under


 
 
広告宣伝費っておいくら? VOL.1

世界のトップスターが出演して、たくさんのCGが使われている豪華な映画だって、1,800円で観られちゃう。けれども演劇は、無名の劇団の公演でも2,000円以上、有名人が出てるだけで1万円を超える料金だってあるんです。んー、こりゃ、高い!

……でも。一度きりのお芝居は、その瞬間のためだけに、いろんな人が動いて、いろんなところにお金がかかっていたりするんです。そんな演劇のお値段の構造をさまざまな切り口から“解剖”するのがこのコーナー。

今日のテーマは、「広告宣伝費」です。


●高い?安い?「広告宣伝費」のお値段

広告宣伝費とは、不特定多数の者に対する宣伝的効果を意図するために要する費用をいいます。大きな企業になるほど、この広告宣伝にかける費用は膨大になります。日経広告研究所の調べでは、2002年度の広告宣伝費用のトップはトヨタ自動車で、1135億2200万円。売上高の約1.3パーセントになります。

もちろん、ひとつの公演を打つためにこれだけの費用を捻出することは出来ませんが、出来るだけ少ない予算で、大きな成果を得られるように努力したいものですよね。

劇団で最もポピュラーな方法が、チラシの作成、折り込み、ダイレクトメールの郵送です。その他、ポスターを街に貼ったり雑誌へ掲載したり、大きなところになればテレビやラジオを使った宣伝もあります。

小さな劇団になれば、チラシの折込やダイレクトメールが一番集客につながりやすく、手を伸ばしやすい方法になるでしょう。今回は、このチラシのお値段と、ダイレクトメールにかかる費用を見てみましょう。

チラシはお客様の目に直接触れて、作品のイメージを伝える大切なものですから、そのデザインには一番気を使います。写真を使うのか、イラストなのか、色はいくつ使うのか、両面なのか片面なのか、デザインをどこに依頼するのか、紙の大きさや質はどうするのか…。本当にたくさんの選択肢の中から、自分達の公演や劇団のイメージにぴったりの方法を探し出してゆきます。

最近では、パソコンを使えば、デザイナーでなくてもかなり凝ったものを作ることも出来ます。色々な企業のパンフレットや広告を見ながら勉強してみるのも良いかもしれません。こうすることで、デザイン料を節約することが出来ます。

ちなみに、印刷所ではデザインもやってくれるところがあります。どういうデザインにするのか、写真の入れ込みをするのかでも値段が違いますが、安くて1万円という料金もあります。ただし、イラストや写真を入れ込んだり、凝ったものを作ろうとすると、最低でも3〜4万円はかかります。

デザインが決まったら、印刷所に依頼します。最もポピュラーなチラシの大きさは、A4サイズ(210×297)。紙質は主につるつるの表面のコート紙か、艶のないマット紙、上質紙の3種類から選べます。紙の厚さにも種類があり、薄手のものにするのか厚手のものにするのかを決めます。また、公演の1〜2ヶ月前くらいから、色々な劇場で行われる公演への折り込みや、置きチラシをするのであれば、枚数もかなりのものになります。1ヶ月で1万枚〜1万5千枚は必要になってくるでしょう。

では、劇団タイムズがチラシの発注をした場合、どれくらいのお値段がかかるでしょう。

デザインは、パソコンで自分達で作ります。そして、A4サイズ、写真なし、薄手のコート紙で片面印刷、表面4色で、演劇系のチラシ印刷を手がけているA社に2万枚を発注します。すると―――

印刷料 94,100円(税込み)
送料・諸経費 4,200円(税込み)

合計 98,300円(税込み)

となります。

そして、ここで出来たチラシをダイレクトメールでお客様に送り、「どうぞ観に来てください」と呼びかけるわけです。このダイレクトメールの数は、その劇団の積み上げてきた顧客数によりますが、300人規模の劇場を6ステージ満席に出来るだけの集客がある場合、最低でも3,000〜4,000人の顧客データが見込まれます。これだけの顧客にチラシと、観に来てください、というお手紙を添えて郵送する場合………

封筒(長3)4,000枚 17,556円(税込み)
コピー用紙(A4・5000枚×1パック) 2,570円(税込み)
ステックのり×20本 2,100円(税込み)
宛名シール(10面×400シート) 11,256円(税込み)
送料(80円×4,000通) 320,000円(税込み)

合計 353,482円(税込み)

送料に関しては、普通に郵便局から出す以外にも、郵便物の大きさや重さによっては、クロネコヤマトの「クロネコメール便」がお得な場合もありますよ。

では、これらの費用を、今までにかかった費用に合計してみると…

劇場費 997,500円 (木〜日曜の4日間、6ステージ、定員257人)
稽古場費 640,000円
大道具費 98,250円
小道具費 28,700円
衣装費 21,420円
広告宣伝費 451,782円

合計 2,237,652円


この合計金額をチケット収入でまかなうには、6ステージ完売したとしても……
    2,237,652円÷(257人×6)=約1,452円
チケット1枚につき、およそ1,472円の収入が必要になってくるのです。


いかがです?時々ポストに投函されているダイレクトメールには、これだけの費用がつぎ込まれているんですね。どうか、ポイっと捨てずに、まずはじっくり見てあげて下さい。


※参考
●日経広告研究所 http://www.nikkei-koken.gr.jp/study/01.html

●株式会社ユリクリエイト http://www.yuri.co.jp/2nd/

●クロネコメール便  http://www.kuronekoyamato.co.jp/mail/mail.html

(文・O)2004/4/12