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〜全国の演劇ワークショップ体験リポート〜
 



気ままに、自由に、Let's サーカス!!

むごん劇かんぱにいワークショップ
〜ジャグリング・マイム・綱渡り・玉乗り〜

2003年5月11日(日) 横浜にぎわい座




横浜・桜木町。どこか懐かしい雰囲気のする野毛の町に向かって商店街を進んで行くと、賑やかな提灯と垂れ幕に囲まれた「横浜にぎわい座」に出会います。
ここは、落語、漫才、大道芸など、大衆芸能の専門館として2002年にオープンした新しい劇場。今回は、この場所でジャグリングやパントマイム、そしてアクロバットなサーカス芸が体験できる、「むごん劇かんぱにい」のワークショップが行われると聞き、早速お邪魔しました。


野毛といえば、大道芸人たちのメッカ。1986年から毎年行われているフェスティバル「野毛大道芸」では、町中に全国から集まった大道芸人たちがあふれて大賑わいを見せます。もともとは町おこしのために始まったイベントも、今では“横浜の名物”と言われるほど。

そんな野毛の町を拠点に20年も前から活動を続けているのが、むごん劇かんぱにい。パントマイムやサーカスの公演を各地で展開し、日本初のサーカス用品専門店をオープンさせるなど、パフォーマンスの面白さを広く伝えています。まさに、日本を代表するパフォーマンスカンパニーなんです。

今回のワークショップでは、フランスから特別にゲスト講師を招き、ジャグリングやパントマイム、綱渡り・玉乗り・空中ブランコなど、いつもは憧れながら見つめているだけのサーカス芸を、自分自身で体験できる5日間
のエキサイティングなプログラムです。
そしてこの日は最終日…………。どんなことになるのやら!?

PM5時50分。

横浜にぎわい座の地下1階へ向かうと、高い天井に広々したホールの真ん中に、青い鉄筋作りの綱渡りの器具だけがドンと置かれているだけ。周りには誰もいません。「あれ?」と思ったら、奥のほうから賑やかな声が。実は、講師と参加者の皆さんでワークショップで使う荷物をトラックから搬入していたのです。

搬入用エレベーターから、大きな荷物を抱えた皆さんがやって来ました。このワークショップでは、準備も共同作業。赤や青の巨大な玉や、箱いっぱいのカラフルな道具が次々と運び込まれると、閑散としていた会場はサーカス小屋のように華やかになってゆきました。

6時10分。

「じゃあ、はじめましょうか?」の声で、ワークショップがいよいよスタート。
今日、講師を務めるのは、むごん劇かんぱにいのIKUO三橋さん、いはらつトムさん、そしてこのワークショップのためにフランスからやってきたブルーノ・セラティさんの3人。ブルーノさんは世界でトップレベルの空中芸パフォーマーです。

参加者は、20代〜40代までの学生・社会人など16人。それぞれが赤・青・黄、色とりどりのボールを取り出すと、まずは初級と上級の2手に分かれてボールのジャグリングから始めました。

初級コースは、この日が初参加という人も含めて10人ほど。レクチャーするのは、いはらつトムさん。まずは1個のボールだけを使って左右の手へ山なりに投げるという簡単な動作から、「1、2、3」とリズムを取りながら2つのボールを同時にキャッチするというちょっと難しそうな動作まで。最初は「簡単!」という表情だった参加者の皆さんも、やがて複雑な動きになると、目つきが真剣に!

「うわぁ、難しいぃぃ」

難しくなればなるほど、あちこちから楽しそうな悲鳴(?)が聞こえてきます。いはらさんは、参加者の皆さんをひとりひとり丁寧に見て回りながら、その人に合わせてじっくりとアドバイスを投げかけます。

「落ち着いて、浮いているボールをよーく見て……」
「下げる腕が大事。もう1回やってみよう……」

いはらさんは決して相手を急かせることはありません。あくまでその人のペースに合わせ、コツやタイミングをアドバイスしてゆきます。

ジャグリングと聞くと難しそうなイメージがありますが、このワークショップでは、習得速度にあったアドバイスの中でゆっくりと進んでゆくので、初心者でも“おいてけぼり”になることはないようです。

一方、上級コースでは5〜6名の参加者が、ブルーノ・セラティさんから身振り手振りのボディランゲージで指導を受けながら、難易度の高い技にチャレンジ。ボールを頭の上にのせたかと思うと、背中越しに投げたボールを逆手でキャッチしたり……。レポートすることを忘れて、じっと見入ってしまうほどに複雑な技を、何度も繰り返しながら練習しています。

この日、初めて出会った参加者同士でも、難しい技に一緒に挑戦するなかで自然と打ち解けて、コミュニケーションもだんだん活発になってきました。やがては、全員で集まって、技のコツを研究しあうほどに……。何かに夢中になると、なぜかみんなが仲良くなっちゃうという子供時代に戻ったような感覚。こうした楽しさも、ワークショップの魅力なんだなぁと実感します。


7時。

「ハーイ、終わりー」という声で、ジャグリングが終了。普段はこの後に、マイム・玉乗り・綱渡りと順番に練習するのですが、この日は最終日ということで、室内をパントマイム・玉乗り・綱渡りの3つのグループに分け、参加者はそれぞれやりたいものをとことんやろうということになりました。

もっとも人気が高かったのは、パントマイムのレクチャー。本場フランスのサーカス学校でも講師を務めたIKUO三橋さんがアドバイス役にあたり、歩きや階段など、パントマイムの基本動作を練習します。

「マイムって、見る側は面白いんだけど、やる側は身体がキツくて大変ですよ(笑)。でも、マイムは舞台にマジックを与えるし、夢をみせられるんですよね」

と、マイミストとしての経験談を交えながらのレクチャー。基本練習が終わると、最後はマイムを使っての作品づくり、発表会へ。それぞれの個性豊かな作品に、会場のあちこちから笑い声がこぼれてきます。



玉乗りのレクチャーでは、いはらつトムさんを中心に直径1メートルほどの巨大な玉に悪戦苦闘。玉に人間がのればかなりの高さになるため、もしバランスを崩して落ちれば大怪我にもなりかねません。

それでも参加者は玉の上でボールのジャグリングを行なうなど、次から次へと難しい技をこなしてゆきます。時には講師のいはらさん自身が玉に乗り、一本足でバランスを取るなど、高度な技を披露。プロパフォーマーの卓越した技に、参加者の皆さんからは、思わず歓声が。


一方、綱渡りのグループでは、空中芸を専門とするブルーノ・セラティさんが、参加者ひとりひとりにマンツーマンで指導。まずバランス感覚を養うための逆立ちの練習を行ない、地面の上でイメージトレーニングを繰り返すと、ブルーノさんにサポートされながら、実際に綱の上へ。地面から45cmのところにピンと張られた綱の上に参加者の足が乗ると、周りは静かな緊張が走ります。

参加者の一人が、体をふらつかせながらもしっかりとバランスをとり、綱の上を一歩ずつ進んでいく。見ているこちらまでハラハラしてくるスリリングさ。バランスを崩して失敗してしまうと、全員の口から「あー……」っとため息が。んー、惜しい!


8時20分。

パントマイムのレクチャーが終了すると、最後はフリータイム。参加者の皆さんは、ジャグリング、玉乗り、綱渡り、パントマイム、どれでも好きなものを自由にチャレンジして、会場内は一気に開放的な雰囲気へ。

講師の皆さんはひき続き指導にあたりながらも、要望があれば特別レッスンも行ないます。三橋さんは、参加者のリクエストでムーンウォークを特別レッスン。ところが、三橋さんもムーンウォークの動き方を教えるのは初めてのことだったようで、「んー?どうやって教えるといいんだ?」と考え込む一幕も。講師も参加者もみんなが一生懸命です。


一方では、今回のワークショップが綱渡り初体験という参加者が、綱の上をすいすいと歩いてゆきます。見守っていたいはらさんも
「うまい!」と感心顔。

「僕たちはコツをわかりやすく教えるだけで、結局それをやるのはその人自身。センスのいい人はもうどんどん吸収していきますし、各自のペースで好きにやってもらっているので、皆さん上達するのは早いですよね」
と、いはらさん。



9時30分。

3時間半に及ぶワークショップがついに終了。講師代表の三橋さんからのあいさつが終わると、あと片付け。全員で協力してテキパキと片付けられてゆきます。ついさっきまでサーカステントのようだったホールも、あっという間に静かで何もない空間に。まるで、一夜の夢だったかのよう。
たくさん汗をかいた参加者と講師の皆さんは、このあと、打ち上げをかねて夕食へ。楽しそうな笑い声の中、全員の後姿が、野毛の町へと消えてゆきます……。

みなさーん、おいしいビールを飲んでくださいね!



2003/6/01

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