのです。

前回(2月9日号)までは、舞台を「ワンルームマンション」に設定し、大道具・小道具を作成しました。今回は、そのシチュエーションに登場する衣装をそろえてみましょう。

まず、台本をもとに「衣装表」をつくり、どんな衣装が必要なのか、全て書き出します。今回の設定は、恋愛物のシチュエーションコメディーで、サラリーマン、女子高生、OL、30代女性会社員の4名が登場人物です。

ここで必要な衣装を考えた場合…

サラリーマン:スーツ、白ワイシャツ、ネクタイ、靴下
女子高生:セーラー服、白靴下
OL:スカート、ブラウス、ジャケット、スカーフ、ストッキング
30代女性会社員:女性用スーツ、ブラウス、ストッキング

これらの衣装をすべて買うのは大変です。では、レンタル会社から借りるとすれば?

男性用スーツ10,000円、女性用スーツ8,000円、冬用セーラー服4,500円(2日)と、決して安くはありません。借りるよりも買ってしまったほうが安い場合のほうが多いかもしれません。

本格的に衣装にこだわって役柄を設定する場合もありますが、予算を考えるならば、生地から服を裁縫したり、卸問屋で安く仕入れるなどの工夫が必要になるでしょう。

今回は上記にあげた登場人物の衣装を「買う」「借りる」「持ち込む」というように、調達方法を振り分けます。

●買うもの…………男性用ワイシャツ1着、女性用ブラウス2着、スカート、
         ジャケット、男性用スーツ、女性用スーツ
●借りるもの………冬用セーラー服
●持ち込むもの……ネクタイ、靴下、白靴下、ストッキング、スカーフ

これらを、普通のリーズナブルな洋品店で購入するとすれば、その相場は以下のようになるでしょう。

男性用ワイシャツ  1,000円
女性用ブラウス 1,900円 (×2)
スカート 3,900円
ジャケット 4,900円
男性用スーツ 9,800円
女性用スーツ 9,800円

合計 33,200円

けれども、とある激安洋品店(板橋区にあるNというお店)では、同様のものが信じられないほどの低価格で売られていました。

男性用ワイシャツ 390円
女性用ブラウス 290円 (×2)
スカート 360円
ジャケット 590円
男性用スーツ 3,000円
女性用スーツ 3,000円

合計 7,920円

このように、近くの激安洋品店や古着屋などをくまなく探すと、意外な掘り出し物に出会うこともしばしばです。このようなお店の知識をどれだけ持っているかが、経費削減のコツですね。もちろん、持っているものを持ち寄ることも、重要になってきます。

これに、セーラー服のレンタル代金を加算します。公演が4日間で、前日に借りて、公演終了翌日に返却するとなると、合計6日間借りることになります。すると、セーラー服レンタル代は4,500円(2日)×3=13,500円となります。

衣装購入費7,920円にセーラー服レンタル費13,500円を足して、あとは持ち寄りのものにすれば、衣装費用の合計は 21,420円です。セーラー服も、劇団員の誰かが実際に来ていた制服があれば、その費用は浮くことになります。

さて、劇団「タイムズ」が上記の衣装をそろえたとして、今までにかかった費用を合計してみると…

劇場費 997,500円 (木〜日曜の4日間、6ステージ、定員257人)
稽古場費  640,000円
大道具費 98,250円
小道具費 28,700円
衣装費 21,420円

1,785,870円

この合計金額をチケット収入でまかなうには、6ステージ完売したとしても……
    1,785,870円÷(257人×6)=約1,158円
チケット1枚につき、およそ1,158円の収入が必要になってくるのです。

一見、小さく見える出費でも、積もり積もれば大きくなってゆきますね。でも、これだけでは済みません。本番が近づくと、もっともっと増えてくるのです。でも、それは次回のお話…。どうぞお楽しみに!


※参考書
●「THE STAFF 舞台監督の仕事」 晩成書房 伊藤弘成著

●貸衣装BH http://www.bh-net.co.jp/pages/isyou.html


(文・M)2004/3/8