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地域が支える子ども演劇.5 厚木市文化会館

普段、演劇に触れる機会の少ない子ども達に、公共ホールをはじめとする劇場が、ど のようにかかわっているのかを紹介するこのシリーズ。第5回目の今回は、「厚木市 文化会館」の活動を紹介する。

神奈川県の厚木市文化会館は、21世紀の厚木市を担う若い世代のために、優れた舞 台芸術に触れる機会を数多く設けることで芸術文化への関心を高め、ホールでのマ ナーの体得や情操教育、そしてなにより、心豊かな人間形成を目指すことを目的とし ている。

この施設の活動は、今のご時世ではびっくりするほどの活発さである。

1983年から約10年に渡り、教育委員会や厚木市こども育成連絡会と連携して、 小学生向けの「子ども芸術鑑賞会」や中・高校生向けの「学校鑑賞会」を開催。どち らも、活動を開始する前には、「学校からホールまでの移動が危ない」という理由で 反対意見が多かったが、「塾に通うのは大丈夫で、どうして先生が引率する鑑賞会が 危ないのか」と言って、関係者を熱心に説き伏せ、公立中学校では初の、現地集合& 現地解散を行った。

しかし、厚木市では94年ごろから、学校の週休2日制が導入され、「ホールでの鑑 賞会は半日潰れてしまうので、時間が惜しい」という理由で、また体育館での鑑賞会 に逆戻りしてしまったという。

しかし、せっかく育ってきた子ども達をそのままにするのは惜しい。そこで何か新し いものを、と、「子どもミュージカル」事業を立ち上げた。これは、厚木市の子ども 達がプロと一緒に舞台をつくるプロジェクトだ。その他にも、健常者と障害者が一緒 に舞台をつくる「宮城まり子とかがやくこどもたち」事業など、様々な活動を行なっ てきた。

そして、現在の主な取り組みの1つに、「厚木シアタープロジェクト」がある。これ は、厚木から新しい演劇文化を発信しようと始められたもの。厚木高校出身の劇作家 ・横内謙介氏が主催する劇団・扉座と、厚木市民応援団との共同プロジェクトで、扉 座の定期公演の他、子どもから大人まで、年齢別に分けた演劇体験講座や、市内の公 立小学校への演劇出前講座などなど。

公共ホールの事業には、数年毎に担当者が異動になってしまうという事情もあって、 結局、その場あたりの買い取り公演で年間の予算を埋めてゆくというパターンが多 い。しかしながら、厚木市民文化会館では、当代一流の劇団とのコラボレーションに よって、中長期的に市民の完成や文化レベルを高めてゆくという施策を実現させてい る。こうした活動ぶりは、芸術活動における長年の経験と誇りによって実現されてい ると言うべきか。

近年、鑑賞型の事業から参加型の事業に切り替え、芸術を生涯学習の中に取り入れよ うという動きは多い。しかし、学校や教育委員会を巻き込んでの事業は、授業時間の 減少により、かなり難しくなってきている。そんな中での、この厚木市文化会館の活 動は、教育現場とホールのかかわり方の良いお手本となるのではないだろうか。

(文・O)2001/2/18   





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