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地域が支える子ども演劇.4 こどもの城

普段、演劇に触れる機会の少ない子ども達に、公共ホールをはじめとする劇場が、ど のようにかかわっているのかを紹介するこのシリーズ。第4回目の今回は、「こども の城」の活動を紹介したい。

青山学院大学の斜め前にあるこの施設は、1979年の国際児童年を記念して、厚生省に よって構想・建設された大型の総合児童センターである。太陽の塔のようなオブジェ が印象的なこの施設。青山円形劇場へ観劇に訪れたことのある方も多いだろう。しか し、館内に、体育室・プレイホール・造形スタジオ・音楽スタジオ・ビデオライブラ リー・パソコンルームなど、子ども達に「遊び」のあらゆるプログラムを提供できる 施設が充実していることは、あまり知られていない。

施設全体の運営には財団法人児童育成協会があたっている。さまざまな側面から子ど も達の文化や福祉を支えるという主旨に基づいて、遊びのための施設や劇場以外に も、ホテル・研修室・レストラン、小児保健クリニック、保育施設なども備わってい る。

この施設の魅力は、月曜日以外は毎日昼頃から、子どもや、子どもたちの保護者とな るお母さんに向けた各種プログラムが行なわれていることである。また、20名以上 の団体であれば、特別プログラムも組むことが出来る。

新体操から楽器、影絵、手作りアニメーションなど、主催プログラムの種類も多く、 題名だけでも楽しそうなものが揃っている。中でも、「忍者修行道場」は演劇的な遊 びを取り入れたユニークなプログラムである。

このプログラムは、悪者“八宝斉”からの挑戦を受けてやってきた子ども達に、“こ どもの城忍者”が秘密の道場で修行をつけるところから始まる。 厳しい修行に耐え てゆくことで、お頭(かしら)から忍者の称号がもらえるというその瞬間、悪者が登 場。忍者免許の巻物を盗んで去ってゆく。盗まれた巻物を取り返すため、子ども達は 力をあわせて悪者と戦う、というストーリーが進められていく。

こどもの城全体を使って行なわれるこのプログラムは、忍者の修行や悪者との知恵く らべを通して、子ども達が力を合わせて問題に取り組み、相互共感や仲間意識をはぐ くむことを目的としている。
このように、自由度が高く、精神的な教育をメインとし た楽しいカリキュラムは、学校ではできない。ましてや子ども同士の遊びの中で、 これだけのクオリティは実現できない。忍者の修行や悪者との対決なんていう優れた 設定は、子どもでなくてもワクワクしてくるのだ。

また、こうした楽しいプログラムを色々な地域に定着させるために、児童厚生員など を対象とした実技研修会や、出張展示会・ワークショップをはじめとした「動くこど もの城」という事業も進めている。「子ども達に何かをやってあげたくて も、知識や技術、ノウハウがないから出来ない!」と嘆いている施設が多いだけに、 「こどもの城」のこの事業は、今後、児童館や教育現場への影響が期待されている。

子ども達に遊びの場を提供するだけでなく、指導者の教育・指導も積極的に進めてい る「こどもの城」。指導者・リーダー育成は、日本の演劇教育現場でも語られる深刻 な課題。このように、大局に立ってプログラムを実現できる大規模な施設が増えれ ば、芸術教育に理解のある先生が、全国的に増えてゆくのは間違いないだろう。子ど もたちに演劇的な教育を施すには、演劇への期待と興味を持つ教師を育て、具体的な ノウハウを与えてゆくことなのだと、改めて実感する。


(文・O)2001/2/4   





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