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〜全国の演劇ワークショップ体験リポート〜 |
「ドラマが人の心を癒す」 養護施設における1年生から3年生のドラマセラピー/ドラマセラピスト:尾上明代 2004年10月31日(日) 東京都西東京市聖ヨゼフホーム |
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すると、子どもたちは、「怖いママをやりたい!」と、予想外の反応。「怒るママを演じたい人は?」と聞くと、「ハイ!ハイ!ハイ!」と次々に手が上がります。そうであれば、目一杯「怖いママ」になって感情を吐き出してもらうことにします。 親に理由も分からず激しく怒られた子どもたちは、怒られたストレスを、同じように怒るという形で発散することが多いとの話を聞きました。 「お前なんか、山でスクラップにしてやるからな!」 「食べねえと、ぶち殺すぞっ!」 怒ることに集中する子どもたちの表情は、心の中のストレスの重みを感じさせます。怒りと共に発せられる言葉にも、激しさを感じます。
11:10 「世界一怖いお母さんと優しいお母さん」 今度は、前回のドラマを継続して行ないます。
「ドラマの中では、遠慮や不安をもたずに、ありのままの姿でいい」ということを知ってもらうためには、こちらが先 にドラマの中で「裸」になって見せる必要があるのです。 そして、いよいよ子どもたちのドラマです。その様子を一部紹介します。 ■A子さん(兄弟で入園) 「ねえ、お父さんでもいい?」 A子さんのリクエストで、“地球一怖いお父さん”とのドラマが始まりました。彼女にとっては、お母さんよりもお父さんの存在のほうが、心の中での大きな位置を占めているのでしょう。
気持ちのよいハッピーエンドのドラマになりました。 ■B君 (父親が原因による家族破綻があり、入園。兄弟間にも激しいいじめがあったと思われる) B君のリクエストで“世界一怖いお母さん”とのドラマ。 母(尾上) 「学校へ行きなさい!」 B君 砂をぶつけるしぐさ 母 「痛い!」 B君は、相手のアクションに対して、しっかりとリアクションをします。しかし、ドラマが進むにつれ、相手役との関係が緊密になってくると、たびたび“素”に戻ってドラマの世界を拒絶するようになってきました。 B君 「勝手に一人でやってて、面白い?」 母 「お母さん、悲しいよ」 (素に戻って) B君 「明代さんの映画見てるんだよ」 やがてB君は、困ったような顔をして、ドラマを続けることを拒み、職員の方々がいる場所へ逃げるようにして戻ってしまいました。このような場合には、決して無理にドラマを続けません。1人1人が抱えている問題も性格もざまざま。各人にペースもあります。B君へのなげかけは、ここでストップしました。 11:45 「リズムダンス」 ドラマセラピーのラストでは、ドラマという「虚構の世界」から、「いつもの日常」へともどすために、音楽にあわせて体を動かします。ドラマセラピーで子どもたちが心を開放したり、闇の部分をさらけだしたりできたのは、ドラマが日常と違う空間だからこそ。このまま虚構と現実があいまいになってしまうと混乱してしまうため、ドラマと現実の区切りをきちんとつけなければならないのです。 「じゃあ、またね」 と、笑顔での挨拶。こうして、今日のドラマセラピーが終了しました。 11:50 「振り返り」 尾上さんと職員の方々との間で、今日の子どもたちの様子を、振り返ります。 この中で、B君のことが話題になりました。 B君は、とても複雑な家庭環境で育ってきました。暴力を与えられる恐怖、悲しみや怒りをどこにも吐き出せない思い、甘えたい衝動などを心の中に閉じ込めているため、ドラマの中でシチュエーションを与えられても気持ちが整理できずにいたのではないでしょうか?
「今回、彼にとっては大きな変化ですね。ドラマの中で、どんな反応をしたらいいのか、戸惑っていたB君ですが、多少なりとも自分が“受け入れられた”あとに、初めて職員の方に“タイミングよく甘える”ことができたわけですね。彼がこのドラマセラピーがきっかけで、日常に取り乱したりすることはないと思いますが、ちょっと普段の生活を注意してみてあげて下さいね」と、アドバイスをおくる尾上さん。 敏感で複雑な子どもの心を事細かに捉え、子どもたちとの関わりにサジェスチョンする尾上さんの言葉には、ドラマセラピーの専門性の重要性を痛感させられます。 子どもたちの心の琴線に近い部分をほぐすことは、一方で、危険をはらみます。知識やノウハウがないままに無理やりこじ開けては、子どもたちの心を傷つけてしまうことにもなりかねません。そのため、セラピーの後の振り返りでその後のフォローを提案するのも、プロの判断が重要になるのです。 ドラマを通して心を開放し、徐々に「いい気持ち」になることに慣れてきた子どもたち。彼らの心が少しずつでも軽くなって、これからの生活にいい影響が現れることを、心から願っています。 そして、心の問題を抱える人々や、精神的な癒しを求める人が急速に増えている現代において、ドラマセラピーを実践する場所が多くなることと、それを導く専門家の育成が重要であることを切に感じさせられました――――。 ■ドラマセラピー終了後、尾上さんにお話を伺いました。 Q.ドラマセラピーを志している方々へ、何かアドバイスはありますか?」
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2004/12
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