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カナダの文化政策 〜カナダ人によるカナダ産の文化を!〜
北アメリカ大陸の北部に位置するカナダ。カナダ発の芸術文化というと、演出家ではロベール・ルパージュ、毎年新作を引っさげて来日しているサーカスのシルク・ド・ソレイユ、超高速バレエで話題になった、ラ・ラ・ラ・ヒューマン・ステップスなどが思い浮かびます。これらの文化を生み出したカナダの文化政策とはどんなものなのでしょうか。 ●自国の文化を育てよ! 人口の8割がアメリカとの国境付近に住んでいるというカナダ。国としての歴史も浅く、英語とフランス語の2つが公用語。先住民族も多く、移民も多いため、「エスニック・モザイク」と言われるほどの他民族国家です。国内で販売されているものの多くがアメリカ産で、雑誌、音楽、映画、文学など、放っておくとどんどんとアメリカ産のものが押し寄せてくる状況で、自分の国をアメリカの一部だと思っている人も少なくないようです。 この状況を打破し、国としてのアイデンティティを確立することが、カナダの文化政策の基本にあります。そして、その方針を貫くために政府が中心となり、とことんカナダ産にこだわった政策を打ち出しています。 例えば、文学・音楽ジャンルに対する「流通支援型」助成プログラム。 営利企業である出版社やレコード製作会社に対して、印刷が8000部未満のカナダ人作家の書籍やカナダ人対象の雑誌、今現在無名で商業的成功が難しいけれども、個人の創造の発露である音楽であれば支援の対象とみなす、というものです。 そして、助成対象となった書籍や音楽に関しては、著者の講演会やサイン会などのプロモーション活動に必要な旅費に対しても援助が行われています。また、映像産業の分野でも、制作、流通、顧客開拓、配給、輸出などの全プロセスの面倒を見てくれる政府直轄下の外郭団体も存在します。 営利目的の会社のために国や州からの助成が下りるなんて他ではなかなか見られませんが、「文化・芸術に係る環境整備」という目的を考えると、これも十分必要な処置となるわけです。もちろん、非営利団体や無名にも近い若い芸術家個人への援助、プロの芸術家育成のための教育機関への補助も行っていて、総文化予算は2002年で2240億円!日本では考えられない数字がたたき出されています。 ●自国の文化を発信せよ! こうして援助し育てた文化を人口わずか3000万人のカナダ国内にとどめていたのでは、カナダのアイデンティティを主張することは出来ません。そこでもう一つ力を入れているのが、文化芸術の海外輸出です。 外務国際通商省の中にある芸術・文化通商促進局では、舞台芸術団体への海外ツアー助成、美術展の海外巡回助成を行っています。芸術家を「カナダのプラス・イメージを伝える外交官」とみなし、巡回箇所が多く、公演回数のより多いプロジェクトから優先的に援助してゆきます。 かつ、どの地域で公演をおこなえばインパクトが高いかを見極めるために、各国の大使館や領事館に芸術文化分野のバックグラウンドを持った人材を常駐させているほどの徹底ぶりです。 また、トロント映画祭やモントリオール舞台芸術見本市へも助成を行っていて、海外のバイヤーや劇場運営企画担当者を招待するための旅費を負担しています。これは本当に大変なお金の掛かることですが、母国カナダが素晴らしい国だというイメージを海外に植えつけるための大切な外交資金と考えると、安いものなのかもしれません。 カナダが事実上独立国家となったのは、1931年。 若い国家から生まれる若い文化は、これからどんな成熟を見せてゆくのでしょうか。国を挙げて文化を支援し、盛り上げてゆくこの動きから、当分目が離せそうにありませんね。 参考文献 ・効率文化施設職員のための制作基礎知識(出版:財団法人地域創造) |
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(文・ O)2007/1/22
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