under


 
 
実演家と教師・連携が生んだ総合的な学習
     〜東京・足立区 弘道小学校 前編


演劇人が学校に入って子どもたちを直接指導する「授業としての演劇」は、あちこちに増えている。芸能実演家団体協議会(芸団協)が「実演家よ、学校へ行こう!」と、演劇や音楽などの専門家が授業を行うことを積極的にすすめていることも、それらの流れをつくっている。

学校の側も地域にある貴重な教育資源としての「人」を活かすという考えから、地元の古老やその道の専門家を招いて子どもたちが直接学ぶ場をつくっている。NHKのテレビ番組「課外授業ようこそ先輩」なども、刺激やヒントになったのだろう。

これらの授業は、「総合的な学習」の時間を活用して行われる場合が多い。芸団協が「表現教育指導者− 実演家と教師の授業づくりプロジェクト」の一環として10月27日に開いた「フォローアップ研究会」で、実践研究の対象になった東京・足立区の小学校の場合もそうである。

弘道小学校3年生の「総合的な学習」の時間。10月の1か月の間、5回にわたって訪れたのは俳優・藤井佳代子さん(劇団青年座)。担任との共同授業として行われた。担任の西和昌さんは、地域の歴史や地理を学び将来を考える授業に、この企画を取り入れ、もう一人の同学年担任・南さんとともに次のような目標を決めた。

1時限目: 遊びの要素を取り入れるころで、心と体を開放する。言葉によらない他者とのコミュニケーション。
2時限目: 集中することで、見る聞く感じるといった個々の力をアップさせる。仲間の表現を感じ、模倣することで、集中力をつける。
3時限目: フリーズ、空間把握。グループで表現する。二次元の空間表現をするので、まずはストップモーション、空間把握ができるようにする。
4時限目: 地域の民話を追体験するための準備として、感覚を養う。色々な物になって感じる→立体表現。
5時限目: 地域の民話を追体験することで、昔の人の心を知る。

最終的には、藤井さんが再話した地元の伝説「槐戸(さいかちど)地ぞう」の話を、子どもたちが五感をはたらかせて感じとるをめざす授業である。

ところで、小学校で5回の授業。この回数については、とくに根拠のある数ではなかったが、ゲストとしての1回こっきりの授業では日常のなかに関われず、それほど効果を期待できないと言う(芸団協・米屋尚子さん)。

が、西さんは、この学習単元では適切だった、ただ、別の単元では年間を通して行うことも考えられるのではないかと言う。また、同じ5回にしてもどのくらいの間隔、期間で行ったらいいのかも考えなければならない。

藤井さんは、身体の感覚としては集中して経験したほうがいい、この単元では5回が適当だったと言う。

このように、教員と演劇人が、事前にも途中にも事後にも直接話し合いをもって進めることが、せっかくの機会を生かすことになる。この学校のようにコーディネート役がいる場合はもちろん3者で。米屋さんは「先生と一緒に授業をつくりたい」、藤井さんも「先生との共同授業という考えで臨む」、そして西さんは「演劇的手法がツールとして使えるか」を検証したいと、3者の考えをすりあわせていた。

次回は、この3者がどのような打ち合わせや下準備をしていたのかを具体的にご紹介したい。どうぞお楽しみに!


(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2006/11/6