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演劇教育の困った問題

総合教育として、次々と活躍の場を広げている“演劇教育(ドラマエデュケーショ ン)”。しかし、ここにもまだまだ大きな課題が存在する。今回は、演劇教育におけ る問題点について考えていこう。

現代の演劇教育が抱える問題点は、大きく2つ――。

1つは、「観劇やワークショップだけで完結している」ということだ。もちろん、観 劇やワークショップが悪いというわけではない。しかし、講師や劇団が子供たちに演 劇の魅力を伝えるのに、一方通行なってしまっているというのが現状である。

教育機関がコーディネートする観劇などは、“つまらない芸術鑑賞会”になってしま うことがほとんど。ワークショップもまた、年に数回あるかないかの特殊なイベント としてしか位置付けられていない。演劇教育の重要性を十分に理解している教師は少 なく、「ちょっと変わったイベントとして面白いんじゃない?」という発想の持ち主 が概ねを占めている。

2つ目の問題点は、「年間を通したカリキュラムを、教師サイドが作れない」という 点だ。仮に、演劇が総合教育に適していると思う教師が誕生しても、エデュケーショ ン・ノウハウがないばかりに、年間カリキュラムが作れず、結局、大きな効果を挙げ られずに尻すぼみになってしまうことが多い。

確かに演劇を用いて、1年間の授業を行うには、ある程度の専門的知識が要る。しか も演劇の場合、本を読むことで得られるものではなく、体験することで得られるもの がほとんどだ。そのため、専門家なしでは演劇教育に今一歩踏み込めない。そして、 演劇における専門家のステイタスというのは、他のジャンルの芸能芸術に比べて比べ 物にならないほど評価が低い。しかし、積極的な教師は、具体的なプラン作りを指導 してくれる専門家との出会いを求めているという。

これらの問題点、さらには、教育現場からのニーズに対して、日本の演劇業界はどれ だけのアプローチをしているだろうか。地方財団の中には、教師向けの演劇ワーク ショップを開催し人気を博しているところもある。また、学校などの教育機関にプロ のアーティストを派遣する団体「ASIAS(エイジアス)」なども登場し、“お遊びで はない演劇教育”の普及に努める個人・団体も増えてきている。
しかし、こうした ムーブメントも軌道に乗ってるとは決して言えない。演劇専門家の中には優れた人材 もある程度存在するが、彼らは、日々の食い扶持も得られぬまま、個人の小さな戦い を続けている。今、演劇業界は、教育現場へのアプローチを、業界全体で協力しなが ら推進してゆく必要がある。それこそ、演劇の新しい可能性であり、演劇に携わる者 の義務でもあるはずだ。

次回は、演劇教育の先進国である英国スコットランド・TAGシアターの活動を紹介 し、今後の演劇教育のあり方を探っていきます。


2001/8/6   





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