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〜全国の演劇ワークショップ体験リポート〜
 



「みんなの『言葉』が『イメージ』が、その場でそのまま芝居になる!」

土曜日子どもルーム お話作り工房/講師:即興演劇だんすだんすだんす
主催:新宿子ども居場所運営協議会  
2004年9月18日(土) 新宿区立の小学校にて



今回のワークショップレポートは、ユニークな即興演劇で精力的な活動を続ける「だんすだんすだんす」の小学生向け演劇ワークショップ!

劇団名だけを聞くと「え?ダンスを踊るの?」と思ってしまいますが、いえいえ、筋金入りの即興劇団。もともとミュージカルを中心に活動していた俳優の皆さんが、インプロビゼーション(即興劇)のユニークな表現力に魅せられて結成し、2001年より本格的に公演活動を開始。現在は、新宿シアターブラッツを拠点にして、定期的な公演を行っています。
ちなみに、カンパニーのコンセプトは「親子で観て、楽しんで、語り合えるエンターテイメント」。この“語り合える”っていうところが素敵ですね。

今回のワークショップは、文部科学省による「子どもの居場所づくり〜未来の大人のために、いまできること〜」という文化・教育事業にのっとって行なわれました。

この事業は2004年4月からスタートし、学校以外の時間帯の子どもの活動場所として、地域、学校、家庭などが一体となって文化やスポーツなどの活動の場を提供してゆくというもの。

新宿区内では、9月から具体的な活動が開始され、今回は区立小学校のPTAの皆さんが主体となって、演劇ワークショップを子どもたちに体験してもらおうと企画されました。その名も、「お話作り工房」。
10:00 
「こんにちはー」 だんすだんすだんすのメンバーが元気な挨拶とともに、懐かしい雰囲気が漂う小学校の体育館に入ってきました。

ワークショップの進行役は、カンパニーの主宰を務める今井敦さん。大きな体育館の真ん中で、全ての参加者が手をつないで円になります。

今日集まってくれたのは、1年生から5年生までの14人の子どもたち。そのほとんどがワークショップ初体験です。


「今日はみんなとお話作りをするよ。その前のウォーミングアップから始めましょうー」

はじめは、いろいろなゲームで緊張した空気を和らげます。4拍子のリズムに合わせて体を動かしてみたり、ユニークなルールで数字を数えるゲームに夢中になるうちに、全員の空気がみるみるうちにウォームアップしてくる様子が目に見えるようです。


10:30 
今日のワークショップの目的は、みんなで協力しながら“お話作り”にチャレンジすること。イメージや言葉をたくさん集めて、それを1つの作品にしてしまうのです。さあ、徐々にそのアイディア出しとも言えるエクササイズに移っていきます。

アイデアは、何もない所からはなかなか生まれない。そんなわけで、まずは、しりとりゲームで肩ならし。一定のリズムに合わせてしりとりしていきます。

次に、「〜といえば?」という連想ゲーム的なエクササイズ。
隣の人に「〜といえば?」と聞き、聞かれた人は、その言葉から連想する別の言葉を、次の人に伝えてゆくゲーム。これも一定のリズムの中で行われるので、じっくりと考えている暇はありません。即興の醍醐味の味わえるゲームです。

例えば、こんな感じにつながりましたよ。

                  「金魚といえば、もなか」
                  「もなかといえば、金魚釣るもの」
                  「金魚釣るものといえば、つり」
                  「つりといえば、魚」
                  ・・・・・・(さらに続いて)
                  「ブタといえば、ベイブ」
                  「ベ、ベイブ??ベイブといえば…ベイブルース?(笑)」

「それで良いですよ。隣の人が言った言葉はそのまま受けましょう。そして自由に言っていきましょう。知らない言葉も、その言葉の響きにイメージを付けて言ってみてください」と今井さんが後押しします。


常に“イエス”の気持ちで受け入れて表現するのが、即興の大切さ。自分だけの発想ではなかなか思いつかないような言葉やアイデアが出てきました。

更に4人組になって、イメージの絵を書きます。誰かがざっくばらんにある言葉を提案し、それについて具体的にイメージを膨らませ、4人で体や言葉で見えない絵を創っていきます。

  ハトのたくさんいる公園。そこにはベンチがあって、フンが一杯で……
  タンスがある。Tシャツ、ズボン、パジャマが入ったタンスがある。
  そこにはテーブルがあって、花瓶と、パソコン、金魚鉢も……

みんなのイメージで生まれてきた場所や風景。実は、これがのちに即興劇の大事な素材になるのです。


11:00
休憩の後、後半はいよいよ“お話作り”です。
その前に、みんなの呼吸を1つに合わせるゲーム。

「じゃあ、みんなで一斉に“あ”から始まる言葉を言おう!」

「あ★♪$!л+」

全員で言うので、みんな思いの思いの言葉が重なってしまいます。それを、何度も繰り返すことで、みんなの言葉と呼吸を1つにまとめていきます。3度、4度、5度繰り返すうち、全員がせーので声にした言葉は、「アメリカ」。

隣の人に耳を傾ける大切さ。そして全員が一体になったときの快感。非常にシンプルなエクササイズですが、とっても奥深いテーマを感じます。

さあ、みんなの気持ちがひとつになったら、いよいよお話作りに入ります。
お話を作るにのは子どもたち、演じるのはだんすだんすだんすの皆さん。



何もない空間を指しながら、「さあ、ここに何がある?」というだんすだんすだんすメンバーの質問に、「机?」と即興で答える子どもたち。その問答を繰り返しながら、次第にお芝居の舞台設定が創られていきます。

「机の中には?」
……「食べかけのポテトチップ!」
「他に何がある?」
……「カラオケセット!」

子どもたちのイメージをもとに、次々と具体的な設定が創られます。すると役者さんたちが、その設定に合わせて芝居を開始!


エレクトーンの即興演奏も入り、ストーリーは見事に進んでいきます。打ち合わせ一切なしで創られているとは到底思えません。

プロの即興劇に、みんな興味津々。そして、子どもたちのアイディアと、役者さんたちのコラボレーションもお見事!

知らぬ間に、カラオケセットにまつわるストーリーとなって、カラオケ大会が行なわれることになり、『3丁目音頭』という盆踊りまでできてしまいました。






子どもたちは、自分の出したアイデアがお話になると、どんどん芝居にひきこまれていきます。

「この公園はハトが多いなあ」というセリフが登場すると、役者は瞬時にハトになり、子どもたちを指して、「ハトの子どもたち、いいかい?」と今度は直接舞台に導きます。

即興で創られたストーリーは、ちょっとしたサスペンスに流れてゆきました。
そこでは、盆踊りの楽譜が盗まれ、それをハトたちが奪い返すという展開に……。つまり、観客であった子どもたちは、出演者になるのです。

「ポポポポポポーッッッ!!」

犯人を攻撃するハトたちのお陰で、一軒落着。無事、みんなで『3丁目音頭』を踊って、お芝居は幕を閉じました。

「協力して創ったお芝居の時間は、はかなく消えてしまうけれど、思い出は残るよ。今日はどうもありがとう!」今井さんの言葉で、ワークショップは終了です。
帰り道も「ポッポ〜」とハトになって遊ぶ子どもたちの後姿が印象的でした―――。

今回の「お話作り工房」のワークショップは、観る楽しみと参加する楽しみが合体した内容でした。お芝居には、本当に様々な楽しみ方があります。そして、大勢でその楽しみを共有できることが何より素敵なこと。


子どもたちと、だんすだんすだんすのみなさんと、それを見守る地域の大人の皆さんが、演劇を通じて一体になっていく様子は、確実に思い出にも残るものになるはずです。

そして、子どもたちの『居場所』として、こうした取り組みをいつまでも継続していってほしい……と強く感じました。



■ワークショップ終了後、リーダーを務められた今井さんにお話を伺いました。

Q.ワークショップをやられていて、いつも感じることは?

この即興演劇を創るワークショップの場所が、共同作業の場所であるならば、年齢を問わず、3歳くらいから60歳を超える年輩の方までもが集えたら、もっともっと面白いものができるんじゃないかなーって思っています。

また、僕たちのやっていることが、教育の現場のツールとして使っていただけたら嬉しいです。とにかく今日は、子どもたちのキラキラした笑顔を見ることができて最高でした!

「だんすだんすだんす」の皆さん
(後列左が今井さん)
  即興演劇だんすだんすだんす 公式HP http://dance3imai.at.infoseek.co.jp/


2004/10

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