under

 
 
アメリカの文化政策vol.2 〜芸術援助方法・データベース〜

アメリカの芸術援助は民間主導型と言われますが、前回ではその本当の中心軸を支えているのが政府などの公的機関であることをお伝えしました。今回は、公的機関が行っている羨ましいくらいの芸術家に対する芸術援助の方法を見てみましょう。

●これは嬉しい!データベース管理

アメリカは集権国家であるため、州や郡によっても様々な方法で芸術家や芸術団体を支援しています。多くの文化局では、地元の美術作家についてのデータベースを整えているところが多いそうです。その中でも特に大きいのが、ニューヨーク州の文化局が個人の芸術家を援助するために外郭団体として設立したニューヨーク・ファウンデーション・フォー・アーツ(NYFA)です。

NYFAでは、ホームページ上で芸術家に役立つあらゆる情報を提供しています。例えば、助成金情報、現物支給情報、フェスティバルやコンペの情報、関連アルバイトなど多岐に渡ります。そのジャンルも、ビジュアルアート、演劇、ダンスパフォーマンス、音楽など幅広く扱っています。ここをみれば、どこへお仕事をもらいに行けばいいか、どこに行けば自分の力を試せるか、発揮できるか、そういったことが全部見ることが出来るわけです。

また、一般の方や企業に向けての寄付のお願い、オークション情報なども掲載されています。ここで集まった資金が、芸術家や組織に分配されてゆくわけですね。

更新する側としては、最新情報の収集と更新といった本当に大変な作業が日々あるわけですが、このサイトがあるのとないのとでは、芸術家の活動の幅やその広がりに大きな違いがありますよね。どれだけ才能にあふれていても、仕事やイベントなどに出会わなければ、ずっと自宅にこもって才能を腐らせてしまう羽目になります。また、芸術家に仕事をお願いしたいと考えるクライアント側にしても、どこにどんな才能の持ち主がいるのかが分からないと、お仕事の頼みようもありません。

NYFAのサイトでは、この両者の架け橋となる情報を常に提供し、芸術分野の活性化と新陳代謝を促しているわけです。

Webサイト以外でも、インターネット接続環境がない人々に向けて、電話での情報提供も受け付けています。どうしても孤独になりがちな美術作家などに重宝されているそうです。

日本では、まだまだこのデータベースが充実していません。寄付という考えがなく、仕事にしても一部の団体に集中してしまっているのが現状でしょう。国が動いてくれないと嘆き、アメリカを羨ましがっているだけではなく、こういったシステムの構築に芸術家が携わってゆく必要があるのかもしれませんね。


参考文献
・効率文化施設職員のための制作基礎知識(出版:財団法人地域創造)
・文部科学省ホームページ:
 http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpad199301/hpad199301_2_074.html
・ニューヨーク・ファウンデーション・アーツ(英文)
 http://www.nyfa.org/



(文・ O)2006/11/20