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〜全国の演劇ワークショップ体験リポート〜
 



今、話題のインプロの魅力を探れ!

「インプロ・ジャパン トライアルワークショップ」
2004年1月17日(土) 千川・千早社会教育会館



「インプロってよく聞く言葉だけど、いったいなんだろう?」
インプロは、即興という意味の「インプロビゼーション」という言葉を略したもので、「台本や打ち合わせが全くなく、その瞬間に起こったことを受け入れ合いながら即興で作られていくエンターテイメント」です。最近では、企業の社内研修や学校教育の現場にも注目されています。

即興とは、その瞬間に起きた出来事をそのまま受けとめて、それを活かす方向で自由に自己表現することを言います。「何の準備もなく、相手を一瞬にして受け入れて、リアクションして返す……」なんて、ちょっと難しそう?期待と不安にドキドキしつつ、話題のインプロワークショップにお邪魔しました。

今回取材させていただいたのは、インプロの普及を目的として、池上奈生美さんを中心に設立された「有限会社インプロ・ジャパン」のワークショップ。初心者でも気軽に楽しめる体験版の、トライアルワークショップです。

ちなみに、インプロ・ジャパンは、国内初の「東京インプロフェスティバル」の開催や「インプロシンキング」(ダイヤモンド社)の執筆、毎年のアメリカ公演や視察等を経て、ワークショップの監修や指導、インプロシアターのプロデュース、出演など、インプロに関わるすべての業務を行っている、日本のインプロ界のリーダー的グループです。

今回の参加者は、20代〜30代の男女16名。教師、大学生、俳優、主婦など、いろんなジャンルの方々が集まりました。さてさて、どんなワークショップになるのでしょう?

PM19:00

「みなさん、こんにちは!」
ワークショップ・ディレクターを務める川添さん登場。アシスタントの方々も加え、総勢19名が円を描くように座ると、お互いに名前やニックネームなどを自己紹介します。
ここで、川添さんからインプロの歴史、注意点についての説明がありました。
インプロを楽しむための3つのポイントとは――――――

 1 どんなアイディアにも『間違い』はない
 2 感じることを大切にしてほしい
 3 楽しんでほしい
「何をやっても間違いにならない」と思うと、参加者の皆さんも少しだけ安心したようで、それぞれの顔に笑みがこぼれます。なるほど、何かを学ぶというよりも、一緒に楽しもうという発想が大切なんですね。

PM19:20

まず体を動かすエクササイズからスタート。
「8カウント」というちょっと変わったウォーミング・アップで、手足や頭など、日頃使わない感覚を使って、全身をほぐしていきます。

続いて、「ミーティング・グリーティング」
参加者はまず円になります。その中の1人が、隣の人から順番に全員に握手をします。そのときは必ず相手の顔をしっかり見て、お互いの名前を呼び合うこと。こうして、名前を覚えるだけでなく、相手の顔の特徴や雰囲気などを知り、コミニュケーションを深める手がかりになるのです。

その後は、全員で一斉に1人1人の名前を呼び合ったり、「1・2・3」のリズムを取りながら自分の名前、次に相手の名前を言いながら、伝言のように回していくゲームなど、名前を言い合うことを通して、全員の雰囲気を1つにまとめていきます。参加者の皆さんも「これほどじっくり他人の顔を見たことなんてない!」と、大興奮。

次のゲームは、「YOU」
全員で円になって、他の誰かに“メッセージ”を送ります。メッセージを送る側は「わたし」と声を発して、受け取って欲しい誰かに向け、「あなた」と呼びかけてメッセージを送り合います。他のメンバーも、順々に伝わっていくメッセージを目で追っていきます。

今度は、言葉のない静かなメッセージを送ります。メッセージを送る人は、受け取って欲しい相手のところまで、声を発さずに静かに移動して伝えてゆきます。この静かな緊張感が、相手の意思をより強く感じる事ができるのです。

上級編では、全員で会場を歩き回りながら、目だけで「わたし、あなた」のメッセージを送ります。
参加者たちは、メッセージを取りこぼさないように集中しながら、目にしっかりと意思を込めてメッセージを送らねばなりません。

これらは、フォーカス(注目、集点)のエクササイズと呼ばれるもの。メッセージや人が動くことで、空間の動きを感じることが目的です。

「空間が動いていくのが面白かった」「気づいてほしいと目で訴えた」「目だけでなく顔も動かしてしまったのが恥ずかしかった」など、それぞれが感じたことを確認していきました。




「リーダー見っけ!!」

PM19:45

ここからは、お互いに協力し合いながら、全身を使って即興表現をするゲームで、インプロ的な要素がさらに深まっていきます。

最初は、「リーダーを当てる」というゲーム。
参加者の一人(オニ)に外に出てもらいます。その他の人たちは円になり、リーダーを決めます。リーダーが決まったら、オニに円の中心に入ってもらい、他の人々はリーダーの動きとまったく同じ動きを、まったく同じタイミングで真似てゆきます。オニは全員の動きをしっかりと観察して、誰がリーダーかを当てるゲームです。

これは、子供の頃にやった「震源地をさがせ!」とほぼ同じルールの遊び。オニをだますことを共通の目的として、全員で一体感を感じながら動いてゆく感覚は「楽しい!」の一言!
このゲームを通じて、他人の動きを受け入れることの面白さや重要性、嘘をつくことの喜びを発見したり、みんなで協力しながら1つのことに集中することの魅力を、楽しみながら実感できるんですね。

続いては、「ナイフとフォーク」
リーダーの川添さんから出されたお題を、1人1人が身体を使って10秒以内で表現します。お題は、「まる」「しかく」「ハート」「×」ひらがなの「い」「け」アルファベットの「A」「F」漢字の「山」「火」「水」など。

さらに応用編として、2人1組から、4人1組、更には全員でいろんな形を作ってゆきます。
大人数で表現するときにも、制限時間は同じく10秒以内。この短い時間の中、相手とアイコンタクトですばやく意思疎通して、それぞれの発想を受け入れながら形を作っていくのです。

2人組編のお題には、「ネックレス」「雪だるま」「落語研究会の先輩と後輩」「10万円の靴」「1000円の靴」などが出されました。
4人組編では、「レインボーブリッジ」「おせち料理」「成人式」「銀行強盗」。
全員での表現には、「結婚式」「スキー場」「原宿竹下通り」「巣鴨地蔵通り」「舞踏会にいるシンデレラ」など、聞いているだけでもわくわくするようなものばかり。
それぞれ、具体的な形を表現しようとしたり、イメージで伝えようとしたり、いろんなタイプの表現が即興で作られてゆく様はとってもスリリング。

ダイナミックでオリジナリティ溢れるカラダの動きに、「この短時間の中で、どうしてこんなアイデアが生まれるんだろう?」と、会場内は大爆笑の連続です。

PM20:25

「これまで、体を動かしてきたので、次はアタマを使いましょう!」
川添さんの掛け声で、再び円になりました。
今度は、連想ゲームを発展させた「ONE WORD 自己紹介」です。
これは1人1人が1文節をつなげ、架空の人物の自己紹介を完成させていくもので、例えば、「私の」「名前は」「マリオット」「です」「私は」「人形が」「好き」「です」という具合。まずは全員が一言ずつを加えて、自己紹介を成立させてゆきます。

それを発展させて、次のゲーム「YES AND(はい、そして)」へ。


先のゲームでは、相手の言葉を受けてつなげてゆくことが目的でしたが、ここからは、相手の言葉に自分のアイディアを加えて行くことで、新しい発想を生み出してゆきます。

ちなみにこれは「アクセプト(=相手の言葉やアイデアを瞬間的に受け入れる)」というインプロの基本的な考え方。相手の言葉、発想を受けて、魅力的な物語を作っていくことを大切にするんです。

2人1組になり、「無人島で生活しよう」のお題にそって、順番にアイディアを足しながら、ひとつの物語を作っていくことになりました。1人1人から出てくる言葉がとにかくユニーク!同じテーマのはずなのに、どのチームもまったく違う物語が完成します。
もちろん、どんな物語になっても、上手とか下手とかというものはありません。それは世界にたった1つしかないオリジナルの物語なんですから。
このゲームで、自分のアイディアを加える楽しさを体験したら、もう一度「ONE WORD 自己紹介」へ。他人のアイディアに自分のアイディアを盛り込みながら作られる自己紹介は、即興とは思えないほどに可笑しくて楽しくて、とっても魅力的なものになりました―――!

PM20:45

今日の最後のゲームは「21」。
会場の中央に集まり、1人1人ずつランダムに1から21の数字を順番に言っていきます。同時に何人かが同じ数字を言ってしまったり、誰かが間違った数字を言ってしまうとアウト。もう一度1からやり直しです。
張り詰めた空気の中で、3回4回と繰り返す中、みんなの意識と集中力が高まります。―――18、19、20、いよいよ最後の21。……という時、21の数字を2人で同時に言ってしまい、残念ながらタイムアップです。ん〜惜しい!
たくさんのユニークなゲームもここで終了。
これまでのエクササイズを通して、コミュニケーションを深めてきた参加者の皆さんは、お互いがまるで昔からの友達だったみたいにすっかり意気投合。誰もの表情も満足感に満ちています。
インプロは、その場で起こる相手の変化に気づき、それを受け入れることで感じられたことを表現するというコミュニケーションを楽しみながら体験できる、魅力的なエンターテイメント。相手を受け入れることで、自分を楽しく表現できるんです―――。

機会があれば、あなたもインプロ体験してみませんか?きっと、素晴らしい体験が得られるはずですよ。


池上さんからのメッセージ:
誰かを対象としてというより、業種、演劇関係者関係なくいろんな人にインプロの面白さ、深さを知ってほしいんです。インプロにはその魅力と人間に大切なコミュニケーションの再発見を感じることのできる可能性を秘めているのです。」

有限会社インプロ・ジャパン・
代表取締役 池上奈生美さん
詳細はインプロ・ジャパンのHPでどうぞ!→

有限会社インプロ・ジャパン
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2004/02/ 22

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