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文化祭で学年・学級の劇がいっぱい〜練馬区立北町中学校(東京) 昨秋、「輝け命、思いを絆に。みんなでつなごう never end」をスローガンに掲げて行われた東京・練馬区立北町中学校の文化祭では、数多くの劇が上演された。 1年生、2年生がそれぞれの「学年」として発表、3年生は4学級がそれぞれ上演、計6本の劇が上演されたのである。 第48回を迎えた今年度の文化祭では、ほかにギター部、吹奏楽部、日本舞踊部の発表があった。さらに、後日開催された第57回練馬区中学校連合演劇発表会には、2年生の劇が再演された。演劇部の劇が集まるこの発表会では、一般生徒の上演は稀な例である。 さて、「学力低下」や「授業時間の確保」などの声に圧されて、文化祭そのものを取り止めにしたり、規模を縮小したりする学校が多くなっている今日、この学校ではこんなに演劇がさかんな文化祭が、なぜ行われているのだろうか? 北町中学校では「総合的な学習の時間」の意義が明確に示されている。4〜5年前に、「職業体験」への取り組みから始まった。中学生が自分の生き方や将来を考える第一歩として身近な職場や仕事を体験してみようというのである。そしてその後、「生きる・生命」を学校全体のテーマに決め、2学期の「総合」の時間は、テーマに沿って各学年で学級劇や学年劇に取り組んだのである。 しかし、この劇が質を伴わない、浅く形だけのものに終わっては意味がない。ややもすれば、劇活動や文化祭そのものが敬遠されるのは、ただ騒々しく落ち着きのない空気が教室(学校)を席捲してしまうのではないかという懸念である。まして進路に向かって落ち着かなければならない3年生がこの時期に……。よく聞く声である。 北町中では、学校の教育目標として「5つの柱」(体験と感動、日本語(言葉)を大切にする、ほか)を掲げて、この劇活動には校長みずから先導的な役割を担った。『裁かれるものは……』『セレクト・ライフ』など、優れた創作脚本を数多く発表している深澤直樹(ふかさわ・なおき)さんである。中学生に、同時代に生きるおとな(教師)からの真摯なメッセージを贈り続け、これらの作品は、全国の多くの学校などで上演されてきている。その校長がまず、演劇について、学級や学年での劇づくりについて、全生徒に直接語りかける授業をもつのだ。そのうえで各学年・学級の劇づくりは行われた。 ・1年生『チキチキ☆チキンハート』(山崎伊知郎作) 飼育委員会廃止? 鶏たちはどうなるの? ある晩、男がひよこを盗みに入る。なぜ?必死に守ろうとする親鶏。真相が判って飼育委員会の生徒たちが動く。 ・2年生『長袖の夏〜ヒロシマ』(小野川洲雄作)夏でも長袖という規則の中学校。なぜ? 廃止運動に走る生徒会役員が知った「理由」に、今日の中学生があらためてヒロシマを考える。 ・3年1組『Alice〜世界がアリスの夢だったら』(西本綾子作)「眠り病」に罹った姉を、白兎に誘われて迷い込んだ少女は、姉の夢の世界から連れ戻し、厳しくも負けずに現実の世界で生きようと励ます。 ・3年2組『OFF』(大田直岳作、山本直子補作)父の会社の倒産、母の自殺。現実から逃げようとする少年が不思議な少女との出会いと体験によって、幸せとは何かを考え、大切な人は心の中でも生き続け ることを知る。 ・3年3組『ホームステイ〜カラフルより〜』(松林陽子作)過ちを犯して死んだ「僕」が、天使から下界での再挑戦を命じられる。しかし それは、自殺した少年の体を借りて過ごすこと。でもどうやって生きることができるの? ・3年4組『墓地物語〜夏の終わりに〜』(新海貴子作)空襲と事故で死んだ二人の少女が眠る墓地。そこに自殺を図る「小百合」が現れる。小百合は無念の死を遂げた少女に生きる命を託されるが、事故に遭ってしまう。 これら、生徒たちが話し合い、考え、選んだ脚本。通底しているテーマはもちろん「生きる・生命」である。文化祭でこれらの舞台を観た生徒たちはまた考える− 。 総合学習としての演劇の意義が明瞭に表れた北町中学校の取り組みは貴重な例である。全国の中学校の励みにもなることである。北町中ではこのほかに、今年度はプロの劇団を招いての演劇鑑賞教室(全校)、劇場に出向いての舞台鑑賞(3年生)も行っている。子どもたちにとって、学校生活で得られる学びの楽しみは、このような活動をとおしてであることを、教育に携わる人や親たちにあらためて知ってもらいたいと、つくづく思う。 |
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(文・日本演劇教育連盟・市橋久生)2007/02/05
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