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〜全国の演劇ワークショップ体験リポート〜



「コトバのいらない表現で遊んじゃおう!」

シアターTT ワークショップ
〜クラウン表現あそび体験〜

2003年6月7日(土) 六本木・みなとNPOハウス体育館



大型複合施設・六本木ヒルズのオープンで、連日大賑わいの六本木。
けれども、人々が行きかう“未来都市”のような繁華街を少しはずれると、昔ながらの山の手の風情が漂う街並みです。その一角には廃校となった学校……。ここは今、複数のNPO団体が利用できる施設として残されています。
今回のワークショップレポートは、新しさと懐かしさが入り混じる六本木の「みなとNPOハウス体育館」で行なわれた、シアターTT(デンマーク)のパフォーマーによる子ども向け表現ワークショップをレポートします。

今回のワークショップは、NPO法人子ども劇場全国センターの企画で招聘された、デンマークの2人芝居「フルーエン(はえ)」の公演と合わせて行なわれた、子ども向けの表現ワークショップです。

釣りをしに釣竿を持った男と、ハエを追って小さな捕虫網を持った男が出会い、様々なドラマが展開するという、子どもから大人まで楽しめる「コトバ」のないお芝居。
あらゆる身体表現を駆使して、次々と世界を塗り替えてゆくように演じるのは、シアターTTのフィン・ライさんとトルキルド・リンデビヤーグさん。

海外でも最前線で活躍するパフォーマーの方とワークショップをできるなんて、とっても貴重な機会!さてさて、どんなことをやるんでしょうか?子どもたちの気持ちに負けないくらい、レポートする私もワクワクしながら、校門をくぐりました―――。


AM 9:50

開始時間10分前。
会場には子どもたちがお父さんお母さんに手をひかれて、次々とやってきました。会場内は、ワークショップの後に行われる公演のセットがすでに組まれた状態で、「なにするの〜??」と、子どもたちの顔はちょっと緊張気味―――。

関係者のあいさつが終わると、講師を務めるトルキルドさんとフィンさんが登場。通訳の方を通じて、軽く自己紹介を終えると、いよいよワークのスタートです。

でも、その前に……「裸足になろう!」という呼びかけが。

子どもたちを舞台に上げて、みんなに裸足になってもらいました。裸足になることで、学校とは違った開放的な雰囲気が広がります。やさしくてとってもユニークな講師の2人に、子どもたちもいつの間にかに惹きこまれていきました。



左:トルキンドさん 右:フィンさん
「みんな、クラウンってなんだと思う?」
トルキルドさんは話しかけます。

「しゃべったりしない人?」「しずかな人?」
“外国人”の先生を前に、緊張気味の子どもたちは照れくさそうに、ぽそっと答えます。

そんな子どもたちの気持ちを知ってか、トルキルドさんはにんまりと笑って、顔を子どもたちに近づけるようにして答えます。

「クラウンはFunnyな人。おかしい人。クラウンは他の人を面白がらせるんだ!」

子どもたちも、そんなトルキルドさんの様子ににんまりと笑います。みんなも面白い人は大好き。
今度は君たちが、面白い人になるんだよ。さあ、そのクラウンになるための様々なエクササイズを実際に体験していこう!


AM 10:10


まずは全員で手を繋いで大きな輪になると、全員で「おはようございまーす」と大きな声であいさつ。
そして、次に「うぉ〜〜!!」と全員で声を上げて、真ん中へ駆け寄り集まります。これを何度か繰り返します。はじめは照れくさそうな子どもたち。「うぉ〜〜」という声も小さかったのですが、トルキルドさんとフィンさんの勢いにつられて、みんなの声が次第に大きくなります。

大きな声が出てきたところで、ウォーミングアップのストレッチへ。
自分の足にキスしてみたり、足の裏であいさつしてみたり。2人のストレッチはとてもユーモラス。子どもたちの表情はどんどんと輝いてきました。


AM 10:30

ひととおりウォーミングアップが済むと、2人は子どもたちにそれぞれイスを持ってくるように促します。
ここでトルキルドさんのクエスチョン。
「ジャンプする時にはどんなことをする?」

「しゃがんでから……のびる?」と、子どもたちはもじもじと答えます。

「そのとおり!人は動くときには必ず動く方向とは逆の方向に一度動くんだ」
トルキルドさんはそう答えると、モノを投げる動きなどを例にしながら、身体が逆に動く仕組みについて伝えてくれます。こんどはそれを意識しながらジャンプしてみようと、子どもたちに呼びかけます。

子どもたちは3人組になると、イスの上にジャンプする動作を繰り返します。何気ない動作も、分解して捉えることで、とても興味深いものになる。2人はそういうことを伝えたかったようです。

「それじゃあ、ジャンプの味を試してみようか?」

今度はさまざまな変わったジャンプに挑戦していきます。例えば、お尻を床につけて、お尻だけの“へんてこ”なジャンプ。ポンポン飛び回るだけで、思わず笑っちゃう!

すると次は、アシカのように上体をそらせた状態から、仰向けに寝るという、ちょっと難しい「インポーズ」という動作へ。まずトルキルドさんがお手本になってやってみせると、まるで曲芸のような動きに、子どもたちの中から自然と歓声があがりました。

       

その後、ちょっとしたバランス運動をしてから、これまでやってきた動きすべてを使って、マットの上ででんぐりがえりの運動へ。
できるかな? 勇気を持ってヨイショ!
AM 11:45

いろんな動きで遊んだあとは、今まで「優しくて面白い講師」だったトルキルドさんとフィンさんが、突然、「クラウン」になってびっくり!

トルキルドさんが「後ろ向きに歩いていた人が、目の前の壁に激突する」というまさにコントのお手本のような動きを見せると、場内の子どもたちは釘付け。やがて、「アハハハ!!」と、笑い声が一斉に響きます。

さあ、今度は子どもたちの番です。

トルキルドさんとフィンさんが、この動きのコツをひとつひとつ説明すると、子供たちも壁に向かって激突する芝居にトライ!みんなの立派なクラウンぶりに、場内からは笑いが絶えません。

次に、2人1組になって相手を殴るマネをレクチャー。
お手本はさすがっ!殴った瞬間激しい音を立てて、まるで本当に殴ってしまったかのよう。でもこれには実は仕掛けがあって、実際はまったく殴っていないのです。

そのコツを子どもたちにこっそりレクチャーすると、2人1組になって殴るマネにトライ。これはなによりも2人の息を合わせることが重要なようです。




AM 12:00

2時間のワークショップがあっという間に終了。最後に、もう1度全員で手を繋ぎ大きな輪になると、最初にやったように全員で声を出して輪の中心に集まります。

すると、「うぉ〜〜〜〜〜〜!!!」と、はじめの時とはまったく比べものにならないような大きな声が会場にこだましました。その声の大きさがまさに今回のワークショップの成果とも思えました。子どもたちの生き生きとした姿に、トルキルドさんとフィンさんも笑顔です。


インタビュー】

Q日本の子どもたちの印象は? 

どこの世界でも子どもはみんな一緒だね!
はじめは恥ずかしがっていても、そのうちに打ち解けてきて、最後にはみんなではしゃぎまわっている。でもそれは大人も同じことで、パーティーに行ったときなんかは大人も同じようになるだろう?

ただ、子どもたちと接していて難しいことは、物事の何が良くて何が良くないかを伝えること。それは場合によっては、「何かをしちゃいけない」という否定的な捕らえ方になってしまうことがある。だから、常に彼らのやることを肯定しながら続けてゆくことが大事だよ。

Q今回のワークショップで子どもたちに伝えたいことは?

今回のワークショップでは、とにかく子どもたちに「何かやること」、「チャレンジすること」に目を向けてもらえればと思ったんだ。ワークショップの中では特に身体のことをたくさんやったけど、その中で子どもたちが自分の身体についていろいろな発見ができたんじゃないかと思うよ。

Qワークショップの魅力ってなんでしょう?
例えば、サッカーや相撲なんかは、ルールがわからないと
あまり面白くないけど、ルールがわかると面白くなるだろう。

それと同じように、お芝居でもルールや約束事がわかってくれば、もっと面白くなってくる。ワークショップっていうのはそうしたルールやお約束事を知ってもらう場所なんじゃないかな。
ワークショップでお芝居の仕組みを知ることで、お芝居そのものがもっともっとわかるようになるし、面白くなるはずだよ!!


そして、2時から上演される「フルーエン」の準備に戻っていったトルキルドさんとフィンさん。
芝居を通じて、子どもたちが遠いデンマークの国の方々と触れ合える機会がもてるなんて素敵です。コトバもいらない心と心のコミュニケーション。今日のドキドキした思いは、子どもたちにとってもきっと忘れられない思い出になったことでしょうね!




NPO法人子ども劇場全国センター
↑今回のワークショップを企画した、子ども劇場全国センターのホームページ。
 子ども向けのさまざまなワークショップ・公演情報が掲載されています。



2003/07/01

ワークショップ・レポートでは、今後も全国のさまざまなワークショップを取り上げてゆきます。ご意見ご感想、また「うちのワークショップも取り上げて!」「こんなワークショップを知りたい!」などのご要望がございましたら、こちらまで、どしどしお寄せくださ い。お待ちしています。