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〜全国の演劇ワークショップ体験リポート〜
 



古き良きイタリアを笑おう!

 「イタリア仮面喜劇 コメディア・デラルテ ワークショップ」
2004年3月29日(月) 
大井町カルチャーdoア・グ・リ・にて



何世紀にもわたり、感動を与え続けている伝統芸能。日本で言えば、「能」や「狂言」にはじまり、「人間浄瑠璃」「歌舞伎」「落語」など、それらは現代においても、たくさんの人々に親しまれ、受け継がれています。海外ではどんな伝統芸能が存在し、親しまれているのでしょうか?

今回レポートするのは、16世紀〜17世紀に世界を一斉風靡した「イタリア仮面喜劇:コメディア・デラルテ」のワークショップ。コメディア・デラルテとは、独特な性格や動きをもつ登場人物で構成され、即興で行われる仮面喜劇なのです。このコメディア・デラルテを、日本に広めた第一人者ともいうべきデラルテ舎の常設ワークショップを取材しました。
デラルテ舎は、1995年に設立され、講師を務める光瀬名瑠子さんを中心に、本場イタリアから講師を迎えたコメディア・デラルテのワークショップをはじめ、様々な演劇ワークショップや公演の企画制作をしています。日本に広くコメディア・デラルテの素晴らしさを紹介している団体の一つといえるでしょう。


何世紀にもわたり愛され続けてきたコメディア・デラルテのワークショップ。さて、一体どんなものになるのでしょう?

品川は大井町にある大井町カルチャーdoア・グ・リが、今回の会場。参加者は、社会人の方がほとんどのようです。全10回講座で、今日がなんと最終日。発表会当日です。

それにしても、発表作品のタイトルが、非常に愉快!

       コメディア・デラルテ 大モノローグ(ぼやき)大会
       〜苦悩の人々〜 「ああすべきか、こうすべきか。それが問題だ!」

シェイクスピアにも大きな影響を与えていたという、この古典仮面喜劇。有名な台詞をもじったおかしなタイトルは、歴史とラテン気質のなせる技?!

会場に入ると、すでにセットの準備が進んでいました。

そこでびっくりしたのは、舞台美術の素材。なんと、舞台の周りにタイヤを並べて、独特の素材感を出していました。なんとも素敵で個性的な舞台です。

「どう?大丈夫?ストーリーの確認は出来た?」

講師である光瀬名瑠子さんもすでに会場入りしていて、みんなの準備の様子をチェック。

さて、ここで、今回10回に渡って行われたレッスン内容を、ざっとご紹介しましょう。

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1回目 ザンニ(召使い)の歩き方、ステイ               

2回目 バトーチョ(ザンニの持つひっぱたき棒)の使い方

3回目 パンタローネ、ドットーレ(老人たち)

4回目 インナモラーティ(恋人たち)

5回目 カピターノ(にせ将軍) 棒によるコンバット(闘い)

6回目 シニョーラ(奥様) インファリナート

7回目 発表会の準備に入ります。

8回目 各自ストーリーを考え台本を作り

9回目 講師のアドバイスを受けながら練習します。

10回目 稽古場発表会では衣裳やマスクをつけて演じます。
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アルレッキーノ

コメディア・デラルテに存在する、さまざまなキャラクターのいくつかを抜粋して、そのキャラクター独特の動きを学んでいくプログラム。盛りだくさんの内容です。

ほかにも、「間抜けな召使いのアルレッキーノ」「博学エロじじいドットーレ」「ロマンチストな怠け者のプルチネッラ」「女の召使いコロンビーナ」など、16世紀から変わらずに受け継がれている、たくさんの魅力的なキャラクターたちがいるそうです。


レッスンでは、コメディア・デラルテ独特の仮面や小道具を使いながら、それらのキャラクターの性格にあった、体の動きを学んでいきます。


そして、台本がないということも、コメディア・デラルテの大きな特徴の1つ。用意された筋書きが、役者たちのアイデアで一つの「芝居」になっていくところがコメディア・デラルテの醍醐味です。

今回のワークショップでも、あらかじめ準備しておいたあらすじを元に、それぞれが独自のストーリーを構成。世界に一つのコメディア・デラルテを作りあげています。

コロンビーナ

20:00

会場には、今日の発表会を楽しみにしてきたお客様がぞくぞくと入ってきます。参加者たちもせわしなく準備を進めながら、テンションは最高潮へ!
「さぁ、やるかいな」と、講師の光瀬さんのおどけた掛け声とともに、参加者たちは舞台上へ。
まずは、光瀬さんがお客様にコメディア・デラルテの誕生や、キャラクターの説明、独特な小道具などの説明をします。初めて観る仮面喜劇に、観客のみなさんも興味津々に耳を傾けているよう。

「女性が演劇をすることがあり得なかった時代に、初めて女性を舞台上に登場させた」や「16世紀に交わされた役者の契約書が残っている」などの裏話に、会場からも「ホォォォ…」と歓声が。
20:20



「じゃ、実際にやってみせましょう」
光瀬さんの合図とともに、今度はデモンストレーション。参加者たちは、ザンニ(召使い)の動きで、会場内を歩き回ります。

これは召使いの基本的な歩き方で、蟹股で足を高く上げて歩きます。独特の動きに、会場内は笑いに包まれます。

「人がいないところに動いて、空間を使って、歩き方の特徴に気をつけて」と、光瀬さんから空間の使い方や歩き方についてのアドバイスが飛び交います。

続いては、会場を歩き回りながら、光瀬さんの合図とともにキャラクターに沿ったポーズを各自即興でつけていきます。さらに、基本的な歩き方に各自がシチュエーションを加え、合図のもとステップを変えたり、即興でポーズしたり。

瞬時に反応し、即興でポーズをつけるのは、至難の業。キャラクターの性格を持ちながら、空気を読んで表現を創るのは、プロの役者でも大変難しい作業です。しかし、コメディア・デラルテに必要なコメディ・センスを養うには、もってこいのエクササイズ。様々なキャラクターの歩き方や即興で繰り広げられるポーズに、お客様も大爆笑です。

20:40

デモンストレーションを終え、いよいよ発表会へ。
10回目となる今日の発表会は、これまでの集大成。参加者たちは、自分のセンスを活かした、ソロのシーンを発表しました。
ここでそれぞれの作品を紹介しましょう。
★キャラクター:イザベラ

題名「パンタローネにするか、フラビオにするか」

お金持ちの婚約者と、お母様のお気に入りの男性のどちらを選ぶか悩むイザベラ。「タイタニック」やロミオとジュリエット」の名場面をアイデアに盛り込み、心の葛藤を表現したラブストーリー。




カピターノ
★キャラクター:ドットーレ

題名「肉にするか、魚にするか」

自分の娘とライバルであるパンタローネとの結婚を控えたドットーレ。大嫌いなパンタローネに娘を取られた悔しさと娘の幸せを願う父親のドットーレは、結婚式でパンタローネを毒殺しようとたくらむ。魚に毒を盛るか、それとも肉に毒を盛るか。どちらのほうが毒が回りやすいのか。自問自答するドットーレの葛藤を表現。

★キャラクター:カピターノ

題名「右に逃げるか、左に逃げるか」

戦闘に出陣したカピターノ将軍。多くの軍隊を引き連れて、旅に出るが、いつのまにか1人はぐれてしまう。草原をさまよう将軍は、過去を思い出しながら、迷走を続ける。砂漠を超え、森を抜け仲間を見つけようとするが、その矢先、敵軍に見つかってしまう。逃げ惑うカピターノ、しかし道が二つに分かれていた。多くの場面転換でスピード感のあるストーリー展開のなかでカピターノの情けなさを表現。

ユニークなストーリー設定、それぞれのキャラクターを活かしたシーンに会場も大爆笑!
僕自身は、最後の作品がお気に入りです。ばかばかしいシチュエーションを、スピーディな中で上手に面白おかしく描かれていて、笑いが込みあげてたまらなかったです。

アイデアがいっぱい盛り込まれたストーリーは、どれもすばらしい作品。参加された皆さんの個性や演技もさることながら、あらためて、コメデイア・デラルテの普遍的な魅力と、伝統として受け継がれる存在の力強さを、垣間見せてくれる発表会でした。

発表後、光瀬さんから各作品の解説とアドバイス。
「もっとお客さんに語りかけるようにしたほうがいい」「場面が変わるところはテンポを変えてみても面白いよ」「目の動きを大事にちゃんと見せるとよりいい」など光瀬さんのアドバイスに、参加者たちも真剣なまなざしで耳を傾けます。技術の習得は、まだまだ先が長いようです。

「16、17世紀にできたコメディア・デラルテだけれども、現代的なものを盛り込んでいいと思っています。新しい物を加えていくことで、コメディア・デラルテがより面白くなるよ」

力強くアイデアを加えていくことの大切さを語る光瀬さんの言葉に、みんなの心がぐっと一つに。
会場からも皆さんの作品にいつまでも暖かい拍手が鳴り響いていました。

生の表現と面白さの追求を繰り返してきたコメディア・デラルテ。貪欲に自由な表現を求め、ふんだんにアイデアをちりばめた世界が誇る芸術の一つだと、改めて感じました

講師の光瀬さんにお聞きしました――――

「コメディア・デラルテ」ってむずかしく思われるかもしれないけど、シンプルでおおらかで面白い!これが一番の魅力です。このクラスも開設して4年になりますが、毎回参加者の自由な表現とアイデアに、私自身影響を受けているんですよ。16世紀イタリアに起こったコメディア・デラルテだけども、現代の日本人の役者たちの喜劇センスともよくなじみます。基本がわかった上で、自分が面白いと思うものをギャグとして盛り込んでいくことで、コメディア・デラルテはより面白くなると思うんです。そしてこの魅力を体感してくださる方がもっともっとふえるとうれしいですね。


デラルテ舎
お問い合わせ
e-mail:dellartecompany@hotmail.com


大井町カルチャーdoア・グ・リ
「イタリア仮面喜劇コメディア・デラルテ」
東京都品川区大井1-50-5 
大井開発ビル2F
03-5746-1090



2004/06/02

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