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広告宣伝費っておいくら? VOL.2

世界のトップスターが出演して、たくさんのCGが使われている豪華な映画だって、1,800円で観られちゃう。けれども演劇は、無名の劇団の公演でも2,000円以上、有名人が出てるだけで1万円を超える料金だってあるんです。んー、こりゃ、高い!

……でも。一度きりのお芝居は、その瞬間のためだけに、いろんな人が動いて、いろんなところにお金がかかっていたりするんです。そんな演劇のお値段の構造をさまざまな切り口から“解剖”するのがこのコーナー。

今日のテーマは、前回に引き続き、「広告宣伝費」です。


●高い?安い?「広告宣伝費」のお値段

前回(4月12日号)では、劇団で最もポピュラーな宣伝方法であるチラシとダイレクトメールのお値段について検証しました。今回は、新規の顧客を獲得するための、ダイレクトメール以外の宣伝方法のお値段を見てみましょう。

広告宣伝の媒体には、実にさまざまなものがあります。ダイレクトメール以外では、雑誌、テレビ、新聞、チラシ折り込み、インターネット、などなど。

日本新聞協会の「2003年全国メディア接触・評価調査」では、一般の人々が宣伝広告に接触するメディアは、テレビCM93.2%、新聞広告87.8%、雑誌広告67.4%となっており、マスコミを情報源とするのが圧倒的です。しかし、マスコミを利用して宣伝するためには、膨大な費用がかかってしまい、よほどの収益が見込まれない限り、劇団がテレビCMに投資することはできません。そこで劇団は、少ない予算で大きな成果を得られるよう知恵を絞るのです。

まず、劇団は、これまでの顧客以外の多くの方々に自分たちの活動を知っていただくために、どの媒体に広告宣伝を行うか、どれだけ集客につなげられるか、ターゲットをどこに絞るかを考えながらリサーチします。

新聞広告は、テレビに続く有効な宣伝方法ですが、タテ495mm×600mmの一枠で約15万円〜25万円。ターゲットに設定する年齢層や公演の形態、公演会場など、色々な条件にもよりますが、若手劇団の場合には、広告費用に見合う集客を見込める可能性は低いといえるでしょう。

一方、劇団にとって大切なプロモーションとなるのは、演劇ぶっく、シアターガイドといった演劇専門雑誌への情報掲載でしょう。その他、劇場周辺の電車・バス広告、駅内の掲示板広告も、場所によっては比較的低予算で人目につきやすいことから、有効な宣伝方法のひとつになるかもしれません。

今回は、演劇雑誌、電車・バス広告、駅内の掲示板広告にかかる費用を見てみましょう。

演劇ぶっく、シアターガイドなどの演劇専門雑誌には、それぞれ、無料の文字情報欄と、写真などを掲載できる広告欄があります。両雑誌に広告を掲載することもできますが、各誌によって広告サイズ、料金、付帯サービスが違い、さらには購読者の数も年齢層も違います。

ここで、それぞれの料金を比べてみましょう。

●演劇ぶっく(白黒印刷)
 タテ130mm×ヨコ61mm  52,500円
 タテ276mm×ヨコ55mm  84,000円

●シアターガイド(カラー印刷)
 タテ92mm×ヨコ62mm  68,250円

 ※さらに、インターネット上で、「Webチラシ」という、チラシと公演情報を掲載するサービスあり。

電車・バス広告、駅内のポスター掲示は、劇場周辺の在住在勤者への告知します。ただし、演劇専門雑誌と違うのは、演劇にまったく興味のない人々の目に多くふれること。その分だけ、劇場に導く力が弱くなることもありますが、このポスターを目にする人を動かすことが出来れば、場所が近い分だけに、大きな効果が得られることもあるのです。

価格は、路線や駅の乗降客数、地域などによって違います。ここで、架空の劇団「タイムズ」が公演を予定している三百人劇場(文京区/都営三田線千石駅)を例にとってみると……

●都営三田線車内広告
 中吊:タテ364mm×ヨコ515mm  250枚(28枠) 2日間   207,900円
 窓上:タテ280mm×ヨコ515mm  250枚     1ヶ月間  325,500円

●都バス(大塚営業所発)
 窓上:タテ364mm×ヨコ515mmサイズ、バス63台
7日間 33,390円
15日間 53,550円
1ヶ月間 75,390円

●千石駅内の掲示板
 駅チラシ:7日間
タテ1030mm×ヨコ1456mm 40,000円
タテ728mm×ヨコ1030mm 20,000円
タテ515mm×ヨコ728mm 10,000円
タテ364mm×ヨコ515mm 10,000円


今回、劇団タイムズは、ターゲットを20代〜30代の若者層に絞り宣伝広告を打つことにします。雑誌を使った広告では、シアターガイドの「Webチラシ」の特典を活用することにし、演劇ぶっくでは、無料の文字情報を掲載することにしました。

三田線内の車内広告は、費用面でかなりの支出になるため、今回は行わず、都バス広告で7日間、駅内の掲示板でB2またはB3サイズで、2週間広告を行うことにします。すると―――

シアターガイド広告料 68,250円
都バス中吊り広告料 33,390円
千石駅内広告料(2週間)10,000円×2 20,000円

合計 121,640円

では、これらの費用を、今までにかかった費用に合計してみると…

劇場費 1,047,375円 (木〜日曜の4日間、6ステージ、定員257人)
稽古場費 672,000円
大道具費 103,163円
小道具費 30,135円
衣装費 22,491円
広告宣伝費 451,782円
広告宣伝費2 121,640円

2,448,586円

この合計金額をチケット収入でまかなうには、6ステージ完売したとしても……
    2,448,586円÷(257人×6)=約1,588円
チケット1枚につき、およそ1,588円の収入が必要になってくるのです。

なにげなくみている雑誌の広告、中吊り広告や駅内のポスターには、これだけの費用がかかっているんですね。ふと気になる広告に出会ったときに「この公演見てみようかな」と思っていただけたらうれしいですね。


※価格は全て消費税込みで表示しております。

※参考
●社団法人 日本新聞協会 新聞広告データアーカイブ
  http://www.pressnet.or.jp/adarc/data/2ad/06.html
●読売新聞社 http://www.yomiuri.co.jp/
●朝日新聞社広告局 http://adv.asahi.com/
●毎日新聞社広告局 http://macs.mainichi.co.jp/
●東京都交通局 http://www.kotsu.metro.tokyo.jp/index.html


(文・M)2004/5/10